労災保険は、雇用形態に関係なく就業中に起こった事故を社会保険で補償するという制度です。
意外と誤解が多いですが、アルバイトやパートといった雇用形態であっても、業務中に起きたケガは労災保険の対象になります。働いている人の中にも、アルバイトやパートは被保険者ではないから労災で保障されない……と勘違いしている人は少なくありません。
就業中に起こるケガは非正規・正規社員と関係ないので、保険の適用要件も補償内容も正規かそうでないかで差はありません。
そもそも労災保険には雇用保険のように被保険者というものがなく、そこの事業で働く人はみんな対象なので、アルバイトやパートに限らず、外国の人も当然に労災保険の対象になります。
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働く人はアルバイト・パートも全員対象。労災は事業所単位で加入する保険

労災保険では、労働者災害補償保険法という法律に基づいて、業務中と通勤中に起きた災害について、労働者や遺族に保険給付を行います。
労災保険には雇用保険や健康保険といった被保険者がなく、加入は事業所単位で行われます。
事業所単位で保険に加入するので、そこで働く労働者であれば労災保険の対象になります。もし仮にその日に入社した労働者が、働き始めたその日にケガをしたとしても、業務が原因のケガや病気であれば労災の対象です。
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労災保険は会社(事業所)が加入する
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そこで働く人は全員対象になる
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雇用形態(正社員/パート/アルバイト)は一切関係なし
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外国人も労災対象
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入社初日であっても、労災は適用される
労災と健康保険の違い(ここを知らない人が多い)
ちなみに業務中の事故が原因のケガは労災保険で保障されることから、健康保険の対象外です。
労災保険の対象にならない病気やケガが健康保険で扱われることになります。
◎労災保険の対象
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業務中の事故・ケガ・病気
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通勤途中の事故
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仕事で必要な移動中の事故(取引先への移動など)
◎健康保険の対象
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私生活でのケガ(遊び、スポーツ、家でのケガ など)
- 仕事と関係ない病気
- 労災保険が適用されないケガや疾病
労災隠しは違法。届け出をしない会社はアウト
業務中の事故は、労働基準監督署に報告するルールとなっており、報告をしない場合は、いわゆる労災隠しになります。この労災隠しは犯罪になります。
労災隠しは、手続きが面倒とか、親会社に迷惑をかけたくないとか、労災保険に未加入といった理由で行われます。
私も学生時代に建設現場で働いた経験がありますが、同い年の同僚がケガをした際、同僚と一緒に呼び出されて他言しないよう説得されました。もっとも当時は何を言ってるのか分かりませんでした。
◎労災隠しの理由
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手続きが面倒
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親会社に迷惑をかけたくない
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保険未加入がバレる
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評価を下げたくない
労災保険とはどんな法律か?(専門知識を簡単に)

業務の遂行途中に起こったケガについては、アルバイトやパートといった雇用形態に関係なく保障されるというのが労災保険です。
アルバイトやパートは労災の対象外といった誤解は多く、それだと実際にケガをしたときに泣き寝入りしてしまうかもしれませんから、働く人は誰でも労災の対象になる(不法就労者も除外されてない)と覚えておくとよいでしょう。
労災保険は、労働者の業務中に起こるケガや病気について、事業主の責任を担保することを目的として制定されています。建設現場のようにケガがつきものの職種は多いですが、労働者がケガをしたり死亡してしまうと収入がなくなり、労働者や遺族は生活をしていけなくなります。そのため業務中の事故については、事業者は労働者の収入を補償しなければならないと労働基準法に決められています。
労働基準法というのは、労働条件の最低限の基準を定めた法律です。一般的に労働者は使用者と比べると立場が弱いので、労働基準法により労働条件に最低基準を設けて労働者を保護しています。
とはいえ、法律で使用者は労働者に補償しなければならないと決められていても、使用者にお金がなければ補償されません。 そいういった理由で、労災保険では保険の原理を利用して使用者から保険料を徴収し、保険事故があった人に給付しています。
ちなみに使用者の責任(災害補償責任)では、業務中に起きた事故については無過失責任をとっています。 無過失責任とは、会社に故意(わざと)・過失(うっかり)がなくても賠償責任を負うというものです。 労働者に過失があっても、広く労災で補償することで労働者は守られているわけです。
◎労災保険は労働者の生活を守るための保険
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業務中の事故は、会社に過失がなくても補償義務がある
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労働者に過失があっても労災は適用される
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事業主が賠償しきれないケースに備えて保険で支える仕組み
労災の主な給付(ざっくり)
労災保険の給付内容を詳しく説明するとかなりの量になるので詳細は触れませんが、給付は災害の程度に応じて一時金や年金などで支給されます。
労災保険で保険給付が認められると、病院の治療が受けられたり、程度によっては年金が支給されたり、障害が残る場合は本人に年金や一時金が、死亡の場合は遺族に年金や一時金が支給されます。
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療養補償給付(治療費)
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休業補償給付
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障害補償給付
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遺族補償給付
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介護補償給付 etc.
通勤中の事故も労災になる(知らないと損)

業務中のケガや病気が労災保険の対象となることを知っている人は多いですが、通勤中の災害が労災の対象になることを知らない人は多いです。
1947年の労災保険法の制定から何度か法律が改正され、業務災害だけでなく、通勤災害、二次健康診断、社会復帰の促進も図られるようになりました。
通勤災害には就業のために移動することが求められ、仕事帰りに遊びに行ってそこでケガしたとかでは認められません。
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通常の通勤経路
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通勤目的の移動であること
遊んでる最中のケガは業務とは関係ありません。この場合は健康保険で病院に通えばいいでしょう。
労災保険の対象と対象外(まとめ)
- 対象者 → 会社で働く労働者(正社員・パート・契約社員・アルバイトなど)
- 対象外 → 事業主・フリーランス・業務委託
- 給付内容など → 療養補償給付・休業補償給付・障害補償給付・遺族補償給付など
- 労災保険の対象 → 業務災害・通勤災害
- 労災保険の対象外 → 健康保険
おわりに|アルバイトだからダメは100%誤り。知識があなたを守る
ある人がケガをして会社の上司に相談すると、アルバイトはダメと言われたそうです。今は少なくなりましたが、昔はこういった責任者は多かったです。
建設業の親方にも、ケガは自己負担というとんでもない人もいます。法律を学ぶと、世の中のことはいかに法律が守られてないか知ることになります。
まあ、国会議員がまるで法律を守らないのだから当然なのかもしれませんが。
労災保険法は、労働者にとって最も身近な法律の一つですが、内容についてまでは知られてません。
詳しい給付内容や法律について知る必要はありませんが、最低限のことを知っておくと役立ちます。

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