先日、神奈川県が主催するイベントで住宅ローンのセミナー講師をしてきました。
消費者向けのイベントだったのですが、ファイナンシャルプランナーとしての立場で講師をしました。
当社は不動産会社なので、ローンがあっても不動産を売却できるのかといった相談を受けたりします。
また、ファイナンシャルプランナーでもあるので、住宅を購入した後のライフプランやローンについての相談を受けます。
今回のセミナーでは、こういった相談に対する回答について簡単に触れてみました。
今回のセミナーは無料セミナーでしたが、講師は主催者から報酬をもらえるので、出来る限り有益な情報を提供できるよう心掛けました。
世の中はセミナーがブームとなっていますが、その中にも無料のものと有料のものがあります。
ファイナンシャルプランナーに相談した人の中には、必要ない金融商品ばかりを紹介されて売りつけられたと被害を訴える人もいます。
目次
無料セミナーと有料セミナー
世の中はセミナーがブームなので、どこでもセミナーを開催しています。
不動産業界でも、「老後不安」と「相続対策」がキーワードとなっており、不動産投資による「資産形成」や「相続税対策」のセミナーが人気です。
これらのセミナーの特徴として、99%以上は無料のセミナーです。
企業が無料セミナーを開催するのは、基本的に集客が目的です。
無料セミナーとはいえ、参加する人はそのテーマについて不安を抱えている人なので、商品も売りやすくなります。
「老後不安」対策がテーマなら、不動産会社であればマンションやアパートを勧められ、保険会社であれば個人年金を勧められます。証券会社であれば投資信託あたりを勧められることでしょう。
これが「相続対策」がテーマの場合は、不動産会社ならやっぱりマンションやアパートを勧められ、保険会社なら死亡保険を勧められます。
これらに共通するのは、自社で扱っている商品を勧められる点です。
不動産会社がわざわざ生命保険や投資信託を勧めることはないでしょうし、保険会社が中古マンションやアパートを購入して不労所得を得ることを提案することはありません。
有料セミナーであれば、講師は商品を売る必要はありませんが、無料セミナーだと商品を売らないと1円の利益にもなりません。
無料相談と有料相談も同じで、無料相談は商品を売ることが目的です。
そのセミナーがどのような目的で行っているのかを理解しておかないと、カモにされてしまいます。
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ファイナンシャルプランナーの実力はピンからキリまで
ファイナンシャルプランナーの資格には、大きく分けて国家資格の「FP技能士」とFP協会が認定する「AFP」「CFP」があります。
難易度で言うと、国家資格の1級FP技能士が最も難しく、入門資格の3級が一番簡単です。
宅建と比較した場合の難易度はこんな感じです。
1級FP技能士 > 宅建≒CFP > 2級FP技能士≒AFP > 3級FP技能士
資格の難易度は上述した通りですが、実はファイナンシャルプランナーを名乗るのに資格は必要ありません。
なので、ファイナンシャルプランナーの実力は素人レベルから何年も実績あるプロレベルまでピンキリです。
また、ファイナンシャルプランナーが扱う分野は広いので、相談する場合はその人がどの分野を得意としているのかを知っておくことが必要です。
資格が実力を証明するわけではありませんが、資格は一つの目安にはなるかと思います。
誤解が多いファイナンシャルプランナー
自分自身、今でこそファイナンシャルプランナー(以下FP)を名乗っていますが、最初の頃はFPに良いイメージをもってませんでした。
というのも自分のまわりのFPは、保険会社に所属する人ばかりだったので、保険外務員の名称がFPに変わったくらいの感覚しかなかったからです。
その後、不動産業と保険業(社会保険労務士と生命保険代理店)をしていた頃に、自分の業務を一言で表すために「ファイナンシャルプランナー」を名乗ったのですが、調べてみると誤解も多いのがFPという職業でした。
テレビや雑誌等では、FPというと節約の人といった紹介をされることが多いのですが、ライフプランを達成するために行うのが節約であったり、住宅ローンの見直し、キャッシュフローの分析です。
ライフプランやキャッシュフロー分析について、テレビや雑誌で説明していることはほとんどないため、ライフプランやファイナンシャルプランニングに対する誤解も多かったりします。
ファイナンシャルプランナーは嘘くさい?
ネット等でFPについて検索すると、「嘘くさい」「胡散臭い」といった文字があちこちに見受けられます。
証券業や不動産業、社労士、税理士と違って、FPには浅くても広い知識が求められます。
FPは広い知識が必要な反面、分野ごとの深い知識が求められないので、他の専門家に言わせると素人臭く見えることもあるようです。
セミナー等では、FPのテキストに書いてあることをそのまま読み上げるFPさんもいるので、そういう人はどうしても胡散臭く見えますね。
FPの扱う分野は広範囲にわたるので、話すことが事前に決まっているセミナーはFPの得意とするものです。
・ライフプラン(年金・住宅ローン)
・金融資産運用
・不動産運用
・保険設計
・タックスプランニング
・相続・事業承継
列挙した分野の中でも、特に不動産取引について経験したことがないFPは多く、また、年金や税金は複雑なため苦手としているFPは多いようです。
FPに相談する場合は、そのFPがどの分野に精通しているかを知っておいた方がいいでしょう。
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有益な情報は無料相談からは得られない
無料相談や無料セミナーは、主催者が販売したい商品を売るためにあります。
お客さんにとって本当に有益な情報は、有料相談からしか得られないと心得ておいた方がいいでしょう。
無料だからと気軽に相談した結果、必要のない金融商品を購入することになることもあります。
自分にとって必要のないことに気づかなければ、毎月数千円、数万円のお金が無駄に出ていくことになります。
有料相談であれば、専門家は商品を売る必要がないので、相談者にとって最適なアドバイスをしてくれることでしょう。
不動産に対するアドバイスは住宅ローンの知識だけでは難しい
上場企業にお勤めでも、住宅購入で失敗したために生活が苦しいという人はいます。
住宅の購入は、人生で最も高額な買い物といえるので、失敗したときの影響力が大きいのです。
不動産の購入では、ローンを利用して購入する人が9割以上なので、住宅ローンの返済計画は大事です。
例えば、住宅ローンでは、「借入可能額」と「返済可能額」という言葉があります。
借入可能額とは、金融機関が貸してくれる金額をいい、返済可能額は無理なく返済していける金額のことをいいます。
例えば、年収700万円の人が金融機関から「4,600万円なら融資しますよ」と言われたとしても、その借り入れが必ずしも返済していける金額とは限りません。
ライフプランを立ててみたところ、4,600万円の場合のローン返済額は、月々約12万5千円(0.775%)ですが、返済可能な金額は3,500万円でした。
3,500万円の借入なら月々約9万5千円ですので、差額の3万円を積み立てれば、35年で1,260万円を積み立てることができます。
これを3%で積み立てていけば、2,150万円になります。税金を考慮しても1,916万円になります。
住宅ローン相談を受けていると、面倒くさいという理由で何百万円も損している人を多く見かけます。
平成25年(2013)に金利2.1%で4,000万円を借り入れ、月々13万4567円のローン返済をしている人がいたとします。
この人が2016年に金利1.3%で借り換えすると、月々の返済額は12万546円になります。
毎月1万4021円も軽くなり、総額500万円以上も費用を抑えることができます。
これを面倒くさがっていれば、総額500万円以上も損をすることになります。
また、将来、売却することもあるのが不動産です。
売却するときに力になるのは不動産会社なので、不動産を購入する場合は住宅ローンに精通している不動産会社に相談するのがベストです。