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「暴落しても半年で戻る」は本当?過去の株価暴落の回復年数と備えるべきこと

「暴落しても半年で戻る」は本当?過去の株価暴落の回復年数と備えるべきこと

コロナショックは半年で回復しましたが、過去の暴落では元に戻るまで5年以上かかった例が珍しくありません。

S&P500の長期データをもとに、暴落からの回復年数と、積立年数ごとの影響を1級ファイナンシャル・プランニング技能士が検証します。

 

【この記事から分かること】
・コロナショックの「半年で回復」が、歴史的には例外だった理由
・過去の主要な暴落で、株価が元に戻るまでにかかった年数
・配当や為替を考慮すると、回復年数がどう変わるか
・積立年数によって、暴落の影響がどう違うか
・積立投資家が本当に備えるべき「取り崩し直前の暴落」への対策

 

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コロナショックの半年で回復は例外か

直近の大暴落として記憶に新しいのが、2020年のコロナショックです。

S&P500は2020年2月の高値から約1ヶ月で約34%下落しました。

ところが、各国政府の大規模な財政出動と、中央銀行による前例のない金融緩和によって、同年8月には元の高値を更新しています。

 

3割以上下落したのに、わずか半年で元に戻った。

この経験から、暴落しても数ヶ月から1年待てば戻ると考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、過去の暴落を振り返ると、半年で回復したコロナショックはむしろ例外なのかもしれません。

 

過去の暴落から回復するまでにかかった年数

S&P500が暴落前の高値を回復するまでにかかった期間をまとめました。

暴落 下落率 株価の回復 配当込みの回復 配当込み・物価考慮の回復
世界恐慌(1929年〜) 約86% 約25年 約15年 約7年
オイルショック・スタグフレーション(1973年〜) 約48% 約7年半 約3年半 約12年
ITバブル崩壊(2000年〜) 約49% 約7年 約6年 約13年
リーマンショック(2007年〜) 約57% 約5年半 約5年 約5年半
コロナショック(2020年) 約34% 約半年 約半年 約半年

※下落率は日次終値ベース。回復年数は、シラー教授が公開しているS&P500の月次データ(月中平均値)をもとに筆者が計算したものです。
※世界恐慌の時期は、S&P500の前身となる指数の数値です。S&P500が現在の500銘柄の形になったのは1957年です。なお、よく引用される「89%下落」はNYダウの数字です。

 

配当を含めると回復は早まる

株価だけを見ると、世界恐慌では元の水準に戻るまで約25年かかっています。ただし、この間も企業は配当を出し続けていました。

配当を再投資した場合で見ると、回復までの期間は約15年に短縮されます。さらに、当時は物価が大きく下がったため、物価を考慮した実質ベースでは約7年で回復しています。

 

投資信託で積立投資をしている方の多くは、分配金を再投資しているはずです。

回復年数を考えるときは、株価だけでなく配当込みの数字を見ることが大切です。

 

インフレ期は実質価値の回復が遅れる

反対に、1973年からのスタグフレーション期は、配当込みの名目では約3年半で回復しています。

しかし、物価の上昇が激しかったため、実質的な購買力で見ると回復までに約12年かかりました。

ITバブル崩壊後も、途中でリーマンショックが重なったため、実質ベースの回復には約13年かかっています。

 

「金額は元に戻ったのに、買えるものは減っている」という状態が長く続くこともあるわけです。

 

日本の投資家は為替の影響も受ける

日本から米国株に投資している場合は、為替も影響します。

リーマンショックの際は、株価の下落と同時に大幅な円高が進みました。

円建て・配当込みで見ると、元の水準に戻るまで約6年かかっています。ドル建てより1年ほど長くかかった計算です。

 

積立投資家の場合はどうなるか

ここまでの数字は、暴落直前の高値で一括投資した場合の回復年数です。

では、毎月コツコツ積み立てている場合はどうでしょうか。

 

リーマンショックを例に、毎月5万円をS&P500(配当再投資、円建て)に積み立てていた場合を、暴落時点での積立年数ごとに検証しました。

暴落時点の積立年数 底値での評価額(元本との比較) 元本割れしていた期間
1年 元本の57%(−43%) 4年以上
3年 元本の58%(−42%) 約4年
5年 元本の63%(−37%) 約3年
10年 元本の62%(−38%) 約3年半
15年 元本の95%(−5%) 約3ヶ月

※2007年6月時点の積立年数。手数料と税金は考慮していません。

 

積立の前半から中盤は、元本割れが長く続く

積立を始めて間もない人ほど、元本割れしていた期間は長くなりました。

積立開始から1〜10年の人は、およそ3年から4年以上、元本を下回る状態が続いています。

 

一方で、下落局面でも同じ金額を買い続けたことで、安い価格で多くの口数を買えました。

その結果、元本割れから抜け出すまでの期間は、暴落直前に一括投資した場合より1年ほど短くなっています。

「積立なら一括より早く戻る」というのは、この意味では正しいといえます。

また、積立の前半は元本自体がまだ小さいため、損失の金額も比較的小さく済みます。

 

積立の後半は、元本割れはしにくいが失う金額が大きい

積立15年目の人は、元本割れした期間がわずか3ヶ月ほどでした。

それまでに積み上がった利益が、クッションになったためです。

 

ただし、金額で見ると話は変わります。暴落前に約2,160万円あった評価額は、底値では約960万円まで減りました。1,200万円近くが失われた計算です。

さらに、暴落前の評価額まで戻ったのは約5年半後でした。

資産が大きくなると、毎月5万円の買い増しで平均取得単価を引き下げる効果はほとんど働きません。そのため、一括投資とほぼ同じ期間、回復を待つ必要があったのです。

つまり、積立の後半に暴落が来た場合のリスクは「元本割れ」ではなく、「積み上げた利益の多くを失い、元の水準に戻るまで5年以上かかる」ことです。

 

本当に怖いのは取り崩し直前に起きる暴落

積立を続けている間の暴落であれば、時間をかけて回復を待つことができます。

問題になるのは、これから資産を取り崩して生活費に充てようというタイミングで暴落が来た場合です。

 

例えば、老後資金として取り崩しを始める直前に資産が半分になれば、回復を5年以上待つ余裕はないかもしれません。

回復を待てずに、下がった価格で売却せざるを得なくなると、損失が確定してしまいます。

 

こうした事態に備えて、次のような対策を検討しておくといいかもしれません。

・取り崩しを始める5〜10年前から、少しずつ債券や預金の割合を増やし、値動きを抑える
・数年分の生活費は、株式以外の預金などで確保しておく
・取り崩しは一度にまとめて行わず、時期を分散する
・暴落時は取り崩す金額を減らし、株式の売却を後回しにできるようにしておく

 

まとめ

コロナショックの「半年で回復」は、大規模な財政出動と金融緩和に支えられた例外的なケースでした。

過去の暴落では、配当込みで見ても回復までに5年前後かかった例が珍しくありません。

 

積立投資は、始めたばかりの時期ほど元本割れの期間が長くなりやすい一方、損失の金額は小さく済みます。

資産が大きくなった後半は元本割れしにくくなりますが、暴落で失う金額は大きくなります。

大切なのは、「暴落してもすぐ戻る」と楽観することではなく、戻るまでに5年以上かかる可能性があると想定したうえで、特に取り崩しの時期に備えておくことです。

 

※本記事は過去のデータに基づく検証であり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資の最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。

 

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