未来のお金の不安に備える。早めの対策で将来を安心に

派遣社員でも社会保険に入れる?条件・注意点・よくある誤解を専門家が解説

派遣社員でも社会保険に入れる?条件・注意点・よくある誤解を専門家が解説

今や派遣で働くことは珍しいことではなくなりました。 派遣の解禁をめぐっては、当初はパートなどを対象に限定するはずでしたが、そうはなりませんでした。

派遣解禁に携わった教授の中にはこんなはずではなかったといった人もいたそうです。何かと非難されることの多い派遣ですが、派遣解禁はデメリットばかりとは言えません。

派遣は自分の希望を伝えて自由に働くこともできますし、比較的採用されやすいので、未経験からでも様々な職種を経験することが可能です。

働く人も多くなった派遣ですが、派遣は就業形態が特殊なため、その特殊性を理解せずに就労している派遣社員は多いです。

目次[閉じる]

【結論】派遣社員でも条件を満たせば社会保険に加入できる

雇用保険・健康保険・厚生年金は、一定の労働時間・収入条件を満たせば加入が強制されます。

つまり、「派遣は社会保険に入れない」というのは誤解であり、適用除外に該当しない限り、加入が必要になります。

派遣社員は派遣会社(派遣元)と労働契約を結ぶため、社会保険の手続きも派遣元が行います。

 

◎このパートのポイント

  • 派遣は派遣会社(派遣元)との契約

  • 社会保険の手続きは派遣元が行う

  • 一定の労働時間・収入条件を満たせば加入が義務

 

派遣社員の使用者責任は誰が負うのか

社会保険の被保険者

派遣労働者は派遣元の派遣会社と労働契約を締結し、派遣会社は派遣先に派遣労働者を派遣させます。

そして派遣労働者は、派遣先の指揮命令の下で労働することになります。

 

労働基準法では、労働者が労働中に誤って関係ない人(第三者)に損害を与えてしまったり、けがを負わせてしまった場合について、使用者に責任を負わせています。このことを使用者責任といいます。

では、派遣労働者の使用者責任はだれが負うのでしょうか?

派遣労働者は、派遣元の会社と労働契約を結んで派遣されますから、使用者は派遣元になります。

  • 派遣労働者の使用者責任 → 原則的には派遣元が負う

 

ただし、労働者派遣の就業実態から、派遣元の使用者責任を問うのが難しいような事項については、労働基準法の特例として派遣先に使用者責任を負うこととされています。 

派遣労働者の社会保険の加入義務

ビジネスチーム

遣労働者であっても、社会保険の加入要件を満たせば派遣元を通じて加入する義務が生じます。

社会保険とは、国や自治体が保険者となって運営する公的な保険制度で、民間の生命保険や医療保険とは異なる仕組みです。

具体的には、雇用保険・労災保険・国民年金・厚生年金・健康保険・介護保険などが社会保険に該当します。

 

社会保険の最大の特徴は、対象者に該当すれば本人の意思に関係なく強制的に加入する点です。

そのため「加入したくない」「扶養に入っていたい」と希望しても、要件を満たしていれば加入しなければなりません。

また、社会保険には2年の時効があるため、条件を満たしていたにもかかわらず加入していなかった場合、最大で2年分の保険料を後から請求される可能性もあります。

派遣労働者の場合も同様に、一定の条件を満たせば社会保険に加入する必要があります。

 

社会保険が適用される労働者

 

派遣労働者が加入する社会保険について要件を整理していきます。

 

雇用保険の適用(派遣元で加入)

雇用保険は適用除外に該当しなければ、基本的には加入となります(派遣元)。

 

雇用保険の適用除外

1.1週間の所定労働時間が20時間未満である
2.同一の事業主の適用事業に継続して31日以上適用されることが見込まれない
3.季節的に雇用される人であって、4か月以内の期間を定めて雇用されるか、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満であるかのどちらかに該当する など
 

労災保険は雇用形態を問わず適用

 労災保険については、労働者を使用する事業は原則的に適用されるとされているので、雇用形態にかかわらず適用されます。
違法就労であっても同様です。
 

厚生年金の適用条件

公的年金には国民年金と厚生年金とがありますが、短時間労働者でなければ原則として厚生年金が適用されます。
国民年金は自営業者などが該当するので、ここでは厚生年金について見ていきます。  
 

短時間労働者に該当する人

1週間または1か月の所定労働時間が通常の労働者の3/4未満であって、次のいずれかに該当する人
  1. 1週間の所定労働時間が20時間未満
  2. 継続して1年以上使用されることが見込まれない
  3. 報酬の額が88,000円未満
  4. 学生  

 

厚生年金の適用除外

さらに以下の人も厚生年金の適用が除外されます。

◎厚生年金が適用されない人

  1. 臨時に使用される人で、日々雇用される人(1か月以内)
  2. 臨時に使用される人で、2か月以内の期間を定めて使用される人
  3. 所在地が一定しない事業所に使用される人
  4. 季節的業務に使用される人(4か月以内) など

 

健康保険の適用

健康保険は、派遣元が法人であれば原則適用されますが、適用されない人もいます。

健康保険の適用除外は厚生年金とほとんど同じです。

健康保険は年齢の上限はありませんが、後期高齢者医療保険に加入することが適用除外になっているので、原則として75歳未満まで加入することになります。

 

介護保険の適用

介護保険は、40歳以上の医療保険加入者が対象になります。該当すれば派遣労働者も対象です。  

  • 派遣労働者 → 派遣元の社会保険に加入
  • 適用除外に該当しなければ原則として加入
  • 40歳以上の医療保険加入者→介護保険の対象

 

まとめ

・派遣労働者の使用者責任は原則として派遣元会社にある。

・社会保険は原則として強制的に適用される。

・派遣社員でも条件を満たせば社会保険に加入する

・派遣労働者の社会保険は、派遣元の社会保険に加入する。  

 

◎よくある誤解と正しい知識

  • 派遣は社会保険に入れない → 条件を満たせば加入
  • 派遣先が手続する → 派遣元が手続する
  • 日雇労働者は除外 → 加入対象になることがある
  • 社会保険は全額自分持ち? → 派遣元と折半

 

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

コメント Comments

コメント一覧

コメントはありません。

コメントする

トラックバックURL

https://yokohama-lifeplan.com/money/haken-syakaihoken/trackback/

関連記事 Relation Entry