不動産資産は、預貯金や有価証券と並ぶ重要な資産とされています。
資産を不動産、預貯金、有価証券の三つに分散して運用する手法は、財産三分法といわれています。
それぞれの資産は特徴が異なり、価格の値動きも違うことから、リスク分散の目的で財産三分法が用いられてきました。
しかし、現在の日本人の資産構成は、不動産の占める割合が高いといわれています。
日本では資産の中で不動産が占める割合が高いので、資産形成を考える上でも不動産は重要な役割を果たします。
ライフプランがうまくいくかは不動産がカギと言っても過言ではないので、不動産の特徴を理解し、うまく活用することが必要です。
不動産とライフプランの関係
- 自分で住む → 住み心地・利便性
- 部屋を借りる → 世の中の変化に合わせやすい
- 不動産の売却 → 高く売れる・売れるのに時間がかかる
- 不動産投資として活用する → 安定収支・インフレに強い・節税対策
不動産とは?
法律では、不動産は土地及びその定着物とされています。
具体的には土地と建物ですが、建物には一戸建て・アパート・分譲マンション・賃貸マンションが代表的です(工場・学校・ホテルなども)。
- 土地 →居住用・商業用(店舗、ホテル、オフィス)・工業用(工場、倉庫)・公共用(学校・役所・病院)・駐車場など
- 建物 →戸建て・集合住宅→
- 集合住宅 →アパート・マンション(分譲、賃貸)・長屋・テラスハウス
不動産の権利の種類
- →所有権・借地権・借家権・地上権・使用貸借権・地役権など
不動産の特徴
価格が高い
不動産は、安くても何百万、高額な物件になると億を超えます。
また、個人にとって不動産取引は何度も経験するものではないので、その価格の妥当性を知る機会が限られます。
何よりも時間の経過とともに相場が変化することが珍しくありません。
いわゆる公示価格と時価が乖離することは当たり前に起きているのが不動産市場といえます。
- 不動産は価格が高い
- 個別性が高く価格が分かりにくい
- 時価が変動する
- 計算の基礎になる価格が複数存在(時価・路線価・公示価格など)
同じ物がない(個別性が強い)
不動産は、個別性が強く、似たような物件があっても全く同じ物件はありません。
隣接している場合でも一方は資産価値が大きいのに、もう一方は資産価値があまりないという物件もあります。
また、一方は日当たりがよく、もう一方は日当たりが悪かったりは常にあります。
このように不動産は個別的な要因が高く、市場の影響も受けます。
場所によっては、年月とともに周辺環境が変化することもあります。
- 完全な同じ物がない → 代替物はある
- 不動産は個別性が強い
- 隣り合う土地でも価値が高い物と低い物がある
- 時間の経過で周辺環境が変化することも(隣が雑種地→戸建て・マンションなど)
自分の物なのに自由に処分できない
高額のお金を支払って不動産を購入しても、自分の好き勝手に家を建てれないことがあります。
不動産には関連する法規が多くあり、建物を建てる際にも法律上の基準を満たさなければ違法建築となることがあります。
もし、自分で建てた家が違法建築であれば、その家の資産価値も下がってしまいます。
- 不動産は公共性が高い→建築基準法・都市計画法・国土利用計画法など、法律の制限
- 建物を建築する→建築基準法・都市計画法など
- マンションに住む→区分所有法・適正化法など、組合に届出が必要なことも
- 賃貸借 →借地借家法・民法など
流動性の問題
不動産が資産価値があるといっても、現金にするには時間がかかります。
買い取り業者に売却すればすぐに換金できますが、時間をかけるよりも安い値段での売却となります。
この現金化するのに時間がかかることが「流動性の問題」です。
すぐに換金できる場合もありますが、その場合は市場価格を下回るのが一般的です。
売却しようにも1年以上売れず、最初の売り出し価格からどんどん下げてようやく売れることもあります。最初の価格が高すぎることも一因です。
- 不動産は換金しにくい・時間がかかる
- 数カ月かかるのが普通
- 業者に買い取ってもらう→安くなる
見えない部分が大事
建物がきれいかどうかは見れば分かりますが、土地の権利や埋設管を調べてみると賃借権やら地役権やら抵当権が設定されていたりします。
建物が立派に見えても再建築不可だったり、実は資産価値はとなりのぼろ家の方があったりすることもあります。
- 不動産は権利関係が複雑のことが多い
- →土地の所有者A・借地権者B・建物の賃借権者C・抵当権者D・根抵当権者E
- 再建築不可・建ぺい率オーバーなどある
戸建てとマンション
一戸建てと分譲マンションとでは、特徴に違いがあります。
分譲マンションは、区分所有法という法律によって運用管理について規定されており、一戸建てとでは様々な点で扱いが異なるので、分けて考えたほうがいいのではと思うこともあります。
戸建ての特徴
- 自由に増築・建て替え・リフォームができる
- 建物を自由に設計できる(法律の範囲で)
- マンションより独立性が高い
- 土地が残るから建物だけの費用で建替えできる
- 防犯・維持・管理に手間がかかる
区分マンションの特徴
- 防犯性が高い
- 利便性の高い場所に住める
- 管理費・修繕積立金がかかる
- 建て替えが難しい
- 新しいと早く売れやすい
- 負動産になりやすい
不動産投資の特徴
不動産は、資産形成を考える上でも重要な資産なので、不動産投資についても触れておきます。
不動産投資の特徴
- 収益性 →比較的高い→家賃収入・値上がり益 (株式より低く、債券より高い)
- 安全性 →高い→ 実物資産・登記制度
- コスト → 高い →購入に諸費用・維持コスト
- 流動性 →悪い→時間がかかる
- インフレ→強い
家賃収入と譲渡利益
不動産投資では、借主からの家賃収入が継続的な収入になります。
また、不動産を売却した時に発生する譲渡利益も収入です。
家賃や不動産価格は物価に連動するので、インフレに強い資産といわれています。
維持コスト
不動産は保有しているだけでコストがかかります。
固定資産税と都市計画税といった税金や、経年劣化に伴う建物、設備の修繕費用がコストです。
つまり、不動産は運用していくことではじめて有効な資産となります。
- 資産 →現在または将来お金を生む
- コストだけかかって売れない(キャッシュを生まない)→資産とはいえない
長期的な視点が必要
不動産投資では、資金の投資を最初に行い、投資事業を通して投下資金を長期にわたって回収していきます。
- 減価償却→支出を伴わない費用
ローンを利用することでレバレッジが効くのも不動産投資の特徴です。
- 自己資金1,000万円+借入金9,000万円→10倍の取引が可能
時代遅れの間取り、利便性の悪い土地など、これらは空室が増える原因になります。だからといって建物を簡単には撤去できません。
- 立地が悪い→後で苦労する→将来の売却のことも考える
不動産投資では、今後の日本の課題や市場調査も重要になります。
- 投資計画→実際の収支→見直し・付加価値→改善
まとめ
不動産の特徴
・現物資産→価値がゼロにならない・利用できる
・個別性が強い→完全な代替不動産はない
・法律の制約が多い→建築基準法・都市計画法・区分所有法など
・高額な資金が必要→住宅ローン・住宅ローン控除利用できる
・資産価値が変動する→建物は劣化・インフレに強い
不動産投資の特徴
・インカムゲイン(家賃)とキャピタルゲイン(売却益)がある
・維持コスト・購入コストがかかる
・レバレッジが効く
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