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宅地建物取引士(宅地建物取引主任者)と宅地建物取引業は混同されて使用されてるのをよく見かけます。
確かに名前は似ていますが意味は違います。
そもそも両者には資格と免許といった違いがあります。
宅地建物取引士とは
宅地建物取引士は、資格のことをいいます。
資格は、一定の能力を認められた人に対して与えられます。
宅地建物取引士は、以前は宅地建物取引主任者と呼ばれていました。
士業として宅地建物取引主任者から宅地建物取引士へ名称が変更しました。
ちなみに士業というのは、〇〇士というように名称に士が付く専門職のことをいいます。
戸籍、住民票を職権で取り寄せることができる弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、海事代理士、土地家屋調査士、税理士がとくに有名で、これら8士業はいずれも国家資格になります。
ちなみに宅地建物取引士の試験も国家資格になります。
宅地建物取引士を名乗るためには、試験に合格して登録し、宅地建物取引士証の交付が必要です。
宅地建物取引士の業務
宅地建物取引士だけができる業務として、不動産の契約の前に行う重要事項の説明があります。
不動産の取引は高額なので、契約前に重要な事項について説明をしないといけないことになっています。
資格がある人しかできない業務は独占業務といわれ、宅地建物取引士には独占業務があります。
既に述べた重要事項の説明の他、重要事項説明書への記名、37条書面(契約書)への記名があります。
また、事務所の5人に1人が宅地建物取引士でなければならないという設置義務もあります。
宅地建物取引士の業務
- 重要事項説明
- 重要事項説明書への記名
- 契約書への記名
- 5人に1人の設置義務
不動産取引では難解な専門用語も出てきますし、お客さんからの質問にも分かりやすく答えなければいけないので、宅地建物取引士の責任は重大です。
宅地建物取引士試験の難易度
宅地建物取引士は、国家資格なので難易度は高いです。
宅地建物取引士の合格率は15%~18%程度で安定しているように、6人に1人しか合格できません。
6人に1人なので学校なら優等生です。
この試験では民法の基本的なことが問われるので、資格試験の登竜門といわれることがあります。
この資格の勉強で学んだことは日常生活で役立つとあって社会人に人気です。
宅地建物取引士資格から難関資格にステップアップする人も多く、キャリアアップに一押しの資格です。
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直近(2017年)の宅地建物取引士の試験結果
2017年の宅地建物取引士試験について見ていきます。
宅地建物取引士試験は、毎年20万人が受験する日本で一番受験者数が多いといわれる国家資格の試験です。
宅地建物取引士の試験は、毎年10月の第3日曜日に行われます。
申込者数 258,511人(男179,029人 女79,482人)
受験者数 209,354人(男143,971人 女65,383人)
合格者数 32,644人(男21,677人 女10,967人)
合格率 15.6%
合否基準 50点満点中35点以上正解したもの
合格率は15%~18%になるように調整されるので、しっかり勉強しないと合格できません。
ただし、不動産会社に勤めていれば5点が免除される制度があるように、業界の人は比較的簡単に合格できるようになってます。
宅地建物取引士は個人に交付される
宅地建物取引士を略して宅建士と呼ぶことがあります。こちらの方が有名かもしれません。
この資格を得るには、試験合格後に登録が必要です。
合格後に2年の実務経験がある人は登録ができます。
実務経験が2年以上無い人は、実務者研修という研修を受講することで実務経験があるとみなしてもらえます。
無事に登録が済んだら、宅地建物取引士証(宅建士証)の交付を申請できます。
宅建資格は個人に交付されるので、転職した場合でも返却しなくて大丈夫です。
宅建資格だけなら必要なお金は10万円未満で済みます。
宅地建物取引業免許は会社や個人事業主に交付される
宅地建物取引士の資格をもっているだけでは、不動産取引を行うことはできません。
不動産取引を業として行うには宅地建物取引業の免許が必要です。
宅地建物取引業を行うためには、裁判所に1,000万円の供託金を預けるか、不動産の協会に加盟しないといけません。
1,000万円の供託金を預けるか不動産協会に加盟したうえで、都道府県知事か国土交通大臣に免許取得の申請が必要です。
宅地建物取引業免許の申請には、1,000万円の供託金とは別に一定の要件を満たす必要があります。
例えば、不動産業を営む事務所の要件、固定電話の開設、かなりの量の必要書類の作成が必要です。
何もなければ申請が受理され、さらに1か月半を経過して宅地建物取引業者票の受け取りとなります。
不動産業者に必要な資格と免許
- 宅地建物取引業者の免許
- 専任の宅地建物取引士
社長が一人の会社
- 会社→宅地建物取引業者
- 社長→専任の宅地建物取引士
不動産の協会は主に2種類
不動産の協会には、主に宅地建物取引業協会と全日本不動産協会の2つがあります。
どちらがメジャーかというと、不動産会社の8割は宅地建物取引業協会に加入していますので、こちらのほうがメジャーといえます。
不動産の協会に加盟するメリットは、1,000万円必要な供託金が60万円で済むことです。
そのかわり協会の会員になるために200万円の費用がかかります。また、毎年会費がかかります。
実際に業務を行うには、さらに事務所費用、広告料がかかるので、開業する場合は500万円以上は用意しておいたほうがいいかもしれません。
不動産の取引は宅地建物取引業免許のある会社で
世の中には、不動産の専門家を名乗っていても宅地建物取引業の免許がない業者がいます。
こういった業者は完全に違法ですが、一見しただけでは分からないかもしれません。
これから不動産探しをする人は、宅地建物取引業者票を確認して宅地建物取引業者票がある不動産会社と取引することです。
宅地建物取引業者の免許がない業者と取引するとトラブルになる可能性があります。
宅地建物取引業者票は、見えやすい場所に掲示しなければいけないので、確認は容易です。
まとめ
・宅地建物取引士は個人に交付される
・宅地建物取引業の免許は会社などの団体に交付される
・宅地建物取引士だけでは不動産の取引ができない
・宅地建物取引士は資格の登竜門。宅建試験をきっかけにステップアップする人は多い。
・試験に合格しただけでは宅地建物取引士の業務を行えない。宅地建物取引士証の交付が必要。
・宅地建物取引士になるには10万円かかる。宅地建物取引業の免許取得には最低でも200万円かかる。
・不動産の取引は、宅地建物取引業者の登録をしている会社で行う