亡くなった人がいる物件=事故物件?死亡と事故物件の違いと線引きを解説

不動産

日本は、平成25年に高齢率が25%を超えました。

高齢率というのは、人口に占める高齢者の割合のことをいい、高齢者は65歳以上の人のことをいいます。

以前、テレビで高齢化が騒がれていましたが、高齢化というのは高齢者が7%以上の場合をいいますから、今の日本はとんでもない高齢社会といえます。

 

「この部屋、以前に人が亡くなったことがあるらしい」——そう聞くと、すべて事故物件のように感じてしまうかもしれません。

しかし、人が亡くなった物件のすべてが「事故物件」として扱われるわけではありません。

今回は、2021年10月に国土交通省が策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」をもとに、どこからが事故物件になるのか、その線引きを解説します。

 

この記事から分かること

  • 「人が亡くなった物件」と「事故物件」はイコールではない理由
  • 事故物件になる死因・ならない死因の線引き
  • 特殊清掃の有無が判断を左右する理由
  • 告知が必要な期間の目安(賃貸の場合)

 

「事故物件」とは何か

前の入居者が自殺したり、殺人が起きた物件は事故物件と呼ばれます。

不動産業界では、心理的瑕疵物件(しんりてきかしぶっけん)とも呼んでます。

 

事故物件は、いわくつきの物件として扱われ、お客さんに事故物件を紹介しても、ほとんどのお客さんに嫌がられます。

確かに前の人が自殺した物件や殺人事件の現場に住みたいとは正常な神経の人なら思わないでしょう。

 

「といっても、世の中には事故物件のツアーがあるそうです。」

「不動産会社の協力を得て一般の人が企画したり、不動産会社自ら企画したりするそうです。」

YouTubeやライブ配信の再生数を稼ぐのが主な目的のようです。

 

事故物件になる死因・ならない死因の線引き

死亡

これだけ高齢率が上昇してしまっている以上、世の中には毎日どこかで孤独死、自殺は起きています。

特に孤独死は毎日起きているのでニュースになることはありません。

「私が住む町内といった狭い範囲でも孤独死が増えており、なぜか見回り当番をやらされることになりました。」最近になって特に人の死が日常と隣り合わせになっている気がします。

 

国交省のガイドラインでは、死因や状況に応じて、次のように線引きが整理されています。

 

事故物件にならない(原則、告知不要)

  • 病死・老衰などの自然死
  • 転倒事故、誤嚥など、日常生活の中で起きた不慮の死

 

事故物件になる(原則、告知が必要)

  • 自殺
  • 他殺(殺人事件など)
  • 上記の自然死・不慮の死であっても、発見が遅れて特殊清掃(消臭・消毒等)が必要になった場合

 

つまり、「亡くなった原因」がまず一番の分かれ目です。老衰や持病による自然死であれば、それ自体は人生の自然な終わり方として扱われ、原則として事故物件にはなりません。

一方、自殺・他殺は、死因を問わず原則として告知の対象です。

 

「孤独死」は死因ではなく状態を指す言葉

法律上、自殺や殺人が起きた事故物件(心理的瑕疵物件)は、契約前に重要事項説明でお客さんに告知する決まりがあります。

しかし、判例上では孤独死は説明義務はないといわれています。

つまり、不動産の取引では、孤独死は事故物件の扱いにならないということです。

人によっては孤独死は心理的に嫌でしょうが、孤独死があったことについて説明する義務は実務上ありません。

「といっても、孤独死が放置され、腐敗が進んで清掃業者を必要とするレベルでは告知が必要になります。」

 

つまり、孤独死かどうかではなく、「死因」と「特殊清掃の有無」で判断されるのがポイントです。

 

一方、自殺や殺人については、告知しなければならないとされています。

しかし、どの期間にまでさかのぼって告知義務が課せられるかは、実は法律では明確な決まりがありません。

いつまでさかのぼって告知義務が発生するかは、弁護士でも意見が分かれています。

 

事件を知ってたら借りるかどうかが問題になる

事故物件については、契約の前に事件について告知します。

契約の前に重要事項で説明があるかもしれませんが、実際には内見の際に事故物件と告知されます。

 

どの期間にまでさかのぼって告知しなければいけないかは、もし、借主がその事件について事前に知っていたら、借りたかどうかがポイントとなります。

 

土地の売買では、過去20年前の事件について告知義務有とされた判決がありますが、これは有名な事件だったからという理由もあります。

弁護士によれば、告知義務についてさかのぼって説明する期間は、賃貸の慣習では2年が一つの目安なんだそうですが、これも決まっているわけではありません。

 

ガイドラインで示された告知の目安|賃貸では「概ね3年」

事故物件に該当する場合でも、告知が永遠に必要というわけではありません。

賃貸借取引においては、事案の発生・発覚から概ね3年が経過した後は、原則として告知しなくてよいという目安がガイドラインで示されました。

 

この3年間は、入居者が何人入れ替わったかにかかわらず適用されます。

「1人住めば以降は告知不要」という考え方は、現在では通用しません。

 

ただし、3年を経過していても、借主から事案の有無を直接尋ねられた場合や、社会的影響が大きく特段の事情があると認められる場合は、告知が必要です。

なお、売買取引には賃貸のような一律の年数基準はなく、事案の内容や経過期間、周知の程度などをもとに個別に判断される点に注意が必要です。

 

ガイドラインの対象範囲

このガイドラインは居住用不動産(戸建て・賃貸アパート・分譲マンションなど)を対象としており、オフィスなど事業用不動産は対象外です。

集合住宅では、専有部分だけでなく、ベランダなど専用使用が可能な部分や、日常的に使う共用部分(玄関・エレベーターなど)も対象に含まれます。

 

事故物件は相場より安く借りられる

事故物件は、契約前に事件について告知しなければいけないので、周りの相場と同じ価格では誰も借りてくれません。

 

一般的な事故物件の募集では、毎月の賃料を相場よりも下げて行われることが多いです。

とはいっても、毎月の賃料を少しばかり下げた程度ではそうそう借り手は見つかりません。

事故物件の募集の中には、相場の半分なんてものもあります。

 

リフォームをしっかりと行えば、とても事故物件には見えなくなります。

中には、入居する際にきれいになっていれば気にしないという人もいます。

 

貸主にとっては空室が解消され、借主にとっては相場より安く借りられる……気にしない人なら選択肢として候補に入れてよいかもしれません。

 

事故物件の扱いについてのまとめ

人が亡くなった物件がすべて事故物件になるわけではありません。

線引きのポイント

  • ①死因が自然死か自殺・他殺か
  • ②発見の遅れによる特殊清掃の有無
  • ③(賃貸の場合)発生から概ね3年が経過しているかどうか

 

ガイドラインはあくまで「原則」の基準であり、個別の事情によって判断が変わる場合もあるため、不明な点は不動産業者や専門家に確認することをおすすめします。

 

日本では高齢者が増えている一方で、出生率は減少しています。

「カナダでは、日本の出生率減少、失われた30年は政治の失敗によるものと授業で教わるそうです。」

いずれにしても高齢社会の日本では、高齢者の賃貸探しや孤独死の問題は避けては通れません。

 

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