貯蓄から投資へのスローガンのもとNISAやiDeCoが創設され、アベノミクスや東京オリンピックへの期待もあって投資市場が好調です。
しかし、金融商品や不動産といった投資商品には様々なリスクがあります。
投資商品を選択する際はリターンばかりをみるのではなく、リスクやその投資商品の特性についても把握しておくことが大事です。
リターンだけを見てリスクや商品の特性を知らなければ、それは投資というよりもギャンブルに近くなってしまいます。
現代ポートフォリオ理論においては、リスクとリターンは基本的に比例するので、運用して殖やすためにはリスクと向き合う必要があります。
目次[閉じる]
投資におけるリスクとリターンの基本

投資で最初に知っておくべきは、リスクとリターンの関係についてです。
投資でいう「リスク」は不確実性を意味する
投資においてのリスクは、不確実性を意味します。
リスクがあるほど価格などの振れ幅は大きくなります。 投資でリスクを表すとき、統計学の標準偏差を用いることがあります。
アメリカのS&P500の100年の平均リターンは約8%~12%といわれてますが、その分リスクは高くなります。
リスクが20%としたら、その年によってリターンは30%~マイナス10%になるイメージです。
とはいえ、リスクがあるから、価格が100だったものが、150になったり50になったりするわけです。
リターンは収益の大きさを表す
一方リターンは収益を意味します。
リターンが大きいほど収益は大きくなり、リターンが小さければ収益は小さくなります。
投資では、その商品を保有していることで得られるインカムゲインと、その商品を売却した時に得られるキャピタルゲインがあります。
株式であれば、企業が利益を得たときに株主に還元する配当金と、株価の値上がりで得られる売却益です。
不動産投資では、景気がよければキャピタルゲインに期待できるとともに、家賃収入というインカムゲインを得ることができます。
リスクとリターンは比例する
投資の目的はリターンに期待して行うことが多いため、リスクとリターンの関係を知っておくことは重要です。
現代ポートフォリオ理論では、リスクとリターンは原則として比例します。
リスクが大きいほどリターンが大きくなり、リスクが小さければリターンも小さくなります。
大きなリターンを期待したいのであれば、リスクをとる必要がありますし、リスクを抑えたければリターンを諦める必要があります。
株式・不動産・債券のリスク/リターンの比較
一般的にリスクが大きい順に並べると 株式 > 不動産 > 債券 となりますが、期待リターンについても同じです。
株式は、大きなリターンを期待できますが、一括で投資するとリスクも大きくなります。
そこでいくつかの商品に分けて投資(分散投資)することで、リスクを抑えることができます。
分散投資をすればリターンは抑えられますが、リスクも抑えられます。
しかし、株式市場の成長力を取り込めるのは大きなメリットです。
投資に伴う代表的な6つのリスク

投資においてはリスクが避けられません。
ここでは、投資における代表的なリスクを紹介します。
価格変動リスク
株式や投資信託といったものは、日々値上がりすることがあれば値下がりもします。
株式や投資信託は、日々価格が変動するので価格のリスクは大きいといえます。
投資信託の中には、債券や銀行預金といった価格のリスクが低いもので運用されているものがある反面、新興国市場といったリスクの高い市場で運用されているものもあります。
債券や保険商品のように、一定期日まで保有していれば決まったお金が戻ってくるものもあります。
債券を満期まで保有していれば、保有している期間の利子と決められたお金が戻ります。
また、保険商品は、満期まで解約しなければ、掛金以上のお金を受け取れることも多いです。
とはいえ価格のリスクが少ない商品はリターンが限定されます。
為替リスク

為替変動リスクは、円安や円高といったように、通貨が変動するリスクのことです。
例えば100ドルを1ドル100円で保有していたら、1ドル80円になってしまうこともあります。この場合は、1万円で100ドル買ったとしたら換金しても8000円にしかなりません。
反対に円安になれば、円の価値が下がるので差額が為替差益(リターン)となります。
外国の債券は利率が高いと思って手を出すと、為替の変動リスク次第では大きな損をすることもあります。 反対に大きな得をすることも当然あります。
外国の商品は、為替リスクに注意が必要です。
私は大学時代に利回り20%という外国通貨の割引債に手を出しましたが、それ以上の円高でひどい目にあいました。割引債というのは利払いがないかわりに割引いて購入できる債券です。
金利変動リスク
金利変動リスクは、金利が下がった場合に予定していた金額を受け取れなくなったり、上昇によって予定以上の金利を受け取る場合です。
金利の変動は、資産価値にも影響します。
リスクは不確実性のことをいいますが、必ずしもマイナスのことを指すわけではありません。
金利の変動は、投資の価格に影響します。市場金利が変動すれば、金利の低い債券は売られ、もっと利回りの良い商品に投資する人が増えます。
不動産も同様で、金利が下がればローンを組んででも購入する人が増えるので、不動産価格が値上がりします。
反対に金利が上がればローンを組む人が減るので不動産価格が下がります。
流動性リスク

金融商品の全てが直ぐに換金できるわけではなく、一定期間は換金できないものがあります。
途中で換金できたとしても、一定額を負担させられるものもあります。
不動産であれば、売却しようと思っても、なかなか買い手が現れないこともあります。
早めに売ろうと思えば、かなり安く売りださなければ売れません。
商品の換金しやすさを表すことを流動性といい、換金しにくいものは流動性が低いなどといわれます。
投資する際は、流動性のリスクについて把握しておくことも大切です。
信用リスク
信用リスクは、発行体や保険会社、銀行といった企業等の信用が低下することで起こるリスクです。
株式等は企業が倒産したら価値はありませんし、保険会社や銀行が倒産した場合も一定金額以上までしか保障されません。
信用リスクが高い商品は、債務不履行によって投下資金が回収できなくなる可能性があります。
マクドナルドの食肉問題のように、企業の不祥事によっても株価が大きく下がります。
飲食店のアルバイトが不衛生な動画をSNSに投稿して、会社の株価が下落した例もあります。
会社の信用が低下すれば、当然株価にも影響が出ます。
インフレリスク

普段の生活に大きな影響を与えるのがインフレです。
運用によって毎年2%の利益が出てもインフレが3%であれば実質的には資産は目減りしていくことになります。
昭和の時代の話ですが、拠出したお金が合計で300万円、戻ってきたお金が500万円だったと喜んでいても、その間にインフレによって物価が倍以上になっていたそうです。
名目値では大きく増えていても、実質値でみたら損をしていることは多いのに、知らぬは本人ばかりなりというのは身近にあります。
資産運用はインフレリスクと分けては考えられません。
消費税増税の影響で生活用品以外の購入を差し控える人が増加しているようですが、輸入に大きく依存する日本では、世界経済のインフレの影響にも目を向ける必要があります。
分散投資でリスクを抑える方法
金融商品のリスクに対処する方法として、分散投資を行うことが有効です。
例えば、100万円を一つの株式に投資すると10%の値下がりがあれば10万円の価値を失うことになりますが、分散投資をしていれば、10%の値下がりがあっても損失は限定的です。
このように分散投資はリスクに対して効果的です。
分散投資の考え方(対象・時期・金額)
分散投資には、投資対象の分散、投資時期の分散、投資金額の分散、といったものがあります。
投資対象を分散させることで、リスクを減らすことができますが、通常はリスクの減少とともにリターンも減少します。
分散投資の注意点
広い範囲で分散投資をしても、価格が同じような動きをする資産を購入すれば、分散投資によるリスクの軽減効果も限定的です。
1000万円を3つの商品に分散して投資しても、3つの銘柄の価格が全く同じに変動すれば、分散投資の効果はないということです。
分散投資するときは、相関しあわないものを組み合わせることが必要です。
個別株で同じ業界の別会社の株を分散して買うことがありますが、同じ業種なので似たような値動きをすることは多いです。
投資信託で分散効果を得るメリットと限界
投資信託であれば、分散投資の効果が期待できます。
投資信託のメリットは企業の倒産がないことですが、保有しているだけでコストが掛かります。投資では、コストに対して目を向けることも大切です。
また、投資信託は平均のリターンしか得られないので、個別株よりリターンが少ないです。
- 投資信託→インデックスファンドなら市場の平均リターンが期待できる
- 個別株→投資信託を上回るリターンが期待できる一方、リスクが高い
まとめ
-
投資はリスクとリターンの関係を理解することが第一歩
-
リスクがあるからこそリターンが得られる
-
分散投資はリスクを下げる有効な手法
-
商品の特性とリスク許容度に応じた戦略が重要

コメント Comments
コメント一覧
コメントはありません。
トラックバックURL
https://yokohama-lifeplan.com/money/diversified-investment-and-risk/trackback/