先日、横浜市内のあるマンションに、「★★★★★」と「〇点」という掲示が貼り出されているのを見かけました。
不動産屋やマンション管理士には知られた制度ですが、実際に高得点の掲示をエントランスで目にする機会は多くありません。
今回は、これが何なのか、この評価の仕組みについて、これがなぜ資産価値にも影響するのかを解説します。
この記事から分かること
- 「マンション管理適正評価制度」と「マンション管理計画認定制度」の違い
- ★5つ・100点満点の評価項目と配点の内訳
- 高評価のマンションに共通する修繕積立金の徴収方式
- 評価を見る際に確認しておきたいポイント
「管理計画認定制度」と「管理適正評価制度」は別物
マンションの管理状態を可視化する制度には、名前がよく似た2つの制度があります。
それは、マンション管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度です。
マンション管理計画認定制度
マンション管理計画認定制度は、マンション管理適正化法に基づき、国が定めた基準(および自治体独自の上乗せ基準)を管理組合の計画が満たしているかどうかを、自治体が認定する制度です。
基準を満たしているかどうかの判定のみで、点数や星による表示はありません。
マンション管理適正評価制度
マンション管理適正評価制度は、マンション管理業協会が運営する制度で、「管理体制関係」「組合収支会計」「建築・設備」「耐震診断関係」「生活関連」の5つのカテゴリー・合計30項目を100点満点で採点し、★0〜5つの6段階で評価します。
先日、横浜市内のマンションで見かけた「★5つ・95点」は、こちらの制度による評価です。
2つの制度は同時に申請することもでき、多くの管理組合は両方に取り組んでいます。
評価の内訳
評価項目のうち、配点が最も大きいのは「組合収支会計」(40点)です。
修繕積立金の滞納状況や、積立方式が評価対象になります。
特に修繕積立金の徴収方式については、次の2つの方式があります。
- 均等積立方式(毎月一定額を積み立てる方式):配点が高めに設定されている
- 段階増額方式(当初は低く抑え、段階的に増額していく方式):将来の増額が計画通り決議されるとは限らないリスクがあるため、配点が抑えられている
新築時に修繕積立金を低く設定し、段階的に増額していく方式は、当初の負担が軽く見える一方、将来の増額が総会決議されなければ資金が不足するリスクがあります。
評価制度でこの点の配点が抑えられているのは、こうした構造的なリスクを反映したものです。
100点マンションが「超大規模・タワマン」に多い理由

実際に100点を獲得しているマンションの顔ぶれを見ると、その多くが大手デベロッパーが分譲し、大手の系列管理会社がバックアップしている超大規模マンションやタワーマンションです。
お金(スケールメリット)がある
戸数が多いため、1戸あたりの負担を抑えつつ、均等積立の財務を強固にしやすい。
プロの管理
大手管理会社が最初からシステム化された管理ノウハウを投入しているため、書類の紛失や点検漏れが起こらない。
中小規模のマンション(特に自主管理に近いものや、地方の古いマンション)では、理事会のマンパワーが足りず、どれだけ頑張っても書類の不備などで数点の取りこぼしが発生してしまいます。
100点満点が必ずしも住民にとって最適とは限らない
確かに100点満点のマンションは実在しますし、マンション管理の視点から見れば模範解答です。
しかし、100点を維持するために、毎月の管理費や修繕積立金が相場よりかなり高く設定されているケースもあります。
「管理組合のサイフが潤っている(100点)」ことと、「自分の家計のCF(キャッシュフロー)が健全である」ことはイコールとは限りません。
無理して100点のマンションを買って住宅ローンに追われるより、90点(星5)や85点(星4)のマンションを余裕のある予算で買う方が、人生の豊かさが良くなることも事実です。
将来も安心とは限らない

なお、★5つの評価を得ているマンションであっても、注意しておきたい点はあります。
たとえば、段階増額方式や将来の一時金徴収を前提とした計画であっても、それまでの実績次第では高得点になるケースがあります。
評価はあくまで現時点での状態を示すものであり、将来にわたって安泰であることを保証するものではありません。
評価を見る際は、点数だけでなく、修繕積立金の徴収方式(均等か、段階増額か)や、長期修繕計画の見直し頻度についても、あわせて確認しておくと安心です。
まとめ
マンションの入口でよく見かける「★」や「点数」の掲示は、国の認定制度とは別の「マンション管理適正評価制度」によるものであることが多いです。
両制度の違いを理解した上で、点数だけでなく評価の中身(特に修繕積立金の方式)まで確認することが、マンション選びや管理組合運営の参考になります。
