不動産契約では、契約に条件をつけるといったことがよく行われています。
ここでいう条件には2つあって、一つは停止条件といわれるもの、もう一つは解除条件といわれるものです。
停止条件とか解除条件とか、言葉が専門的で難しいので、例え話を用いて解説していきます。
この停止条件と解除条件についての知識は、宅地建物取引士のような民法が出題される試験でも使えます。
「あまり出ないですかね?今は講師やめたので分かりません」
停止条件と解除条件の意味
法律行為の効力の発生または消滅を将来の不確定な事実にかからせる付款を条件といいます。付款は、法律行為の効力の発生・消滅について当事者が加えた制約をいいます。
法律行為というのは、当事者の意思によって法律の効果を発生させる行為のことで、例を挙げるとコンビニでおにぎりをお金を出して買う行為も法律行為です。法律行為と聞くと難しく聞こえますが、買い物したり、駐車場の更新をしたり、日常で行われてることです。
そして、条件には、停止条件と解除条件があります。
停止条件
停止条件では、条件が成就するまでは法律行為の効力の発生が停止されます。
停止条件では、条件が成就するまでは効力が停止されるので、今は効力が発生してません。
たとえば、子供と東大に受かったら車を買ってあげるといった契約をしたとします。
東大に受かったという条件が成就したら、車を買ってもらえるという効力が発生します。
停止条件の停止は、条件成就まで効力が停止するです。
また、停止条件は条件が成就した時から効力が発生しますが、当事者の意思表示により、成就した時よりも前にさかのぼらせることができます。
解除条件
解除条件は、条件が成就すると法律行為の効力が消滅することです。
たとえば、車をあげるけど3年以内に東大に受からなかったら返すという契約をした場合に、3年以内に東大に受からなかったとします。
3年以内に東大に受からないという条件の成就によって契約の効力が消滅し、車は返すことになります。
解除条件の解除は、条件成就で効力が解除するです。
解除条件は条件が成就した時に効力が消滅しますが、解除条件も当事者の意思により、効力の消滅を成就した時よりも前にさかのぼらせることができます。
条件成就の妨害や既成条件
住宅ローンの手続きなど、契約した後に考えが変わって手続きに乗り気でなくなり、解除になるように行動する人がいます。
条件付の法律行為の当事者は、条件の成否が未定である間、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手の利益を害することはできません(民法第128条)。
また、条件成就によって不利益を受ける当事者が故意に条件成就を妨げたり、条件成就によって利益を受ける当事者が不正に条件を成就させることは禁止されています。その場合は、それぞれの相手方は条件が成就したとみなし、また、条件が成就していないとみなすことができます。
条件付の契約締結時にすでに条件が成就していた場合、停止条件では無条件となり、条件が達成できないことが確定していた場合は無効となります。
一方、解除条件では、既に条件が成就していたら無効、不成就が確定していたら無条件となります。
たとえば停止条件で、大学に入学したら車をあげる契約をしたとして、大学入学が条件なのに、既に大学に入学していたら無条件の贈与になります。
それと、人を殺すような不法な条件付の法律行為は無効です。
人を殺さないことを条件とする法律行為も無効とされています。そうでないと、殺さないからお金を出せといった行為ができてしまいます。
期限
ここまで条件についてみてきましたが、では、出世した時に借金を返済するという契約はどうでしょう。
出世したら効力が消滅するから解除条件だと思うかもしれませんが、これは不確定期限を付したものとされています。
期限は、法律行為の効力の発生または消滅を将来において確実な事実にかからせる付款をいい、期限には確定期限と不確定期限があります。
たとえば、死んだら車をあげる、といった契約は、死ぬのは確実ですが、いつ死ぬかは分からないので不確定期限です。
まとめ
・条件には、停止条件と解除条件がある。
・停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
・解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
不動産の売買では、普通は住宅ローン特約をつけます。
これは、住宅ローンの審査に落ちたときの保険のようなもので、審査に落ちて住宅ローンを借りれなかった場合に契約を解除できるというものです。
住宅ローンの借入の条件を例にすると、停止条件なら借り入れが承認された時から効力が発生し、一方で解除条件は借り入れが承認されなければ効力が消滅します。
不動産協会の契約書は、「解除条件」とローン不成立の場合は解除を認める「解除権留保型」の2種類を使ってます。
停止条件と解除条件は、あまり聞きなじみのない言葉ですが、意外と身近にある法律です。