不動産

部屋を借りているときの修繕費用は誰が負担する?

投稿日:2022年3月29日 更新日:

引越しシーズンも落ち着いてきましたが、3月末ギリギリで部屋探しをする人も毎年数人はいます。

なので今回も賃貸生活でよくある質問についてまとめていきます。

 

「借りてる部屋が、建物が古いせいか雨漏りがするんだけど、これって借主が負担せなければいけないの?」

 

今回は、賃貸借契約における修繕についてまとめてみようと思います。

貸主の修繕義務

貸主は賃料をもらって部屋を貸しているからには、借主が使用するために必要な修繕をする義務があります。

なので、賃貸している部屋の雨漏りは、貸主が原則的に負担することになります。

 

このように部屋の使用および収益に必要な修繕は、貸主の義務になっています。

といっても借主が故意に設備を壊すなど、借主が原因で必要になった修繕は貸主に修繕義務はありません。

 

ただ、この修繕義務は特約で別に定めることができるとされています。

よくあるのはテレビやエアコンにおけるリモコンの電池交換や、電灯の電球交換といった特約の定めです。

これらはいずれも費用が安く済みますし、電池交換でいちいち貸主や管理会社に連絡を取って来てもらうのは時間がかかります。何よりその間設備を使用できないのは借主にとっても時間の浪費です。

原則として修繕は貸主の義務なので、特約で定めても大規模修繕については認められないといった判例があります。

なので、一般的に借主負担と特約で定められているのは、電池交換や電球交換、パッキンといった軽微な修繕(小規模修繕)です。

 

貸主が修繕してくれない時の借主の修繕権

部屋の修繕は貸主の義務ですが、賃貸借契約を解約したい貸主の中には、早く部屋を返してもらうために修繕を行わない人もいます。

この点について2020年の民法改正で借主の修繕権が認められました。

民法607条の2(賃借人による修繕)

賃貸借の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。

1 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。

2 急迫の事情があるとき。

部屋はあくまで貸主の物(原則承諾必要)なので通知が必要ですが、それでも修繕をしてくれず、急迫した事情もあれば借主の修繕が認められます。

 

いずれにしても修繕が必要な箇所があるときは、管理会社か貸主に通知することが重要です。

借主に修繕権が認められても、借主に帰責事由がある修繕であっても、収益物件の修繕は資産価値にも影響するので、現実問題として貸主が修繕を行った方がよいでしょう。

 

借主の費用の償還請求

部屋を使用するために必要な修繕は、本来であれば貸主が負担します。

なので、借主が部屋を使用するために必要な修繕をした場合は、貸主に対して全額の償還を請求できます。

民法608条(賃借人による費用の償還請求)

1 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

必要費は、部屋を使用および収益するうえで必要不可欠な費用をいいます。原状回復の費用や通常の用法に適する状態に保存する費用も含みます。

 

窓ガラスが割れたといった相談がありますが、窓ガラスは経年劣化などによって割れることがあります。

経年劣化や地震などによってガラスが割れた場合は、貸主の負担となります。

借主が原因でないのにガラスが割れたときは、その旨を管理会社や貸主に伝えることが大切です。ちゃんと伝えないと代金を請求されてしまうからです。

管理会社を通して保険契約をしたのなら、経年劣化によるガラス割れは保険が適用されます。

保険が適用されないときは、ガラス1枚あたり2~3万円くらいが相場のようです。

 

借主が、貸主の許可を得て部屋の設備を改良した場合はいかがでしょう。

修繕は現状維持や原状回復といった意味で使われますが、改良は価値を増加させることを意味します。

例えば、和式トイレを洋式トイレにしたり、窓ガラスを複層ガラスにした場合等です。

目的物を改良し、物の価値を客観的に増加させる費用は有益費といわれ、賃貸借契約が終了した時にも価格の増加が現存していれば、貸主は支出額または価値の増加額を支払うことになります。

といっても、この規定は任意規定なので、一般の賃貸借契約では特約で買取義務なしと定められています。

借主が貸主の承諾を得て造作または設置した物品について、貸主はその費用を償還・買取する義務を負いません。

 

また、貸主の承諾なく行った造作や貸主の家賃不払いなど、借主の不誠実がある場合の解除でも造作買取請求はないとされています。

 

おわりに

貸主には、部屋の使用および収益に必要な修繕をする義務がある。

民法改正で一定の場合に借主による修繕が認められるようになった(任意規定)。

多くの賃貸借契約では、軽微な修繕については特約で借主負担としている。

借主は、修繕が必要な箇所を見つけたときは、管理会社または貸主に通知をする。

地震や構造により自然に発生したガラス割れは貸主負担。多くは保険が適用される。

貸主に許可を得て部屋の設備をグレードアップしても、貸主は買取らないことがほとんど。

  • この記事を書いた人

侍従川

横浜で不動産仲介業とァイナンシャルプランナーをしています。

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担当:不動産、ライフスタイル、投資、雑用

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