社会保険

雇用保険はどんな制度?目的と対象者

投稿日:2020年4月1日 更新日:

雇用保険について

 

中国で発生した新型コロナウイルスの影響で、失業する人が大量に出るのではと懸念され、雇用保険が注目されています。

雇用保険は有名なので、社会人でなくても名前は知っていると思います。

 

雇用保険は失業保険法を見直して昭和49年に制度を充実して雇用保険法として制定されました。

 

雇用保険というと、失業したときの失業手当(基本手当といいます)は知られていますが、それだけではありません。

 

雇用保険の目的

雇用保険は、労働者が失業した場合や教育訓練を受けた場合などに必要な給付を行うことで、労働者の生活や雇用の安定を図っています。

雇用保険は、この目的を達成するため、失業等給付を行うほか雇用安定事業及び能力開発事業を行っています。

雇用安定事業及び能力開発事業では、企業に助成金を支給したり、再就職や就労の支援を行っています。

雇用保険法第1条

雇用保険は労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。

 

雇用保険の基本手当は、一般被保険者が失業していることが要件なので、仕事を辞めた(離職)だけでは認められず、働く意思があることが必要です。

基本手当を受ける場合は、4週間ごとに失業しているかどうかの確認がされます。

 

雇用保険には、失業した場合に対象となる基本手当等の求職者給付、就職した場合に給付される就職促進給付、教育訓練を受けた場合の教育訓練給付、育児給付や介護給付等の雇用継続給付があります。

 

雇用保険の失業等給付

・求職者給付(基本手当)

・就職促進給付

・教育訓練給付

・雇用継続給付

 

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働く場が適用事業の場合に加入

雇用保険給付の対象になるかは、その人が雇用保険の被保険者であるか、またはあったかが問われます。

雇用保険の被保険者になるかは、働く場所が適用事業であることが必要です。

 

社会保険では、労働者だけでなく、働く場所が適用事業なのかが問われますが、普通の会社であれば原則として適用事業です。

強制適用事業

雇用保険では、原則的に一人でも労働者を雇用している事業は、適業事業になります。

 

強制適用事業以外に暫定任意適用事業というものがあります。

以下の要件を満たす事業は暫定任意適用事業になります。

暫定任意適用事業

・国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業でないこと

・農林水産業に該当すること

・常時5人未満の労働者を使用すること

暫定任意適用事業は、労働者の2分の1以上同意があれば、雇用保険の任意加入の申請をして加入できます。

 

雇用保険の被保険者にならない人(適用除外)

被保険者には、一般被保険者、高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者があります。

 

適用事業で雇用される労働者は、原則的には被保険者になります。

しかし、次の人は被保険者になれない「適用除外」とされます。

適用除外

・1週間の所定労働時間が20時間未満である場合

・同じ雇用主の適用事業に継続して31日以上雇用されない者

・学生など

・船員であって、政令で定める漁船に乗り組む者(1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合は被保険者)

・季節的に雇用される者で、4箇月以内の期間を定めて雇用される者、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満であることのどちらかに該当する場合

・国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者で、退職金等が求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる一定の者

 

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雇用保険の被保険者

雇用保険の被保険者には、一般被保険者、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者があります。

 

一般被保険者

一般被保険者は、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者以外の被保険者をいいます。

パートやアルバイトであっても、適用要件を満たせば被保険者となります。

 

 

高年齢被保険者

高年齢被保険者は、65歳以上の被保険者で、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者に該当しない人です。

平成29年から65歳以上の労働者についても雇用保険の対象となりました。

65歳以上の人は、今までは雇用保険料が免除されていましたが、2020年4月から保険料徴収の対象となります。

 

 

短期雇用特例被保険者

短期雇用特例被保険者は、季節的に雇用される者で、以下のいずれにも該当しない被保険者をいいます。

  • 4箇月以内の期間を定めて雇用される者
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であり、厚生労働大臣の定める時間(30時間)未満の者

 

日雇労働被保険者

日雇労働被保険者は、日雇労働者で、以下の要件に該当する人をいいます。

  • 適用区域に居住し、適用事業に雇用される者
  • 適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者
  • 適用区域外の地域に居住し、適用区域外の地域にある適用事業であって厚生労働大臣が指定したものに雇用される者

日雇労働者には、次の人が該当します。

  • 日々雇用される者
  • 30日以内の期間を定めて雇用される者

ただし、前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及び同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用された者については、公共職業安定所長の認可を受けた場合を除いて日雇労働者となりません。

 

 

まとめ

雇用保険は、法律が基になっているので身近な保険なのに誤解されていることも多いです。

例えば、年齢が65歳かどうかは、誕生日の前日で判断するなどです。

 

失業した場合に利用できるといっても、対象にならなければ1円も受けられません。

自分が被保険者なのかそうでないのかを知ることが第一歩です。

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