宅建の「資格」と「免許」は別もの|宅地建物取引士と宅地建物取引業免許の違い

不動産ビジネス 資格免許

「宅地建物取引士」と「宅地建物取引業」は名前が似ているため混同されがちですが、意味はまったく異なります。

一方は人に与えられる資格であって、もう一方は会社などに与えられる免許です。

 

この記事では、両者の違いと、それぞれの取得に必要な条件・費用を整理して解説します。

 

この記事で分かること

  • 「宅地建物取引士(資格)」と「宅地建物取引業免許(免許)」の違い
  • 宅地建物取引士だけができる独占業務の内容
  • 宅建試験の難易度(最新の試験結果データつき)
  • 資格・免許それぞれの取得に必要な費用の目安
  • 信頼できる不動産会社を見分けるポイント

 

「資格」と「免許」はここが違う

まず全体像を表で整理します。

項目 宅地建物取引士(資格) 宅地建物取引業免許(免許)
与えられる相手 個人 会社・個人事業主などの事業者
性質 一定の能力を認められた人に与えられる国家資格 不動産取引を業として行うための許可
これだけでできること 重要事項の説明など独占業務 不動産の売買・仲介などの営業
取得費用の目安 10万円未満 数百万円規模(後述)
転職時の扱い 個人に帰属するため返却不要 事業者に帰属する

ポイントは、資格を持っているだけでは不動産取引(営業)はできず、営業するには別途「免許」が必要という点です。

順に見ていきます。

 

宅地建物取引士とは

宅地建物取引士は、一定の能力を認められた個人に与えられる国家資格です。

以前は「宅地建物取引主任者」と呼ばれていましたが、2015年(平成27年)の法改正で「宅地建物取引士」へ名称が変更され、いわゆる士業の一つとなりました。

 

士業とは、名称に「士」が付く専門職の総称です。

なかでも、職務上の必要から戸籍・住民票を職権で取り寄せられる弁護士・弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・海事代理士・土地家屋調査士・税理士は「8士業」と呼ばれ、いずれも国家資格です。

宅地建物取引士も国家資格にあたります。

 

宅地建物取引士を名乗るには、試験に合格したうえで登録を行い、宅地建物取引士証(宅建士証)の交付を受ける必要があります。

試験に合格しただけでは「宅地建物取引士」と名乗ることはできません。

💡 「宅建」は宅地建物取引士の略称として使われることが多い呼び方です。

 

宅地建物取引士の独占業務

自宅

資格を持つ人だけが行える業務を「独占業務」といいます。

 

宅地建物取引士の独占業務は、主に次の3つです。

  • 重要事項の説明(契約前に、取引の重要事項を買主・借主などに説明する)
  • 重要事項説明書(35条書面)への記名
  • 契約書(37条書面)への記名

 

不動産取引は金額が大きく、専門用語も多いため、契約前の重要事項説明が法律で義務づけられています。

また、宅地建物取引業者の事務所には、業務に従事する者5人につき1人以上の専任の宅地建物取引士を置く設置義務があります。

 

宅地建物取引士試験の難易度

宅地建物取引士試験は国家資格の試験で、合格率は例年おおむね15〜18%台で推移しています。

受験者数は毎年20万人を超え、国内で受験者数が最も多い国家資格の一つとされています。

試験は毎年10月の第3日曜日に実施されます。

 

直近の試験結果は次のとおりです。

令和7年度(2025年度)宅地建物取引士資格試験 結果

項目 結果
試験日 2025年(令和7年)10月19日
申込者数 306,099人
受験者数 245,462人
受験率 80.2%
合格者数 45,821人
合格率 18.7%
合格基準点 50問中33問以上正解(登録講習修了者は45問中28問以上)

(出典:不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」)

合格率は18.7%で、おおよそ5〜6人に1人が合格する水準です。

民法など法律の基礎も問われるため、「資格試験の登竜門」と呼ばれることもあり、学んだ知識が日常生活で役立つ場面も多い資格です。

 

5問免除(登録講習修了者)の制度

不動産業に従事している人などが対象の「登録講習」を修了すると、本試験の一部(5問)が免除され、45問中28問以上の正解で合格となります。

実際に、登録講習修了者は一般受験者よりも合格率が高い傾向があります。受験を検討する際の参考にしてください。

 

宅地建物取引士資格から難関資格にステップアップする人も多く、キャリアアップに一押しの資格です。

 

宅地建物取引士になるまでの流れ

宅地建物取引士証の交付までは、おおむね次の流れです。

  1. 試験に合格する
  2. 登録を行う(2年以上の実務経験がある場合)
  3. 実務経験が2年未満の場合は、登録実務講習を修了することで実務経験の要件を満たしたとみなされます
  4. 宅地建物取引士証(宅建士証)の交付を申請する

 

資格に必要な費用は、受験料・登録費用・交付手数料などを合わせてもおおむね10万円未満で収まります。

宅建士証は個人に帰属するため、転職しても返却する必要はありません。

 

宅地建物取引業免許とは|会社や個人事業主に交付される

宅地建物取引士の資格を持っているだけでは、不動産取引を「業として」行うことはできません。

営業を行うには、別途宅地建物取引業免許が必要です。

 

免許を取得するには、次のいずれかの方法で営業保証金などを確保したうえで、都道府県知事または国土交通大臣に免許を申請します。

  • 営業保証金を供託する(主たる事務所で1,000万円)、または
  • 不動産の協会(保証協会)に加盟する(弁済業務保証金分担金で済む)

 

さらに、事務所の要件、固定電話の設置、必要書類の作成など一定の条件を満たす必要があります。

申請が受理されてからおおむね1か月半ほどで「宅地建物取引業者票」の交付を受け、営業を開始できます。

 

営業保証金と協会加盟の比較

営業保証金を自前で供託する方法と、保証協会に加盟する方法では、初期費用の負担が大きく異なります。

項目 営業保証金を供託する場合 保証協会に加盟する場合
主たる事務所の負担 1,000万円(供託) 弁済業務保証金分担金 60万円
協会への入会金など ― 数十万〜200万円程度(協会・地域により異なる)
そのほか継続費用 ― 年会費など

このため、開業時の資金負担を抑える目的で、保証協会に加盟する事業者が多くなっています。

 

⚠️ 入会金・年会費などの金額は協会や地域、時期によって異なります。実際の費用は加盟先の最新情報をご確認ください。

 

なお、事務所の賃料や広告費なども別途かかるため、開業時にはある程度まとまった資金を用意しておくのが一般的です。

 

不動産の協会は主に2種類

不動産の協会には、主に宅地建物取引業協会と全日本不動産協会の2つがあります。

どちらがメジャーかというと、不動産会社の8割は宅地建物取引業協会に加入していますので、こちらのほうがメジャーといえます。

当社は全日本不動産協会に加盟しましたが、基本的に差はありません。

 

不動産の協会に加盟するメリットは、1,000万円必要な供託金が60万円で済むことです。

実際に業務を行うには、さらに事務所費用、広告料がかかるので、開業する場合は500万円以上は用意しておいたほうがいいかもしれません。

 

信頼できる不動産会社を見分けるポイント

世の中には、不動産の専門家を名乗っていても宅地建物取引業の免許がない業者がいます。

こういった業者は違法ですが、一見しただけでは分からないかもしれません。

 

宅地建物取引業を営むには免許が必要で、免許を受けた事業者は宅地建物取引業者票を見やすい場所に掲示する義務があります。

事務所に入ってすぐ確認できることが多いので、不動産会社を選ぶ際は、この業者票の有無を確認しておくのがおすすめです。

業者票には、免許番号や免許の有効期間、商号、代表者名などが記載されています。

免許の有無は、各都道府県の宅地建物取引業者名簿や国土交通省の検索システムでも確認できます。

大切な取引だからこそ、免許のある事業者かどうかを事前に確認しておくと安心です。

 

まとめ

要点をチェックリスト

  • ☐ 宅地建物取引士は「個人」に与えられる国家資格
  • ☐ 宅地建物取引業免許は「会社・個人事業主」に与えられる営業の免許
  • ☐ 宅地建物取引士の資格だけでは不動産取引(営業)はできない
  • ☐ 試験合格だけでは名乗れず、宅建士証の交付を受けて初めて名乗れる
  • ☐ 資格取得の費用は10万円未満が目安、免許取得は数百万円規模
  • ☐ 取引は宅地建物取引業者票のある(免許を受けた)会社と行う

 

 

ご注意 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引・手続きの結果を保証するものではありません。

試験制度・費用・手続きは改正される場合があります。最新かつ正確な情報は、不動産適正取引推進機構や各都道府県、各協会の公式情報をご確認ください。

 

タイトルとURLをコピーしました