年金には、国が運営する公的年金と国以外が運営する私的年金があります。
公的年金の代表的なものには、国民年金と厚生年金があります。
私的年金には、個人で加入する生命保険会社等が扱っている個人年金といったものがあります。

厚生労働省白書によれば、老後世帯の7割が年金のみに頼った生活を送っていると答えているように、ライフプランやリタイアメントプランを考えるうえで、公的年金は一番重視しなければいけない項目です。

年金の中には、本人が死ぬまで受け取れる終身年金や、一定期間が対象の有期年金といったものまであります。
目次
公的年金には、国民皆年金、世代間扶養、物価に連動する、といった特徴がある
公的年金には、国民皆年金、賦課方式(ふかほうしき)、物価スライド等の特徴があります。

こういった公的年金の特徴は、私的年金にはなく、政府主導だからこそできる制度といえます。
私的年金の場合は、自分で加入しなければ年金はありません。また、年金の財源は自分が納めた保険料で、受け取る年金は加入時に分かります。
また、以前は、雇用される側の年金には、民間の厚生年金と公務員の共済年金とがありましたが、不公平感があったことから、法改正によって2015年から一元化されました。
無職も自営業も20歳~60歳なら原則みんなが対象となる「国民皆年金」
会社に勤めている人には、厚生年金があります。
会社員以外の自営業の人や学生の人であっても、日本に住む20歳以上60歳未満の人であれば、国民年金の被保険者に強制加入となります。
日本に住む20歳以上60歳未満の人ということは、国籍が関係ないので、外国人の人も原則強制加入の対象となります。

専業主夫及び専業主婦であっても、相手の配偶者が厚生年金の被保険者の場合は、収入がないのであれば、国民年金の第3号被保険者になります。
第3号被保険者だと保険料を徴収されるわけではないので実感がないと思いますが、専業主夫も専業主婦も国民年金の被保険者となっています。
社会保険制度により、個人から国全体でリスクを負うことになり、安定した保険運営が可能となります。

賦課方式というのは、働き世代から年金受給者へのお金の移動みたいなもの
現在の年金で行われている賦課方式というのは、年金の給付に必要となる財源を現役世代からの保険料でまかなうという方式です。
年金制度の解説に関する本やパンフレットでは、年金制度について現役世代から年金受給者への世代間扶養と説明していることがありますが、世代間扶養の考えによって今の年金制度は運営されています。

賦課方式の他にも、「積立方式」という年金方式があります。
積立方式では、働いている間に年金保険料を積み立てておき、将来の年金受給時に年金として受け取ります。
賦課方式と比べると、より自己責任が強いのが積立方式といえそうですが、日本では積立方式は採用されておらず、賦課方式が採用されてます。
少子高齢化が進んだことで、世代間による人口の差が出ていますが、年金受給者が多くなれば、当然ですが現役世代の負担が重くなります。世代間の年金格差には、賦課方式にも原因があります。

賦課方式は、積立方式よりもインフレに対応しやすいといわれています。
積立方式だと、積み立てた保険料がインフレによって将来受け取る年金が目減りするというリスクがあります。
その点、賦課方式であれば、世代間扶養なのでインフレによるリスクは少ないということです。

物価スライドなので、世の中の物価や賃金に変動があっても実質的な価値に対応している
公的年金では、年金額が法律で定められています。
しかし、法律で定められた金額のままだと、インフレが起きた場合に、受け取っている年金額は変わっていないのに、実際の価値が下がっているなんてことが起こるかもしれません。
そのため、公的年金では物価の変動に応じて年金額が改定されるという仕組みがとられています。
平成16年の改正で、保険料水準固定方式とマクロ経済スライドという仕組みが取り入れられました。
保険料水準固定方式によって、平成16年から平成29年9月まで段階的に保険料が引き上げられていきました。
その結果、現在は、厚生年金保険料率は18.3%、国民年金保険料は月16,900円で固定されています。
さらに、手取り賃金や物価変動率を加味して保険料が具体的な数値となります。
マクロ経済スライドは、年金給付と保険料負担に応じて調整する仕組みです。
現役世代の減少と平均余命の伸びを考慮した率によって、給付水準を調整するという仕組みです。
本来であれば、物価が上昇すればそれに伴って年金も改定されますが、このマクロ経済スライドによる調整率によって年金の上昇が抑えられます。
つまり、物価が上昇した分だけ年金も上昇するわけでなく、調整率分だけ受け取る年金が少なく抑えられます。

公的年金が受け取れるのはどんな場合?年金の対象となる原因は「老齢、障害、死亡」
公的年金の支給事由には、老齢、障害、死亡の3つがあります。
国民年金では、老齢は老齢基礎年金、障害は障害基礎年金、死亡は遺族基礎年金として給付されます。
厚生年金では、老齢は老齢厚生年金として、障害は障害厚生年金、死亡は遺族厚生年金として給付されます。
現在の公的年金では、65歳からを老齢としているので、65歳に達した人が老齢年金の対象となります。
一定以上の障害が認められる場合は、障害を理由に障害年金を受け取れます。
死亡の場合は、本人ではなく、残された遺族が年金の対象となります。被保険者が死亡した場合に遺族が受け取れるので遺族年金というわけです。
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日本の公的年金の特徴と、どんなときに支給事由となるかのまとめ

・公的年金では、原則すべての国民が加入することになっています。
・公的年金の運営は、現役世代の保険料が年金受給者の年金財源になる、という世代間扶養によって運営されています。
・インフレが起きた場合に対応するように、公的年金額は物価に応じて変動することがあります。
・公的年金の支給事由には、「老齢(65歳)」、「障害」、「死亡」の3つがあります。