住宅ローンの変動金利が17年ぶりに上昇したことから、変動金利で住宅ローンを利用してる人が不安を感じているようです。
確かに変動金利は1年に2回金利の見直しが行われることから、このまま金利の上昇が続くようなら住宅ローンの負担はかなりの重荷になるでしょう。
金利上昇のリスクを回避するための一つの方法に、変動金利を全期間固定金利へ借り換えるという方法があります。
今回は住宅ローンの借り換えについて解説します。
住宅ローンの借り換えとは
住宅ローンの借り換えは、一般的に金利の高いローンを低い金利のローンに借り換えることをいいます。
今借りているA銀行のローンをB銀行から借りて完済し、その後はB銀行のローンを返していく感じです。
高金利のローンから低金利のローンへ借り換えることで、毎月の返済額を減らすのが目的です。
以前「住宅ローンの変動金利が上昇で生活に与える影響」で紹介したように、住宅ローンの変動金利では店頭金利から優遇金利を引いた適用金利が実際の金利です。
今は優遇金利2.0%も珍しくありませんが、私がファイナンシャルプランナーになった頃は0.5%とかでした(当時は店頭金利2.375%が多かった)。
9月まで多くの金融機関では2.475%が店頭金利だったので、実際に適用される金利は今なら0.475%でも、20年以上前に借りたまま見直してなければ2%近い金利のままです。
仮に5,000万円を借りた場合、1.875%のままだと月々162,441円のままですが、20年後に0.475%で借り換えれば約14.7万円です。
変動金利から変動金利でも月1.5万円が軽減できるので、固定金利から変動金利ならもっと効果が期待できるかもしれません。
ただし、借り換えに伴って費用がかかります。
変動金利から固定金利へ借り換えると
説明したように借り換えをすることで総返済額を減らすことができます。
一方、今後金利が上昇するリスクを心配するのであれば、変動金利から固定金利へ借り換えることで返済額を固定させることができます。
といっても変動金利より固定金利の方が高いので、返済額が増える可能性があります。
最近のような低い金利で借りた人は、全期間固定金利に借り換えることで金利が上がるので、返済額も増えます。
全期間固定金利が有利となるのは、今後大幅に変動金利が上昇して、総返済額が全期間固定金利を上回る場合です。
変動金利から全期間固定金利に借り換えて、結果的に返済額が増えた人はたくさんいます。
借り換えで返済額が減った、または横ばいという人は、優遇金利が小さい時代に借りて見直しをしなかった人です。
変動金利から全期間固定金利への借り換えは、多くの場合返済額が増えることに注意しましょう。
借り換えでの注意点
●金利上昇リスクに備えて全期間固定金利に借り換えても、今までの金利によっては返済額が増える人も多いです。
●変動金利から固定金利に借り換えても、変動金利があまり上昇しなければ総返済額は増えます。
●これから変動金利が上がるとしても、全期間固定金利との差が大きいため、全期間固定金利が有利になるには相当数の利上げが必要です。
●借り換えした場合の返済期間は短い方が総返済額は少なくなります。余裕があるなら短縮することで金利負担が減りますが、毎月の返済額は増えます。
●全期間固定金利にする場合は、ほとんどの人はフラット35になると思いますが、フラット35では返済期間が15年以上20年、21年以上かで適用される金利が違います。
おわりに
住宅ローンの借り換えは、①高い金利から低い金利に借り換えて毎月の返済額を減らす、②変動金利から全期間固定金利に借り換えて返済額を固定する、この2つが主な目的です。
①が目的の人がほとんどですが、変動金利のリスクを考えて②を目的に借り換えする人もいます。
住宅ローンの借り換えの効果が見込める条件としてよく言われるのが、①住宅ローンの残債が1000万円以上、②今と借り換え先の金利が1%以上ある、③残存期間が10年以上ある場合です。
また、借り換えには手数料がかかるので、手数料を控除しても借り換えのメリットがあるかは確認したほうがいいです。
借り換えをせず、低い変動金利のままにし、浮いた差額分を繰り上げ返済することで金利上昇リスクを軽減させることも効果的です。