働き方の多様化や成果主義の広がりにより、以前と比べて転職しやすい時代になりました。
一方で、住宅ローンを取り巻く審査の実情はそれほど大きくは変わっていません。
不動産の購入を検討していたタイミングで転職することになった、という人も少なくないはずです。
少し前には不動産の購入を検討していたのに、コロナのせいで転職を余儀なくされた人もいました。
勤続年数は住宅ローンの審査に影響する項目の一つといわれますが、実際のところ、転職したばかりでも住宅ローンは利用できるのでしょうか。
この記事から分かること
- 住宅ローンの審査で、金融機関がどのくらい勤続年数を重視しているか(最新データ)
- 金融機関によって求められる勤続年数がどう違うか
- 転職したばかりの人が住宅ローンを利用するための選択肢
- 自営業者の住宅ローン審査が厳しくなりやすい理由
転職したばかりでも住宅ローンを利用できますか?

ポータビリティのあるiDeCoの普及、成果主義の増加、雇用の不安定、働き方の変化などにより、昔と比べて転職しやすい時代になりましたが、住宅ローンを取り巻く環境もだいぶ変化しました。
だからといって転職したばかりだと住宅ローンの審査に通らないこともあります。
住宅ローンの借り入れ審査では様々な項目を見られますが、勤続期間(年数)も審査に影響する項目の一つといわれます。
では「勤続期間が短い人は、住宅ローンを借りることが出来ないのでしょうか?」
「勤続年数が短かったり、転職したばかりだと住宅ローンを利用できないのでしょうか?」
勤続年数はほとんどの金融機関で重視されている
国土交通省が公表している「民間住宅ローンの実態に関する調査」では、金融機関が融資を行う際にどのような項目を重視しているかが調査されています。
令和7年度調査(令和6年度実績)によれば、融資審査で考慮される項目は次の通りです。
| 審査項目 | 重視する金融機関の割合 |
| 完済時年齢 | 98.4% |
| 借入時年齢 | 96.2% |
| 健康状態 | 96.1% |
| 年収 | 94.2% |
| 勤続年数 | 93.9% |
| 担保評価 | 91.0% |
| 返済負担率 | 90.9% |
勤続年数は、完済時年齢・借入時年齢・健康状態・年収に次ぐ位置づけですが、93.9%の金融機関が審査項目として考慮しており、依然としてほとんどの金融機関で重視されている項目であることが分かります。
住宅ローンの利用に必要な勤続年数は金融機関によって異なる

同調査では、勤続年数の具体的な基準についても調査されています。
金融機関によって「3年以上」「2年以上」「1年以上」など、求める勤続年数はさまざまです。
中でも「1年以上」とする金融機関が最も多く、次いで「3年以上」となっています。
メガバンクや都市銀行だから長い勤続年数が必要というわけではなく、必要とされる勤続年数は金融機関の規模とは関係なくばらつきがあります。
特定の金融機関にこだわりがないのであれば、審査に通った金融機関を利用するという人も多いのが実情です。
不動産会社に紹介されて、初めてその金融機関を知ったという人も珍しくありません。
勤続年数の基準は金融機関によって異なるため、中にはほとんど勤続期間を問われない金融機関もあります。
転職したばかりの人は、こうした金融機関の利用を検討するのも一つの方法です。
また、フラット35は融資の要件に勤続年数の定めがないため、勤続年数が短い人にとっての選択肢になり得ます。
自営業者の場合は?
自営業者の場合、会社員よりも住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があります。
自営の事業年数が長く、それなりの収入があったとしても、審査は会社員より通りにくい傾向にあります。
これは、自営業の収入が景気の影響を受けやすく、不安定になりやすいと見られているためです。
同じ借入額であっても、年収500万円の会社員が審査に通り、年収1,000万円の自営業者が審査に通らないというケースも珍しくありません。
自営業者の審査では、所得を過去3年間の平均で見る金融機関や、過去3年間で最も低い所得を基準にする金融機関など、審査方法に違いがありますが、いずれにしても会社員より厳しく見られる傾向は共通しています。
また、自営業者は必要経費を計上することで所得を抑えている場合が多く、所得が低いと借入可能額も伸びにくくなります(収入-経費=所得)。
節税を意識するあまり所得を抑えすぎると、住宅ローンの借入時に不利になることがあるため、住宅購入を見据えている場合は、会社員よりも早い段階から資金計画を立てておくことが望ましいといえます。
転職したばかりの人が住宅ローンを利用するには

転職したばかりの人が住宅ローンを利用する方法としては、次のような選択肢が考えられます。
- 勤続年数をほとんど問わない金融機関を探す
- フラット35を検討する(収入を証明できる書類があれば、転職して数か月でも申し込みが可能)
- 金融機関が求める勤続年数に達するまで待ち、その間に自己資金を貯めておく
自営業者の場合も、フラット35は選択肢の一つになります。
フラット35は、直近の納税証明書および確定申告書があれば申し込みが可能で、民間金融機関で一般的に求められる3年分の確定申告書がなくても対応できる場合があります。
まとめ
- 民間金融機関の9割以上が、住宅ローン審査で勤続年数を重視している(令和6年度実績:93.9%)
- 求められる勤続年数は金融機関によって異なり、「1年以上」とする金融機関が最も多い
- 勤続年数をほとんど問わない金融機関や、勤続年数の定めがないフラット35という選択肢もある
- 自営業者は収入の不安定さから、会社員より審査が厳しくなる傾向がある
- 自営業者はフラット35の利用も選択肢の一つ(直近の納税証明書・確定申告書で申込み可能)
統計データ:国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」

