マンション修繕積立金はなぜ狙われるのか|談合・不正で住民負担が増える?価値を守る防衛術

不動産

マンションの修繕積立金をめぐってトラブルが起きていることをご存じでしょうか?

最近あった事件では、

  • 大規模修繕工事をめぐって、部外者が総会に参加して工事を受注しようとした
  • 部屋を購入して役員になり、特定の業者(自社)に受注させようとした

といったケースがニュースになりました。

 

2025年には、マンション大規模修繕のコンサルティングを巡る談合の疑いで、公正取引委員会が立ち入り検査を行いました。

これにより、本来であればもっと安く済むはずの工事が、業者間の調整によって高額なまま住民に押し付けられている実態が浮き彫りになりました。

 

マンションの修繕をめぐって昔から談合が多い業界として知られてましたが、こういった事件はマンションの資産価値に悪い影響を与えるだけでなく、結果的に住民が負担している修繕積立金の値上がりにつながっている可能性があります。

なぜマンションの修繕積立金をめぐって、このような不祥事が繰り返されるのでしょうか。

 

区分マンションの工事をめぐって最近起きた事件

修繕業者20社への談合疑惑

2025年に公正取引委員会が首都圏の約20社を対象にした検査では、談合によって工事の費用が不当に高騰した可能性があると指摘されています。

  • 工事費が水増しされた疑い
  • 約20社が関与

 

大京穴吹建設への立ち入り検査

こちらも大規模修繕工事の談合疑惑で、公正取引委員会が大京穴吹建設に対し、独占禁止法違反の疑いで検査を実施しました。

  • 立入検査対象が30社に拡大

 

工事業者が自社に有利に誘導

工事業者が部屋を購入して組合員となり、積極的に役員に就任して、自社が工事を受注できるよう誘導したことがニュースになりました。

  • 施工会社が住民を装って委員に入り込む→工事を受注しようとする

 

また、部外者が総会に潜入しようとしたところ、組合員から指摘されて逃亡したニュースもありました。

  • このようななりすまし事件が首都圏で複数確認されている

 

管理組合と工事業者の情報の非対称性

マンション管理や修繕工事は特殊で閉鎖的な業界といわれるように、マンションの大規模修繕工事では、工事の進め方や業者の選定をめぐって分かりにくいと指摘されることがあります。

管理組合の組合員は、ほとんどの人が建設の知識がなく、専門知識や情報を持ちにくいことから、工事業者やコンサルタントとの間で情報の差が生じやすいといわれています。

過去に報道された例を見ても、悪徳コンサルタントや談合によって同様の問題が繰り返されています。

 

悪質コンサルタント・管理会社との癒着

よくある例が、一部のコンサルタントについては、管理組合に対して相場より安い委託料で請け負い、結果として高い工事費を負担させられるというケースです。

他社よりも低い依頼料で引き受けた後、業者選定の過程で、特定の工事業者が選ばれるようにします。そして、工事を請け負った業者からバックマージンを受け取ります。

最初の委託料だけは安い又は無料だったものの、全体としては相場よりも高い修繕工事費となります。

修繕工事費が不足すれば、それは住民が負担している修繕積立金の値上げにもつながります。

 

組合員(住人)の無関心

区分マンションを選ぶ理由として、「マンションの方が管理が楽そうだから」という人は少なくありません。

確かに修繕工事や日常の掃除は専門業者が行ってくれるかもしれませんが、それらにかかる費用を負担しているのは一人一人の組合員です。

業者に任せているからといって、費用や内容まで最適化されるわけではありません。

 

修繕積立金の使われ方や工事内容に関心を持ち、「おかしい点はないか」「きちんと説明されているか」と確認する姿勢があるだけでも違います。

一人一人の組合員が管理に関心を持つことが、結果として資産を守り、将来の負担を減らすことにつながります。

 

談合違約金特約条項の導入

国土交通省は2025年6月26日、マンション管理に関わる関係団体に対し、大規模修繕工事などの工事請負契約において、談合違約金特約条項を盛り込むことを推奨する通知を出しました。

 

将来もし談合が発覚した場合に備えて、事前に請負代金の一定割合を違約金として負担する仕組みです。

たとえば、公正取引委員会などが談合と認定すれば、違約金を請求できます。



特約条項が広く導入されれば、業者側にとっての抑止力が高まり、より健全な競争環境が期待されます。

 

談合リスクを避けて修繕コストを抑えるために

談合のリスクを回避し、住民が納得できる大規模修繕を実現している管理組合には共通点があります。

 

第三者機関・セカンドオピニオンの活用

管理会社や既存のコンサルタントとは利害関係を持たない、独立した立場のマンション管理士やコンサルタントを起用する方法です。

業者の選定を第三者の視点で確認してもらうことで、条件設定や評価基準の偏りに気づきやすくなります。

実際に、当初提示されていた見積内容について第三者が関与し、公募条件や仕様を見直した結果、

工事費が7割に見直され、結果として数億円の修繕積立金の流出を抑えた例もあります。

 

住民参加型による透明な合意形成

業者選定の過程や評価結果を記録として残し、

  • 候補業者の比較表
  • 選定理由
  • 検討経緯

を住民全体に共有することも有効な対策のひとつです。

 

資料を全戸配布し、説明会で住民からの質問を受け付ける体制が整っているマンションでは、一部の役員による独断や、外部からの不透明な関与が入り込みにくくなり、結果として健全な意思決定が行われやすくなります。

 

おわりに

近年報じられた大規模修繕を巡る不適切な事例は、分譲マンションが抱える課題を浮き彫りにしました。

専門知識の不足や、住民間の情報共有の難しさが、結果として不正な取引につながることがあります。

一方、このような問題が注目されたことは、業界の慣行を見直すことになります。

 

これからのマンションの価値は、立地や築年数だけで決まるものではありません。

組合員が積極的に管理・修繕に関わっていくことも重要です。不動産の価値は、立地が最重要といわれ勝ちですが、分譲マンションでは管理の質も資産価値の大きな要素になります。

 

マンションの管理不全が続けば、将来的に住環境や資産価値の低下を招くマンションが増える可能性も指摘されています。

10人に1人が区分マンションに暮らす時代だからこそ、マンションを負の遺産にしないための法整備や管理環境の充実が求められています。

 

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