生命保険の代理店をしているときは、生命保険だけでなく損害保険の相談をされることもありました。
お客さまの中で生命保険と損害保険を区別して理解してる人は少数です。
損害保険を扱うには、損害保険募集人という生命保険とは別の登録が必要ですが、お客さまからみたら区別する意味が分からないといったところでしょうか。
特に生命保険は、ライフスタイルや価値観によって合うタイプが異なります。
保険会社が違うと同じような商品でも全く違った商品のように見えるかもしれません。
生命保険をうまく活用するためには、基本を理解することが大事です。
一見すると無数にある生命保険の商品も基本となる形は限られているからです。
生命保険の目的
生命保険は、様々な目的で利用されています。
生命保険を考えるうえでは、社会保険の知識があると無駄な保険に入らなくて済みます。
生命保険は任意加入ですが、社会保険は強制加入なので、生命保険に加入する際は社会保険をカバーするように加入すると無駄がなくなります。
社会保険に加入するとしたうえで、社会保険だけでは不足する保障を生命保険や医療保険でカバーするのが無駄のない生命保険の入り方です。
生命保険に加入する目的として、第一に挙げられるのが死亡保障です。
家族の大黒柱が死亡した場合でも遺族が生活していけるというのが死亡保障です。
現在のように共働きも普通になってくると必要な保障は少なくて済み、場合によっては死亡保険に入らないという選択もあります。
次にあげられるのが、貯蓄機能を活用したものです。
終身保険や個人年金、養老保険といった保険であれば、貯蓄するという仕組みづくりができます。
ただし、今のように利率が低いとメリットは少ないです。
また、企業では退職金を準備するために生命保険を活用することがあります。
生命保険の中には、逓増定期保険や逓減定期保険といったものがあります。
特に逓増定期保険は、企業で退職金準備で利用されるケースが多いです。
最近は、平均余命が伸びてますので、生命保険よりも医療保険や介護保険の需要が高くなっているようです。
また、保険会社のほうでも需要に合わせて医療保険、がん保険、介護保険の商品開発に力を入れています。
生命保険の基本の形は3つ
最近の生命保険の商品は、収入保障保険といった商品の他、様々な保険商品が販売されています。
どんどん商品が開発されるので、お客さんにとって商品選びが複雑化しています。
しかし、生命保険の基本は3つしかなく、収入保障保険や変額保険はこの3つの基本が少し複雑になっただけです。
その基本となる生命保険とは、終身保険、定期保険、養老保険の3つです。
終身保険
終身保険は、保障が一生涯続く保険です。
一生涯続くのでお葬式費用分として考えて加入する人が多いようです。
また、解約返戻金というお金が積み立てられていくので、保険料の支払期間が過ぎてもそのままにしておくと解約返戻金が利率に応じて増えていきます。
予定利率が高かったときは、老後資金準備目的で加入している人が多くいました。
保険を支払うだけであとは老後資金が形成されていくからです。
昔は、保険料総額300万円を支払って、老後に500万円受け取れるという商品も珍しくありませんでした。
しかし、物価がそれを上回る率だと実際は目減りすることになります。こういうのは実質で考えることが大切です。
定期保険
定期保険は、一定期間中の死亡について保障される商品です。
一定期間の保障なので、一定期間が過ぎた後は何も残りません。
解約返戻金はあったとしても少ないです。
保険料は3つの中で一番安いので、子供が小さいときなど大きな保障が必要な時期に、少ない保険料で大きな保障を得ることが出来ます。
子供が大きくなったら大きな保障は必要ないので、定期保険は必要に応じて少なくするのが合理的です。
最近の主流となっている収入保障保険は、被保険者が死亡、高度障害になった時に、毎月一定額を保障期間まで受け取れる保険です。これも定期保険の一種です。
養老保険
養老保険は、一定期間に対象者が亡くなれば死亡保険金が出ます。
そして、無事に満期をむかえたときは満期保険金が出ます。
つまり、死亡しても生存していても保険金が受け取れるという生命保険です。
ただし、3つの中では保険料が一番高くなります。
現在は、マイナス金利やデフレの影響で販売を中止している保険会社も多いです。
今回のまとめ
生命保険の基本は、終身保険、定期保険、養老保険の3つしかありません。
・終身保険は一生涯保障されます。
・定期保険は一定期間保障されます。
・養老保険は、満期まで生きていても亡くなっても同じ金額が保障されます。
生命保険は、家族の状況に合わせてうまく組み合わせることで無駄な保険料を抑えることが出来ます。
無駄を少なく生命保険に加入するには、社会保険の知識があると便利です。
社会保険には、死亡を事故とする保険給付があるので、こちらを優先して保険設計を立てると無駄が少ないです。
生命保険では人の生死に関する保険を扱い、損害保険では物に関する損害に関する保険を扱います。
ところが最近では、医療技術の進歩や平均余命の伸びにより、医療保険や介護保険といった生命保険会社と損害保険会社の両社とも扱える保険が主流になりつつあります。