中国の武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大で、世界中の人々の生活が激変しました。
日本人の中にも、自営業者や非正規雇用の人を中心に生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされている人がいます。それにもかかわらず、日本政府は、一世帯に2枚のマスク配布や、非常にハードルが高い現金給付を打ち出すしか出来ず、国民は右往左往するばかりでした。
今回は、生活が激変した場合に知っていると役に立つかもしれない社会保険についてまとめてみました。
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生活が苦しいときに利用できる公的支援とは
景気の悪化や収入減、失業、病気などで家計が急に苦しくなると、まず何から手をつければいいのか分からなくなるものです。
しかし、日本にはこうした状況に備えて、様々な公的支援が用意されています。
公的支援と聞くと、手続きが難しそう、自分は対象じゃないかもと敬遠しがちですが、実際には証券を満たせばだれでも利用できる制度が多いのが特徴です。
なかには、申請が遅れると受け取れなくなる給付もあるため、早めに知っておくことが何より大切です。
たとえば、
- 家賃が支払えない時の支援(住宅確保給付金)
- 失業した時の収入補填(雇用保険の基本手当)
- 会社が休業した場合の補償(休業手当)
- 病気で働けない場合の収入補填(傷病手当金)
- 会社の倒産による未払賃金の補填(未払賃金立替制度)
といった状況に応じて利用できる制度があります。
家計が苦しいと感じたら、まず先に今の自分はどの制度を使えるのかを確認することが重要です。
次の章からは、それぞれの制度を解説していきます。
家賃が払えないときの支援「住居確保給付金」

住居確保給付金の概要
住居確保給付金は、失業した人で住宅を失ってしまった人や、失業により住宅を失う恐れがある人が対象となる家賃額を支給する制度です。
相談窓口は市町村になるので、まずは市町村に相談するのがいいかもしれません。
制度自体は以前からあったものの、用件が厳しかったために利用者は少なかったのですが、コロナウイルスの影響で住居確保給付金の条件が一部緩和されました。
また、4月20日以降の申請についてはさらに要件が緩和される見込みです。
対象となる人の要件
離職又は自営業を廃業した人
・離職等により経済的に困窮し、住居を喪失した又は住居を喪失するおそれがあること
・申請日において、離職又は廃業の日から2年以内であること
・離職等の日において、申請者が世帯の主たる生計維持者である
・申請日の属する月における、申請者及び申請者と同一の世帯に属する者の収入の合計額が、「基準額(市町村民税均等割が非課税となる収入額の12分の1の額)」に申請者の居住する賃貸住宅の家賃額を合算した額以下であること
・申請日における、申請者及び申請者と同一の世帯に属する者の所有する金融資産の合計額が、基準額の6倍(ただし100万円が上限)以下であること
・常用就職を目指した求職活動を行うこと
・申請者及び申請者と同一の世帯に属する者のいずれもが暴力団員ではないこと
収入・資産基準(自治体ごとに差)
●収入基準額(横浜市の場合)
申請日の属する月における収入の合計額が、基準額+住居費以下であること
基準額は市町村民税均等割が非課税となる収入額の12分の1の額、住居費には上限あり
基準額:1人世帯は84,000円、2人世帯は130,000円、3人世帯は172,000円
住居費の上限額:1人世帯は52,000円、2人世帯は62,000円、3人世帯は68,000円
●金融資産額
金融資産額は基準額の6倍以下であること
1人世帯は504,000円、2人世帯は780,000円、3人世帯以上は1,000,000円
4月20日以降は要件が緩和され、自身の責めに帰すべき理由や自身の都合によらない理由で仕事が減少したことにより、離職や廃業と同等の状態である人も対象になります。
また、求職活動の要件も緩和されます。
支給期間は原則3か月ですが、要件を満たせば申請により最長で9か月まで延長も可能です。
家賃については、賃貸人に直接支給されます。
失業した場合に受けられる支援「雇用保険(失業手当)」

失業した場合の社会保険というと、雇用保険の失業手当を思い浮かべる人が多いと思います。
雇用保険の失業手当は、多くの場合、求職者給付の基本手当のことをいいます。
失業したらどうなる?雇用保険の基本手当をわかりやすく解説|受給資格・手続き・必要日数までFPが整理
基本手当の受給要件
基本手当を受けるには仕事を失っただけではだめで、本人に就業意欲がなければなりません。
就業意欲は、就職活動(面接、資格試験等)の回数で判断されます。
基本手当を受けるには、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上ある等、要件を満たしていることが必要です。
ただし、倒産や解雇等によって離職した人については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あれば認められます。
さらに基本手当を受けるには、公共職業安定所に行き、求職の申し込みをするなどの手続きが必要です。
受給資格の決定がされれば、失業認定日に出頭して職業の紹介を求めながら、失業の認定を受けます。
自己都合と給付制限
自己都合による退職の場合は、3か月の給付制限(5年以内に2回まで2ヶ月)がありますが、倒産や解雇等のやむを得ない場合は給付制限はありません。
ただし、やむを得ない場合であっても7日の待期期間はあります。
基本手当は、60歳未満であれば、賃金日額の50%~80%の範囲です。
会社が休業したときの「休業手当」

材料不足や不況等によって会社が休業する場合は、使用者の責に帰すべき理由に該当する休業です。
この場合の休業について、使用者は休業期間中は労働者に平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならないとされています。
ただし、もともと決められている休日については手当の対象となりません。
ちなみに派遣労働者の場合は、派遣元が使用者になります。派遣元が使用者になるのは健康保険、厚生年金、雇用保険等の社会保険についても同様です。
病気で働けないときの「傷病手当金」(健康保険)

コロナウイルスに感染した場合等は会社を休業することになります。
日本は国民皆保険なので、会社員であれば健康保険組合または健康保険協会、それ以外の人、例えば自営業者等であれば国民健康保険に加入しているはずです。
支給条件
もしも、被保険者が療養によって労務に服することができないときは、労務に服することができなくなった日から起算して3日が経過した日から「傷病手当金」が支給されます。
この傷病手当金は、健康保険組合または健康保険協会は対象となりますが、国民健康保険の対象である自営業者には本来ないものです。
しかし、新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時に感染した又は疑いのある場合は自営業者も傷病手当金の給付の対象となりました。
支給額(報酬の2/3)
傷病手当金の支給額は、標準報酬月額の1/30の3分の2です。
国民健康保険ついては、「直近の継続した3ヵ月間の給与収入の合計額 ÷ 就労日数 × 2/3 × 日数」となります。
どちらもイメージとしては、1日当たりの2/3といったところです。ただし、上限もあります。
勤務先が倒産したときの「未払賃金立替払制度」

コロナウイルスの影響で、戦後最大の大不況になることは確実だそうです。となると今後は日本でも倒産する企業が出てくることは避けられないでしょう。
勤めていた会社が倒産した場合に、働いた分の給料を確保するにはどうすればよいのでしょうか。
会社が倒産して給料を請求する際、利用できるものに労働組合に加入して交渉するというものがあります。労働組合は、大手企業にあるイメージを持つ人は多いですが、小さな会社の従業員でも労働組合に加入することができます。
一人では交渉が難しいことも、労働組合が代わって交渉することで出来ることもあります。
未払賃金立替払制度の概要
賃金支払確保法の未払賃金の立替払というものによる救済方法もあります。
会社が倒産したため、賃金が支払われない場合であれば、未払賃金の8割について、労働者健康安全機構が立替払してくれるのが未払賃金立替払制度です。
未払賃金立替払制度の要件
労働基準監督署は、調査をしてから認定を行うので、時間はかかります。
公的支援以外で使える相談窓口
収入が減ったり、生活費が足りず、生活が困難な時に相談するといいのが自治体の生活困窮者自立支援窓口です。
生活困窮者自立支援制度は、さまざまな生活上の悩みを抱えている人を支援する公的制度です。
「今すぐお金が必要」
「仕事を失って今後どうすればいいかわからない」
「家賃が払えず、このままだと住まいを失いそう」など、
相談内容の幅が広く、次のようなことを無料でサポートしてくれます。
窓口は市役所・区役所の福祉課に設置されています。
費用はかからず、相談内容が会社・家族に伝わる心配もありません。
まとめ|困ったときは「早めの相談」が何より大事
これらの制度以外にも生活保護などもあります。
私も生活保護受給者の自立支援に携わっていたことがありますが、自治体によって扱いに違いがあります。
困った時は、まずは住んでいる地域の自治体に相談してみることが大切です。

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