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老後資金1億円は本当?ファイナンシャルプランナーが実際の必要額と不足額を解説

老後資金1億円は本当?ファイナンシャルプランナーが実際の必要額と不足額を解説

「老後30年生きるなら1億円必要」という話を耳にしたことはないでしょうか。

実際に1億円必要かどうかは、「公的年金をいくら受け取れるか」「どんな生活水準を望むか」「何歳まで働くか」によって大きく変わります。ただし、公的年金だけで老後の生活費を全て賄えるかというと、多くの家庭では不足が生じる可能性があります。

 

60歳からの継続雇用制度を導入する企業が増え、70歳以上でも働ける企業が年々増加しています。

日本は将来的に人手不足になることが予想されてるので、それを見越して定年制を撤廃する動きが大手企業を中心に出ています。

ある歳から何年間生きるかの平均を平均余命といいますが、65歳からの平均余命は現在男性で約19年、女性で約24年となっています。定年退職した後、働かずに生活していくのであれば、平均余命以上の年数分の生活資金がないと安心できません。

これはあくまでも平均の余命なので、老後のライフプランを考えるうえでは、余裕をもって多めに生きると仮定しておく必要があります。

 

この記事では、FPの立場から、2024年の最新データをもとに、老後に必要な資金の考え方を整理してお伝えします。

 

この記事で分かること

  • 高齢夫婦世帯の生活費の最新相場(2024年家計調査)
  • 国民年金・厚生年金の受給額の目安(令和8年度)
  • マクロ経済スライドの仕組み
  • 「老後資金1億円」の根拠と実際の考え方

 

目次[閉じる]

高齢夫婦世帯の生活費は月28万円(2024年)

総務省「家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月約28万円です。

 

世帯タイプ 月の消費支出
65歳以上 夫婦のみ無職世帯 約28万円
65歳以上 単身無職世帯 約16万円

 

この数字はあくまで全国平均であり、住む地域・住まいの状況(持ち家か賃貸か)・生活水準・趣味・医療費などによって大きく変わります。

仮に夫婦で月28万円の生活費が30年間(65歳〜95歳)必要だとすると、その総額は次のようになります。

28万円 × 12か月 × 30年 = 1億80万円

これが「老後に1億円必要」という話の根拠の一つです。

ただし、これは公的年金を含まない総額であり、公的年金で受け取る分だけ自分で準備する金額は少なくなります。

 

老後を支える国民年金の受給額(令和8年度)

強制加入の公的年金には、国民年金と厚生年金があります。

自営業者も会社員も専業主婦も、基本的にすべての国民が対象となるのが国民年金制度です。厚生年金は、会社員や公務員が主な対象となり、自営業者の人は被保険者になれません。

自営業者の期間が長ければ長いほど国民年金だけに加入することになりますから、自営業が長い人ほど老後の年金は少なくなる傾向にあります。

 

国民年金(老齢基礎年金)の満額(令和8年度)

  • 月額70,608円(年額847,296円)
  • 昭和31年4月2日以降生まれの場合

満額を受け取るには、20歳から60歳までの40年間(480月)保険料を納付することが必要です。

未納期間がある場合は、1か月あたり約1,766円程度少なくなります。

自営業者の方は国民年金のみ(月70,608円)が公的年金の受給額になります。会社員の方は国民年金に加えて厚生年金が上乗せされます。

 

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老後を支える厚生年金の受給額

厚生年金では、被保険者の報酬と加入月数によって年金額が異なります。

厚生年金は、平成15年3月までと平成15年4月からとでは計算方法が違います。平成15年3月までは、年金の計算に賞与は含めませんでしたが、平成15年4月からは賞与を含める総報酬制になったからです。

したがって、平成15年3月までと4月からとでは、年金計算で使う乗率も違うので、平成15年3月からと4月からとは分けて計算します。

平成15年4月以降の給与と加入期間を参考にまとめてみました。

 

数値はそれぞれ平均報酬額と厚生年金加入期間。

平均報酬 \ 加入期間 10年 20年 30年 40年
20万円 13万円 26万円 39万円 53万円
30万円 20万円 39万円 59万円 79万円
40万円 26万円 53万円 79万円 105万円
50万円 33万円 66万円 99万円 131万円
60万円 39万円 79万円 118万円 158万円

 

例えば、20歳から60歳まで会社員として働いた人で、その40年間の報酬の月の平均が40万円だとしたら、厚生年金は約105万円ということになり、合わせて国民年金の満額847,296円(令和8年)を受け取れます。

また、60歳後も会社員として働くのであれば、国民年金は増えません(20歳から60歳までが対象)が、厚生年金の年金はさらに上乗せされていくことになります。 

 

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マクロ経済スライドの仕組み

年金額は毎年改定されます。改定の基準は賃金変動率と物価変動率ですが、「マクロ経済スライド」という仕組みにより、年金の伸びが賃金・物価の伸びより抑えられます。

マクロ経済スライドは平成16年の年金制度改正で導入されました。現役世代の減少と平均寿命の延びを年金水準に反映させることで、年金財政を長期的に維持するための仕組みです。

 

目標とされている水準

厚生年金(モデル年金)の所得代替率が50%を上回る水準を維持することが目標とされています。

所得代替率50%とは、現役世代の平均手取り賃金の約半分の水準を意味します。

つまり、年金は「現役時代の収入と同水準」では受け取れないことが制度上前提になっています。

現役時代と同様の生活水準を維持したい場合は、公的年金以外の備えが必要になります。

 

令和8年度の改定率

令和8年度は賃金変動率の上昇を受けて、国民年金は前年度比1.9%増となっています。

一方で物価上昇率より改定率が低い場合は、実質的な購買力は目減りする傾向が続きます。

 

若い頃に学んでおけばよかったことの1位は資産運用

高齢者を対象にした「若いころに学んでおけばよかったこと」というアンケートが某雑誌で実施されていました。

1位は英語かなと思いながらアンケート結果を見たら、意外にも1位は資産運用でした。ちなみに1位と予想した英語は2位でした。

証券会社が実施しているアンケートだったので、こういった情報はあくまでも参考程度にとどめておくのがいいのですが、証券会社主催の資産運用をテーマにしたセミナーは実際盛況のようです。

今現在、年金を受給している人が若かった頃とは経済環境が大きく異なりました。まず、年金制度が大きく様変わりしており、インフレ経済からデフレ経済へと変わりました。ところが今度はインフレに変わりつつあるようで、物価の上昇が目立つようになってきました。

確定拠出金やNISA等を政府が奨励しているように、今までのように銀行に預けておけばいいという時代は終わり、運用結果が老後生活を決めることになる可能性が高くなってきました。

10年前は1グラム1,500円から1,700円程度だった金は今では4,000円~5000円になっています。大学生時代に勧められるまま20万円で購入した金のネックレスは、今売ったら80万円以上になるといわれました。

現役世代は、資産を形成する時代といわれています。といってもリスクのある物に投資しろといっているわけではありません。

目標を作ってコツコツと実践するだけで将来大きな差になります  。

 

老後資金の不足額と備え方

月28万円の生活費に対して、公的年金はどれくらいカバーできるのか見ていきます。

モデルケースで見る不足額

夫婦世帯(会社員と専業主婦)のケース

  • 月の生活費:28万円
  • 夫の年金(国民年金+厚生年金):月17万円前後(平均的な受給額)
  • 妻の国民年金:月約7万円(満額)
  • 合計収入:約24万円
  • 月の不足額:約4万円
  • 30年間の累計不足額:約1,440万円

 

自営業者夫婦のケース

  • 月の生活費:28万円
  • 夫婦それぞれの国民年金(満額):月約14万円(合計)
  • 月の不足額:約14万円
  • 30年間の累計不足額:約5,040万円

このように、自営業者と会社員では公的年金の受給額が大きく異なるため、必要な自己資金も大きく変わります。

 

2024年家計調査で見る実態

65歳以上の無職夫婦のみ世帯では、毎月の家計が約3万円の赤字になるというデータがあります。

この不足を補うのが、現役時代から積み上げてきた貯蓄や備えです。

 

備え方の選択肢

老後資金の不足を補う主な選択肢としては、以下が考えられます。

  • 長く働き続ける:収入があれば資産の取り崩しを先送りできる
  • iDeCo・NISA等での資産形成:税制優遇を活用した長期の積み立て
  • 企業年金・国民年金基金:公的年金の上乗せ
  • 退職金の活用:受け取り方によって税制上の扱いが異なる

ただし、どれが正解かはご家庭の状況によって異なります。

「これが一番得」という方法はなく、収入・年齢・リスク許容度・他の資産状況を踏まえて判断することが大切です。

「老後資金を準備したが使い切れなかった」というケースも珍しくありません。準備しすぎのリスクがある一方、不足すると生活水準を下げるしかありません。

過不足なく備えるために、ライフプランを早めに把握しておくことが現実的な第一歩になります。

 

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6. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 「老後資金2,000万円問題」と「1億円問題」はどちらが正しいですか?

どちらも「ある前提条件のもとでの試算」であり、どちらが正しいという性質ではありません。

2,000万円は2019年に金融庁が公表した報告書に基づく試算で、「夫婦でひと月5.5万円ほどの不足が30年続いた場合」という前提です。

1億円は生活費の総額から年金を引かない単純計算に近い数字です。実際に必要な金額はご家庭によって異なります。

 

Q2. 自営業者は会社員より老後資金が多く必要ですか?

一般的にそうなる傾向があります。

自営業者は厚生年金がなく国民年金のみの受給になるため、公的年金の受給額が会社員より少ない場合が多いです。その分、iDeCo・国民年金基金・小規模企業共済等の活用が重要になります。

 

Q3. ねんきん定期便を見てもよく分かりません

「ねんきん定期便」に記載されている年金見込み額は、現在の状態が続いた場合の概算です。

50歳以上の方は現在の加入状況が継続した場合の見込み額が記載されます。

詳細は日本年金機構の「ねんきんネット」やお近くの年金事務所でご確認ください。

 

Q4. 老後2,000万円を65歳までに貯めるには月々いくら必要ですか?

30歳から35年間で2,000万円を準備する場合、利息ゼロで月約47,600円の積み立てになります。

iDeCoやNISA等を活用して運用しながら積み立てる場合は、利回りによって月々の積立額を抑えられる可能性があります。ただし運用結果は確定ではありません。

 

Q5. 老後の生活費は現役時代より少なくなりますか?

一般的には子育て費用・住宅ローン返済・通勤費などが減るため、生活費全体は現役時代より少なくなるとも言われますが、一方で医療費・介護費は増加傾向にあります。

旅行や趣味の充実を望む場合はむしろ増えることもあります。一概には言えず、ご自身のライフスタイルに応じた試算が大切です。

 

まとめ

「老後資金1億円」という話の根拠と、実際の必要額を整理します。

 

主要な数字(2024年・令和8年度)

項目 数字
高齢夫婦無職世帯の月の生活費 約28万円(2024年家計調査)
65歳からの平均余命 男性約19年・女性約24年
国民年金満額(令和8年度) 月70,608円
月の収支(平均的な無職夫婦) 約3万円の赤字

 

「老後1億円」の考え方

  • 月28万円 × 12か月 × 30年 = 約1億円(公的年金を含まない生活費総額)
  • 公的年金で受け取れる分だけ自己資金は少なくなる
  • 会社員夫婦か自営業者かで必要額は大きく変わる

 

「老後資金がいくら必要か」の正解はご家庭によって異なります。まずはねんきんネットでご自身の年金見込み額を確認し、その上で不足分をどう準備するかを検討するのが、現実的な第一歩です。

 

ご案内

横浜ライフプラン1級FP技能士事務所では、ライフプラン・老後資金・住まいに関する情報を発信しています。

  • ねんきん定期便・ねんきんネットの見方
  • 老後資金のシミュレーション
  • iDeCo・NISA・国民年金基金等の位置づけ
  • ライフプラン全体での老後対策

 

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の利用を推奨・勧誘するものではありません。年金額・データは本記事執筆時点(2026年4月)のものです。

最新情報は総務省統計局・日本年金機構・厚生労働省の公式サイトをご確認ください。投資には元本変動のリスクがあります。当事務所は投資助言業・代理業の登録を行っておりません。

 

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