マンションの入口などで「管理計画認定マンション」という表示を見かけたことはないでしょうか。
マンション管理計画認定制度は比較的新しい制度なので、まだ知らない人がほとんどです。
今回は、国と自治体が運営する「マンション管理計画認定制度」について、認定基準やメリットを解説します。
この記事から分かること
- マンション管理計画認定制度の仕組みと創設の背景
- 認定基準の主なポイント(5つの区分)
- 認定を受けるメリット(フラット35の金利優遇など)
- 横浜市での申請の流れ
マンション管理計画認定制度とは

マンション管理計画認定制度は、2020年6月の「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(マンション管理適正化法)改正を受けて、2022年4月から始まった制度です。
管理組合が作成した管理計画を地方公共団体に申請し、一定の基準を満たしていれば、適切な管理計画を持つマンションとして認定を受けられます。
対象となるのは、マンション管理適正化推進計画を策定した地方公共団体内にあるマンションです。
横浜市も対象自治体のひとつで、市内の分譲マンション(販売中の新築を除く)が申請できます。
認定の有効期間は5年間です。
制度創設の背景には、築40年超のマンションが今後急増する見通しからきています。
国土交通省によると、築40年超のマンションは2022年末時点で約126万戸ですが、10年後には約2.1倍、20年後には約3.5倍に増加すると見込まれています。
老朽化に対して修繕積立金の確保や長寿命化工事が追いつかない管理組合が増えることが懸念されており、この制度は管理状況の改善に向けた合意形成を後押しする狙いがあります。
認定基準の主なポイント
認定基準は、大きく次の5つの区分に整理されています。
1.管理組合の運営
管理者等が定められ、集会(総会)が年1回以上開催されているかどうか。
2.管理規約
管理規約が整備され、管理組合の実態を反映しているか。
3.管理組合の経理
管理費と修繕積立金が区分経理されているか。修繕積立金の滞納に適切に対応しているか。
4.長期修繕計画の作成及び見直し等
計画期間が30年以上あり、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれているか。修繕積立金の平均額が著しく低額でないか。
5.その他
組合員名簿・居住者名簿が適切に整備されているか。
これらの基準に加えて、地方公共団体が独自の基準を追加している場合もあります。
基準の詳細は、国交省の事務ガイドライン(令和8年3月に最終改訂)にまとめられており、内容は改定されることがあるため、申請時には最新版の確認が必要です。
認定を受けるメリット

認定を受けることで、次のようなメリットが期待できます。
1.フラット35の金利引き下げ
管理計画認定マンションの取得等にあたって、住宅金融支援機構融資(フラット35など)の金利が引き下げられます。
2.マンションすまい・る債の利率上乗せ
管理組合が修繕積立金を計画的に積み立てる際に利用する債券の利率が上乗せされます。
3.固定資産税の減額(期間限定の特例措置)
長寿命化工事を実施した場合、建物部分の固定資産税額が一定期間減額される場合があります。
4.市場での評価
管理状態が可視化されることで、売買時に市場で評価されやすくなることが期待されます。
認定の流れ(横浜市の場合)
1.管理組合の総会で、認定申請することを決議する(標準管理規約に準拠していれば、出席組合員の1/2の賛成で決議可能)。
2.マンション管理士や管理会社、日本マンション管理士会連合会、マンション管理センターなどに事前確認を依頼する。
3.基準への適合が確認されると「事前確認適合証」が発行される。
4.事前確認適合証を添えて、横浜市に認定を申請する。
申請から認定までは2〜3ヶ月程度かかることがあるため、期間に余裕を持って進めることが推奨されています。
現状の普及率

実は認定を受けているマンションはまだ多くありません。
全国の認定実績は、令和5年9月末時点で212件、令和6年1月末時点で424件と、着実に増加はしていますが、全国の管理組合数(約10万)と比べると、まだ一部にとどまっています。
まとめ
マンション管理計画認定制度は、国と自治体が運営する公的な認定制度で、管理計画が一定の基準を満たしているかどうかを判定するものです。
「マンション管理適正評価制度」(業界団体が運営し、100点満点・★の段階評価で表示)とは別の制度である点に注意が必要です。
認定を受けることで、フラット35の金利優遇や市場での評価向上といったメリットが期待できるため、管理組合の運営状況を見直す機会として検討する価値があります。
