ポストにこんなチラシが投函されていたことはないでしょうか?
- 「この地域限定で探しているお客様がいます」
- 「〇〇町内〇丁目限定で探しているお客様がいます」
- 「このマンション限定で探しているお客様がおられます」
といった内容のチラシです。
いわゆる「求むチラシ」や「売り物件求むチラシ」と呼ばれるものです。
実際のところ、これらのチラシは本当かどうか分かりません。
なかには本当の場合もありますが、実際にはお客様がいないこともあります。というよりいない場合の方がほとんどかもしれません。
何故かというと、私も大手不動産にいたときに投函していたからです。
令和になってポストに投函される「売却物件求む!」という紙のチラシは激減しました。
しかし、その一方でネットやSNSを開けば、「30秒で完了!AIスピード査定」「今すぐあなたの家がいくらで売れるかチェック!」という広告ばかりが溢れかえっています。
紙のチラシがSNSの広告に変わっていますが、本質は同じです。
この記事では、求むチラシの仕組みと業者の本音を解説します。
この記事で分かること
- 求むチラシ(広告)の本当の目的
- 不動産チラシの種類と使い分け
- お客様がいないのにチラシを撒く理由
- 問い合わせがあったときに業者がすること
- 騙されないための見分け方と売却依頼のポイント
不動産広告には2種類ある

不動産のチラシ(広告)には、大きく分けて2種類あります。
①買う人を探すチラシ(物件紹介チラシ)
「物件特集」のように、売り物件を紹介して購入希望者を集めるチラシです。
②売る人を探すチラシ(求むチラシ)
「エリア限定でお探しのお客様がいます」のように、売却希望者を集めることが目的のチラシです。
少子高齢化による不動産市場の変化があり、一時期は②の求むチラシが増えました。
不動産市場は、少子高齢社会になってからは供給過多となっており、空き家が増えてます。
また、高齢率が25%を超えた日本では、相続も他人ごとではなくなっていますから、購入しなくても住宅が手に入ることが増えています。
相続で不動産を手に入れることが増えているので、購入希望者を探すよりも売却希望者を探した方が見つかりやすくなっています。
不動産業者は、不動産の購入者からだけでなく、売却した人からも報酬を受けることができますから、これは確かに現実的です。
求むチラシの本当の目的は「売却依頼の獲得」

求むチラシを投函している業者に、必ずしも「探しているお客様」がいるとは限りません。
では、なぜこうしたチラシを撒くのでしょうか。
本当の目的は「売主からの売却依頼(媒介契約)を獲得すること」です。
「このエリア限定で探しているお客様がいます」というチラシを見たら、そのエリアの不動産オーナーは興味を持ちます。
「一度査定だけでも」と問い合わせる人も出てきます。
査定額を聞いて、想定より高い価格を提示されると、売却を検討し始める人もいます。
無事に売却依頼を受けることができれば、業者はレインズ(不動産流通機構)に登録するだけで、他の不動産業者が買主を探してくれます。
さらに、チラシを出した業者自身が買主も見つけた場合は、売主・買主の両方から報酬を受け取る「両手仲介」が成立します。
チラシなんてインターネット・スマホが当たり前の時代に、随分と古典的な方法だと思うかもしれませんが、チラシの方がピンポイントで撒けますし、今の日本でもインターネットを利用している人ばかりとは限りません。
特に不動産を保有してるのは高齢者が多いので、チラシの方が反応がよいことも多いです。
お客さんがいないのに本当に問い合わせがあったらどうするの?

では、本当はお客さんがいないのに、実際にお客さんから問い合わせがあったらどうするのでしょう。
本当にお客さんから問い合わせがあった場合は、不動産会社は自作自演でしたと白状することはできません。
とりあえずお客さんを連れてくことになりますが、そのお客さんは同僚かもしれません。もしくは友達や知人ということも考えられます。
私の以前の同僚は、奥さんにお客さん役をしてもらってました。
無事に内見が終わった後は、売主様へ連絡して「条件と合わなかった」とか「予算オーバーだった」「事情が変わった」などと断りの理由を言うだけです。
重要なのはその後です。
売主が売却を依頼する場合は媒介契約を締結しますが、専任媒介契約であれば契約期間は最長3カ月です。
業者はこの期間内に買主を見つければよいため、「お客様の件」が立ち消えになっても問題ありません。
なお、専任媒介契約とは、売主が売却依頼を1社にしか行えない契約形態のことです。
業者にとっては独占的に売却活動ができるため、特に取得を狙いたい契約です。
注意が必要な業者の行動パターン

求むチラシに限らず、売却を依頼する際には以下のような業者の行動パターンに注意が必要です。
①根拠のない高額査定
売却依頼を取るために、実際には売れない価格を提示する業者がいます。
その後、「市場の反応が想定と違った」として値下げを繰り返すパターンです。
②媒介契約の更新だけで売却活動をしない
媒介依頼を獲得することが目的になってしまい、積極的な売却活動をしない業者もいます。
3カ月ごとに更新の書類が届くだけで、具体的な動きが見えないケースは注意が必要です。
③囲い込み
売主から依頼を受けた業者が、他の業者に買主を紹介させず自社だけで両手仲介を成立させようとする行為です。売主にとっては売却機会が減るリスクがあります。
求むチラシへの正しい向き合い方
求むチラシが必ずしも嘘とはいえません。
地元に密着した不動産会社が、実際の見込み客情報を持っている場合もあります。
ただし、以下のような場合は注意が必要です。
- 同じ会社から毎週「別の購入希望者がいます」というチラシが届く
- 具体的な条件が毎回変わる
- マンション名や地区名だけで、希望条件の詳細が書かれていない
売却を検討する場合は、複数の業者に査定を依頼し、査定額の根拠と担当者の対応を比較することが重要です。
1社だけに絞らず、説明の丁寧さや根拠の明確さを基準に業者を選ぶことも必要かもしれません。
まとめ
求むチラシのポイントのまとめ
- 「エリア限定でお探しのお客様」は、実在しないケースも多い
- チラシの本当の目的は「売却依頼(媒介契約)の獲得」
- 問い合わせがあっても、お客様役を用意して対応するケースがある
- 専任媒介契約を取れば、業者は3カ月間売却活動ができる
- 根拠のない高額査定・売却活動をしない業者・囲い込みに注意
- 売却を検討する場合は必ず複数社に査定を依頼する
- 昔は紙のチラシだったが、今はSNSの広告に変わっている
広告や囲い込みが怪しいと思っても、お客様が証明するのは難しいというか不可能に近いです。
中には本当のこともあるので、広告が必ずしもウソとはいえないのが難しいところです。
売却するために値下げを提案する営業マンはいい方で、3ヶ月毎に媒介契約更新のための書類が送られてくるだけといったケースもあります。
売却を依頼する場合は、営業マンを含めて判断するしかありません。
不動産の売却は、多くの方にとって人生で最も大きな取引のひとつです。広告の内容を鵜呑みにせず、信頼できる業者を見極めることが大切です。

