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遺族厚生年金の受給額は一人一人異なる
日本の公的年金には、国民年金と厚生年金保険がありますが、それぞれに死亡を原因とする遺族年金があり、国民年金は遺族基礎年金、厚生年金保険は遺族厚生年金といいます。
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横浜ライフプラン1級FP技能士事務所
遺族厚生年金の受け取れる金額は、老齢厚生年金と同じようにその人の報酬額や加入期間に応じて変わります。
平成15年3月までは平均標準報酬月額だったのが、総報酬制度の導入によって平均標準報酬額になりましたが、こういった計算式の変更も厚生年金を複雑にしています。
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遺族厚生年金は報酬額と加入期間で決まる
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平成15年の制度改正が計算を複雑にしている
遺族厚生年金の基本的な計算の考え方
遺族厚生年金の金額は、標準報酬額の平均(平均標準報酬額)を用いて計算します。
平成15年3月までと4月以降で計算方法が違う理由
平成15年3月までの分は平均標準報酬月額を用いて計算します。
平成15年でなぜ違うかというと、平成15年から総報酬制度が導入されたからです。
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総報酬制度の導入
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賞与が年金計算に含まれるようになった
それまでは賞与の金額は厚生年金に反映されてませんでしたが、この総報酬制度の導入で賞与を含めた年収が平均標準報酬額となりました。
- 平成15年3月まで→平均標準報酬月額
- 平成15年4月以降→平均標準報酬額(総報酬制度)
前回、遺族厚生年金を受給するための要件について短期要件と長期要件を紹介しましたが、年金の計算でも短期要件と長期要件が出てきます。
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短期要件と長期要件による計算の違い

短期要件
- 厚生年金保険の被保険者中に死亡した
- 厚生年金保険の被保険者だった者が在職中の疾病が原因で、在職中のその疾病の初診日から5年を経過する日前に死亡した
- 傷害等級1級または2級に該当する障害にある障害厚生年金を受けている者が死亡した
長期要件
- 老齢厚生年金の受給権者の死亡
- 老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者の死亡
遺族厚生年金の受取額の計算式
遺族厚生年金の受取額の計算式については以下のとおりです。
1.平成15年3月までの加入期間
平成15年3月までの被保険者期間の計算式
1.平均標準報酬月額×7.125/1000×被保険者期間
2.平成15年4月以降の加入期間
平成15年4月以降の被保険者期間の計算式
2.平均標準報酬額×5.481/1000×被保険者期間
3.短期要件の場合の計算式
短期要件に該当した場合(平成15年3月以前と4月以降で計算したそれぞれの額)
- (1+2)×300/被保険者期間×3/4
長期要件の場合の計算式
長期要件に該当(平成15年3月以前と4月以降で計算したそれぞれの額)
- (1+2)×3/4
遺族厚生年金の受給額シミュレーション
モデルケースの前提条件
亡くなったAさんには妻がいました。 Aさん、妻(専業主婦) Aさんと生計を同じくする妻は年収がないので、生計を維持する妻です。
Aさんは厚生年金保険の被保険者中に死亡してるので短期要件に該当します。
また、厚生年金保険の加入期間は15年、平均標準報酬額は300,000円、平成15年4月以降の加入期間は15年(180か月)です。
- 短期要件に該当
- 厚生年金の加入期間:15年(すべて平成15年4月以降)
- 平均標準報酬額300,000円
計算過程と年額・月額
- 平成15年3月まで 0円
- 平成15年4月以降の分:300,000円×5.481/1000×180か月=295,974円
- 短期要件に該当
- (0+295,974円)×300/180×3/4=369,967.5→四捨五入 370,000円(月額約30,800)
中高齢寡婦加算とは?
子が大きくなったり、子がいない妻は遺族基礎年金の対象になりません。
しかし、夫の死亡時に40歳から65歳までの妻に中高齢寡婦加算が支給される場合があります。
中高齢寡婦加算の金額(令和6年度)
中高齢寡婦加算の要件を満たす場合は、年額612,000円(令和6年度)が加算されます。
中高齢寡婦加算の要件
◎夫の要件
- 短期要件に該当
- 長期要件に該当する場合は、20年以上厚生年金に加入していること
◎妻の要件
- 夫の死亡時に40歳以上65歳未満であること
- 40歳に達した時、夫の子で遺族基礎年金の受給権者である子と生計を同じくしていたこと
経過的寡婦加算とは?
中高齢寡婦加算は65歳までで、その後は自身の老齢基礎年金が支給されます。
昭和31年4月1日以前に生まれた妻は、生年月日に応じて経過的寡婦加算が支給されます。
◎経過的寡婦加算
- 中高齢寡婦加算から老齢基礎年金を控除した額に妻の生年月日に応じた乗率をかけて計算
遺族基礎年金など国民年金からの給付
遺族基礎年金を受け取れる場合
上の例で、子がいれば国民年金からも給付を受けられる場合があります。
子がおらず、Aさんが国民年金の第1号被保険者として保険料を納めていれば、寡婦年金や死亡一時金を受けられる可能性があります。
18歳に達する日以後最初の3月31日に達するまでの子がいる場合は遺族基礎年金があります。
◎妻と子の遺族基礎年金(令和6年度)(昭和31年4月1日以前生まれ)
- 816,000円+2人目以降の子の加算額
- 子が1人、2人の加算額:234,800円
- 三人目以降の加算額:78,300円
寡婦年金・死亡一時金の位置づけ
遺族基礎年金が受け取れない場合に寡婦年金や死亡一時金というものがあります。
寡婦年金は、国民年金に加入していた夫が死亡した時に妻に支給される年金です。
60歳から65歳になるまで支給されます。
死亡一時金は、国民年金第1号被保険者が給付を受けないまま死亡した場合に、保険料が掛け捨てにならないようにするための給付です。
まとめ
- 遺族厚生年金は報酬額と加入期間によって金額が異なる
- 遺族厚生年金は短期要件と長期要件がある
- 平成15年3月までと4月以降で計算式が違う
- 平成15年3月までは平均標準報酬月額、平成15年4月からは平均標準報酬額
- 子がいる場合は遺族基礎年金も受けられる
- 40歳から65歳までの人は中高齢寡婦加算というものがある
◎遺族厚生年金の受取額の計算式
- 平成15年3月までの分 平均標準報酬月額×7.125/1000×被保険者期間
- 平成15年4月からの分 平均標準報酬額×5.481/1000×被保険者期間
3.
- 短期要件 (1+2)×300/全被保険者期間×3/4
- 長期要件 (1+2)×3/4

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