社会保険

日本の公的年金制度の特徴と受けられる原因(種類)

投稿日:2017年10月24日 更新日:

年金には、国が運営する公的年金と国以外が運営する私的年金があります。

公的年金の代表的なものには、国民年金と厚生年金があります。

私的年金には、生命保険会社等が扱っている個人年金といったものがあり、こちらは加入が任意です。

 

公的年金は、制度が複雑で分かりにくいのですが、何かあったときの生活を支える一番身近な年金制度です。

厚生労働省白書によれば、老後世帯の7割が年金のみに頼った生活を送っていると答えているように、ライフプランやリタイアメントプランを考えるうえで、公的年金は一番重視しなければいけない項目です。

条件を満たせば、一定期間にわたって年金を受け取り続けられるのが公的年金の良い点です。

年金の中には、本人が死ぬまで受け取れる終身年金や、一定期間が対象の有期年金といったものまであります。

公的年金には、国民皆年金、世代間扶養、物価に連動する、といった特徴がある

公的年金には、国民皆年金、賦課方式(ふかほうしき)、物価スライド等の特徴があります。

言い換えると、国民皆年金は強制加入、賦課方式は若者が年金受給者を扶養、物価スライドはインフレにも対応する、となります。

 

こういった公的年金の特徴は、私的年金にはなく、政府主導だからこそできる制度といえます。

私的年金の場合は、自分で加入しなければ年金はありません。

また、年金の財源は自分が納めた保険料で、受け取れる年金も基本的に加入時に分かります。

以前は、雇用される側の年金には、民間の厚生年金と公務員の共済年金とがありましたが、不公平感があったことから、法改正によって2015年から一元化されました。

 

無職も自営業も20歳~60歳ならみんなが対象となる国民皆年金

会社に勤めている人には、厚生年金があります。

会社員以外の自営業や学生の人であっても、日本に住む20歳以上60歳未満の人であれば、国民年金の被保険者に強制加入となります。

日本に住む20歳以上60歳未満ということは、国籍が関係ないので外国人も原則強制加入の対象になります。

 

誤解している人がいますが、専業主夫、専業主婦であっても強制加入です。

専業主夫、専業主婦の配偶者が厚生年金の被保険者であって、収入がないのであれば国民年金の第3号被保険者になります。

第3号被保険者だと保険料を徴収されるわけではないので実感がないかもしれませんが、専業主夫も専業主婦も国民年金の被保険者になります。

 

社会保険制度によって個人から国全体でリスクを負うことになり、安定した保険運営が可能となります。

最近は、社会保障費が増大となり過ぎて社会保険制度自体が問題視されてますが。また、公的年金は官僚や政治家による不正が多いのも特徴です。

 

賦課方式というのは、現役世代が年金受給者を養う方式

現在の年金で行われている賦課方式というのは、年金の給付に必要となる財源を現役世代からの保険料でまかなうという方式です。

年金制度の解説に関する本やパンフレットでは、年金制度について現役世代から年金受給者への世代間扶養と説明していることがあります。

今の賦課方式に修正を加えた方式で実際には運営されています。

 

賦課方式の他にも「積立方式」という年金方式があります。

積立方式では、働いている間に年金保険料を積み立てておき、将来の年金受給時に年金として受け取ります。

賦課方式と比べると、より自己責任が強いのが積立方式といえそうですが、日本では積立方式は採用されておらず、賦課方式が採用されてます。

 

少子高齢化が進んだことで世代間による人口の差が出ていますが、年金受給者が多くなれば、当然ですが現役世代の負担が重くなります。世代間の年金格差には賦課方式にも原因があります。

ただ、賦課方式には賦課方式のメリットがあります。

賦課方式は、積立方式よりもインフレに対応しやすいといわれています。

積立方式だと、積み立てた保険料がインフレによって将来受け取る年金が目減りするといったリスクがあります。

その点、賦課方式であれば、世代間扶養なのでインフレによるリスクは少ないということです。

 

年金制度発足時の経済状況が原因で賦課方式を導入したという説もあります。官僚の不祥事が原因ともいわれています。

 

物価スライドなので、世の中の物価や賃金に変動があっても対応できる

公的年金では、年金額が法律で定められています。

しかし、法律で定められた金額のままだと、インフレが起きた場合に受け取っている年金額は変わっていないのに、実際の価値は下がっていることになります。

そのため、公的年金では物価の変動に応じて年金額が改定される仕組みがとられています。

 

平成16年の改正で、保険料水準固定方式とマクロ経済スライドという仕組みが取り入れられました。

保険料水準固定方式によって、平成16年から平成29年9月まで段階的に保険料が引き上げられていきました。

その結果、現在は、厚生年金保険料率は18.3%、国民年金保険料は月16,900円で固定されています。

さらに、手取り賃金や物価変動率を加味して保険料が決定されます。

 

マクロ経済スライドは、年金給付と保険料負担に応じて調整する仕組みです。

現役世代の減少と平均余命の伸びを考慮した率によって、給付水準を調整するという仕組みです。

本来であれば、物価が上昇すればそれに伴って年金も改定されますが、このマクロ経済スライドによる調整率によって年金の上昇が抑えられます。

つまり、物価が上昇した分だけ年金も上昇するわけでなく、調整率分だけ受け取る年金が少なく抑えられます。

 

公的年金が受け取れるのはどんな場合?年金の対象となる原因は老齢、障害、死亡

高齢者に支払われる老齢年金は、多くの日本人が知ってると思いますが、公的年金は高齢者が受け取るものだけではありません。

公的年金の支給事由には、老齢、障害、死亡の3つがあります。

国民年金では、老齢は老齢基礎年金、障害は障害基礎年金、死亡は遺族基礎年金として給付されます。

厚生年金では、老齢は老齢厚生年金として、障害は障害厚生年金、死亡は遺族厚生年金として給付されます。

 

現在の公的年金では、65歳からを高齢者としてるので、65歳に達した人が老齢年金の対象となります。

一定以上の障害が認められる場合は、障害を理由に障害年金を受け取れます。

死亡の場合は、本人ではなく、残された遺族が年金の対象となります。被保険者が死亡した場合に遺族が受け取れるので遺族年金というわけです。

天の川
公的年金には一人一年金の原則というルールがある

国民年金や厚生年金といった公的年金制度では、どのような場合に支給されるかが法律で決められてます。   高齢者になると受け取れる老齢年金は多くの人がご存じと思いますが、公的年金は老齢年金だけで ...

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今回のまとめ

日本の公的年金制度の特徴について今回のまとめです。

・公的年金では、原則すべての国民が加入することになっている。

・公的年金の運営は、現役世代の保険料が年金受給者の年金財源になる、という世代間扶養によって運営されている。

・インフレが起きた場合に対応するように、公的年金額は物価に応じて変動する。

・公的年金の支給事由には、老齢(65歳)、障害、死亡の3つがある。

 

政治家や天下り官僚の不祥事を何で我々が負担しなければいけないのかと思うと頭にきますね。

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