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アルバイト・パートにも有給休暇はある

投稿日:2019年11月12日 更新日:

 

質問

アルバイトにも有給はありますか?

 

先日、SNSで「アルバイトって有給休暇ってありませんよね?」という質問を受けました。

最近はネットで情報が仕入れやすくなったとはいえ、まだまだ誤解も多いと思うのが労働に関することです。

 

結論から申し上げますと、アルバイトにも有給はあります。

ただし、週の労働日数によっては他の人と比べて付与される日数が少なくなることがあります。

 

今回はアルバイトやパートといった短時間労働の人に係る有給休暇についてまとめてみました。

有給休暇は休んでも給料が発生する労働者に与えられた権利

有給休暇は、正式には年次有給休暇といいます。

年休、有給などとも呼ばれます。

 

年次有給休暇(以下有給休暇)は、雇い入れ日から6か月継続勤務し、決められた労働日数の8割以上出勤すれば、アルバイトやパートでも有給休暇の権利が発生します。

これは、労働条件の最低基準を定めた労働基準法という法律で決められています。

労働基準法第39条

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

 

年次有給休暇の条件

①雇い入れ日から6か月継続勤務する

②所定労働日数の8割以上出勤する

①雇い入れ日から6か月継続勤務しているかどうかは、契約期間にかかわらず、実際の状況で判断されます。

契約期間が6カ月を下回る場合でも、契約更新によって6か月継続勤務すれば、6か月継続勤務に該当します。

 

②決められた労働日数について8割以上の出勤率があれば条件を満たします。

最初は雇い入れ日から6か月間について8割以上ですが、その後は1年間について8割以上となります。

与えられる有給休暇の日数は、1年経過するごとに増えていきます。

 

 

年次有給休暇の比例付与

労働基準法では、上述した①と②の条件を満たした労働者に10日の有給休暇を与えなければなりませんが、1週間の所定労働時間が30時間未満の労働者については、週または年間の所定労働日数に応じて与えられる日数が違います。

ただし、週の所定労働時間が30時間未満であっても、週に5日以上勤務している労働者は、有給休暇の条件を満たせば通常の労働者と同じように10日の有給休暇が与えられます。

 

週5日以上勤務の労働者に与えられる年次有給休暇の日数

継続勤続年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5
年次有給休暇 10 11 12 14 16 18 20

ちなみに8割以上継続勤務しなくて有給休暇が与えられなかった労働者であっても、次の1年で有給休暇の条件を満たせば、有給休暇は与えられます。

では、2.5年目までは8割以上出勤したのに、それ以降の1年間について8割以上出勤しなかったとしたらどうなりますか?
その場合の労働者は、3.5年目以降の1年間で8割以上出勤すれば、継続勤務年数は4.5年として数えられ、与えられる有給休暇の日数は16日となります。

 

週4日以下勤務の労働者に与えられる年次有給休暇の日数

週所定労働日数が30時間未満の労働者は、週の労働日数または年間の労働日数に応じて「有給休暇の比例付与」の対象となります。

週の労働日数が4日以下であっても、週所定労働日数が30時間以上の労働者は、継続6か月目に一般の労働者と同じく10日の有給が与えられます。

アルバイトやパートの人の中には、週の労働日数が一定しないこともありますが、そういった場合は実績を考慮して有給が比例付与される場合もあります。

 

週4日以下の勤務のアルバイトやパートに与えられる有給休暇は次のとおりです。

継続勤務年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5以上
週4日または年169日から216日までの人 7 8 9 10 12 13 15
週3日または年121日から168日までの人 5 6 6 8 9 10 11
週2日または年73日から120日までの人 3 4 4 5 6 6 7
週1日または年48日から72日までの人 1 2 2 2 3 3 3

 

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アルバイトやパートが有給休暇を使う場合に会社の許可は不要

有給休暇は、仕事を休んでも給料が出る制度です。

 

アルバイトやパートだと、立場が弱いから有給が使えないんじゃないだろうといった不安を聞きます。

確かに経営者側から見れば理不尽極まりない制度かもしれませんが、労働者側にとっては有給休暇は労働基準法で認められた権利です。

 

有給休暇を取得する場合は、会社の許可が必要と思っている人がいますが、会社の許可は不要です。

また、有給休暇の目的についても会社に届け出る義務はありません。

ただし、早めに有給の時期を申請することは、会社にとっても業務に支障がきたしにくくなり、労働者にとっても働きやすい職場環境が維持されます。

 

原則として会社は有給休暇の取得を拒めず、その人が休むと業務に影響が出る等の場合に取得時季を変更することくらいしかできません。

 

有給休暇には時効がある

年次有給休暇を10日取得して、1日も使わなかった場合は次の年に持ち越されます。

例えば、6か月後に10日の有給を取得した労働者が、1年6か月までに有給休暇を消化しないと10日残ったままですが、1年6ヶ月目には11日の有給休暇を取得するので、合計で21日の有給休暇となります。

 

しかし、持ち越すことができる有給休暇は翌年までで、翌年も有給を使わないとその有給休暇の権利は消滅してしまいます。

 

有給休暇は、取得してから2年で消滅すると覚えておきましょう。

 

 

年5日の有給休暇の取得義務

ヨーロッパの人が有給をしっかりと消化するのに対して、日本の有給休暇の取得率は約半分といわれています。

 

政府もこのことを問題視し、2019年4月1日からは「年5日の年次有給休暇の取得義務」が開始されました。

会社は、労働者の有給休暇について5日間については取得させないといけなくなり、罰則も設けられました。

 

ただし、年5日の有給休暇の取得義務の対象になる労働者は、有給休暇が10日以上付与される者です。

有給休暇の比例付与によって、有給休暇が与えられていても10日未満の人は対象外です。

 

しかし、継続勤務年数を重ねると有給休暇の付与日数も増えます。

例えば、週の労働時間が30時間未満で、かつ週の労働日数が4日の労働者は、2年6ヶ月目は9日間の有給休暇が与えられますが、3年6か月目は10日の有給が与えられますので、その人は5日の有給休暇の取得義務の対象になります。

 

また、年10日以上有給休暇が与えられる労働者であっても、自分で勝手に5日以上取得している場合は対象外です。

 

アルバイトやパートの有給休暇のまとめ

アルバイトやパートにかかわらず、条件を満たせば労働者には有給休暇が与えられます。

通常の労働者より有給休暇の日数が少なくなるかもしれませんが、アルバイトやパートにも有給休暇は与えられます。

 

通常の労働者と比べて労働時間が短かったり、労働日数が少ないアルバイトやパートは、有給休暇の比例付与の対象となります。

 

また、有給休暇には時効があるということも覚えておくといいでしょう。

 

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