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生活設計は収入よりも可処分所得をベースに立てる

投稿日:2015年6月5日 更新日:

ファイナンシャル・プランニングを行う際に、最初にしなければならない一つが可処分所得の把握です。

可処分所得とは、収入のうちの自分で使える金銭をいいます。

収入が多いからといって全てが自由になるとは限らないからです。

 

収入は同じであっても、国や住んでる地域の税率や社会保険料率が違えば可処分所得も異なります。

個人の所得税は累進課税なので、所得が高額になるほどそれだけ納める税率が増えていきます。

住民税は、所得税と控除額や税率の面で違うこともあります。

また、税率や社会保険料率は時代によって異なるので、生活設計を立てたら定期的な見直しが必要です。

住宅ローン等は収入より可処分所得で考える

可処分所得は、扶養家族や所得控除、税額控除などによって異なりますが、ここでは収入が600万円、可処分所得が500万円の人を想定しています。

住宅ローンの上限は年収の35%~45%といわれているので、年収が600万円の人は月17.5万円~22万円が上限となります。

ところが実際に使えるお金は500万円なので、月に換算すると41.6万円です。

この中から食費や子供の教育費などのほか、娯楽費や光熱費なども捻出しなければならないことを考えると、生活は厳しいかもしれません。

しかも、住宅ローンは長期にわたっての返済となるので、長い期間の間には様々なことが起こる可能性があります。

最悪の場合は返済が滞って住宅を手放す……なんてことも考えられます。

 

このようにファイナンシャルプランニングでは収入ベースではなく、可処分所得ベースで計画を立てていきます。

 

サラリーマンで他に収入がなければ、源泉徴収票を見ることで、所得税・住民税や社会保険料をいくら支払っているのか分かります。

源泉徴収票を見れば、収入の全てを使えるわけではなく、給料を受け取ったときには源泉徴収で税金や社会保険料は既に引かれていることが分かります。

 

サラリーマンは、源泉徴収票に書いてある税金と社会保険料を控除したものが可処分所得となり、その可処分所得が原則として自分で利用できるお金です。

 

所得税・住民税

日本は累進課税制度なので、収入が多い人ほど多くの税金を支払うことになりますが、収入の全てが税金の計算の対象になるわけではありません。

税金の計算では収入の全部が対象になるのではなく、収入から必要経費や所得控除といった計算を経て行われます。

 

必要経費とは収入を得るために支出した費用をいい、売上をあげるための仕入れや家賃などが該当します。

サラリーマンのような給与所得の人には、給与所得控除が認められていて給与収入から控除できます。

これは事業にかかる費用やアパート収入にかかる費用のようなものとして認められています。

 

所得控除では扶養している家族がいる場合や保険料を支払っている場合など、個人的な事情が考慮されます。

その結果、低所得な人は納める税金は低く、高額な所得を得ている人は納める税金も高額となります。

 

ただ、住民税は所得税のように累進税率ではありません。

住民税は、所得税と違って翌年に反映されます。

また、住民税は、所得に応じて異なる所得割と、均等額の均等割からなります。

均等割は、住んでいる地域によって額に差があります。

 

社会保険料

社会保険料には、雇用保険料、年金保険料、健康保険料、介護保険料といったものがあります。

保険料率や保険料は年度によって毎年見直されます(毎年ずっと上がり続けていました)。

社会保険料で負担が大きいのは年金保険料と健康保険料です。

 

雇用保険は、会社員や一定の非正規社員が対象です。

雇用保険率の本来の税率は、一般の事業は1000分の17.5、一部を除く農林水産業・清酒製造業等は1000分の19.5、建設の事業は1000分の20.5です。

そして、被保険者が負担するのは雇用安定事業等の保険料率を引いた部分の半分となります。

ただし、平成27年度の保険料率は法律によって、一般の事業は1000分の13.5、農林水産・清酒製造業等は1000分の15.5、建設の事業は1000分の16.5と抑えられており、被保険者の負担も雇用安定事業等保険料率を除いた半分(一般の事業は1000分の5、農林水産・清酒製造業等は1000分の6、建設の事業は1000分の6)です。

追記:令和5年度は、一般が15.5/1000、農林水産・清酒製造が17.5/1000、建設事業は18.5/1000です。

 

年金保険料には、国民年金保険料と厚生年金保険料があります。

サラリーマンや専業主婦でなければ国民年金保険料を支払い、サラリーマンなどは厚生年金保険料を支払います。

平成29年までは保険料率や保険料が上昇していくことになっています。その後は再度将来の財政をみて検討するとされています。

決定しているのは、平成29年までは国民年金は280円ずつ上がり、厚生年金保険料は0.354%ずつ上がっていくということです。

 

平成27年度の国民年金の法定保険料額は16,380円で、さらに保険料改定率をかけて算出します(15,590円)。

追記:令和5年度の国民年金保険料は、1ヶ月16,520円です。

 

厚生年金の場合は平成27年8月までの保険料率は1000分の174.74となっていますが、平成29年9月までは毎年度0.354%ずつ上がっていきます。

この結果、平成29年9月から18.3%になっています。

 

健康保険料の保険者には、全国健康保険協会と健康保険組合(大手企業とか)となります。

全国健康保険協会の場合は都道府県単位で保険料率が決定されますが、現在は1割程度です。

自営業者や無職の人は、国民健康保険の対象になります。ただし、75歳以上になると後期高齢者医療保険の被保険者になります。

 

介護保険は40歳以上65歳未満で医療保険加入者の人は2号被保険者となり、健康保険料と一緒に納めることになります。

65歳以上の第1号被保険者は原則1割の負担で介護保険を利用できるようになっています。

介護保険は保険者が市町村なので、住んでいる地域によって保険料に差があります。

 

可処分所得の計算

可処分所得の計算は、収入から必要経費を引いて所得金額を計算し、さらに基礎控除や扶養控除を引き、そして社会保険料を引き生命保険料等の所得控除を引いて課税所得金額を計算します。課税総所得金額を計算したら税率をかけて税額を算出します。そして、計算した税額と社会保険料を収入から引くことで可処分所得を算出します。

何だか面倒くさそうですが、会社員であれば、給与明細に税金や社会保険料の額が書いてあるので分かります。

自営業者であれば、確定申告をしているのでお分かりかと思います。

 

この可処分所得がキャッシュフロー分析の基礎になります。

 

まとめ

ファイナンシャルプランニングの基礎となるのが可処分所得。

可処分所得は、年収から所得税・住民税と社会保険料を差し引いたものをいう。

 

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横浜市にある不動産会社ライフプランです。

ファイナンシャルプランナーが常駐してるため、住宅ローンの相談からライフプラン相談まで対応してます。

 

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