一物五価とは?土地の5つの評価方法を分かりやすく解説

不動産

「不動産はややこしい」

これは、お客さんからときどき言われる言葉です。

 

我々の生活には、衣食住は切り離せないものですが、そのうちの一つである住については「ややこしい」とか「難しい」と感じている人は少なくないようです。

特に不動産に関することについては、関連する法律も多く、専門用語も多いためややこしいと思います。

 

不動産をややこしくしている原因の一つに、同じ不動産なのに評価方法がいくつかあるということがあります。

ニュースなどで「公示価格が発表されました」とか「路線価が公表されました」と耳にすることがあると思いますが、これらはすべて同じ土地に対する別々の評価です。

 

相続税対策として不動産が活用されるケースが増えていますが、これはまさにこの「評価方法が複数ある」という仕組みを利用したものです。

 

この記事から分かること

  • 一つの土地に価格が5つ存在する「一物五価」の仕組み
  • 時価・公示価格・路線価・基準地標準価格・固定資産税評価額、それぞれの基準日と発表時期・発表主体
  • 路線価は公示価格の何割、固定資産税評価額は何割が目安か
  • 不動産が相続税対策に使われる理由

 

一つの土地に五つの評価がされる?

みなさんの中には「一物五価」という言葉を聞いたことがある人がいるかもしれません。

一物とは、一つの物、つまり一つの土地のことです。

そして、五価というのは、五つの評価方法によって付けられる価格をいいます。

 

普段の生活で、スーパーに大根を買いに行ったとします。大根はその年の豊作や凶作、時期などによって価格が変化します。

高いと思ったら購入しないかもしれませんが、「このくらいなら……まあ、いいか」と思って購入した場合、それを「時価」といいます。

時価という時点でややこしく感じるかもしれませんが、時価というのは取引が成立した場合の価格をいいます。

値段交渉をして少し値引きしてもらった場合は、値引きしてもらった価格が時価になります。

まあ、その時の価格です。

 

不動産であれば、チラシでは5000万円の土地が売りに出されていても、値引き交渉の結果、取引成立額が4500万円なら、時価は4500万円ということになります。

 

そして、五価のうちの時価以外には、公示価格、相続税路線価、基準地標準価格、固定資産税評価額の四価があります。

 

一つの土地に5つの評価について解説

「一物五価」の一物とは一つの土地、五価とは5つの評価方法によって付けられる価格のことです。

 

① 時価

実際に取引が成立した価格のことです。

チラシで5,000万円と表示されている土地でも、値引き交渉の結果4,500万円で成約すれば、その時価は4,500万円になります。

 

② 公示価格

国土交通省の土地鑑定委員会が、毎年1月1日を基準日として全国の標準地を評価し、3月に公示する価格です。

一般の土地取引価格の指標や、公共事業用地の取得価格算定の基準として用いられます。

実際の取引価格(時価)とは乖離することがあり、地価が急上昇する局面では公示価格が時価より低くなる傾向が指摘されています。

 

③ 路線価(相続税路線価)

相続税法に基づき、毎年1月1日を基準日として評価され、7月に国税庁から発表されます。

相続税・贈与税の算定基準となる価格で、公示価格の80%程度を目安に設定されています。

なお、固定資産税の算定にも別途「固定資産税路線価」が用いられます。

 

④ 基準地標準価格(基準地価)

国土利用計画法施行令に基づき、都道府県知事が毎年7月1日を基準日として不動産鑑定士の評価をもとに判定し、都道府県が9月に公表する価格です。

評価の考え方や目的は公示価格と共通していますが、基準日が半年ずれているため、公示価格を補完する役割を持ちます(公示価格は1月1日、基準地標準価格は7月1日が基準日)。

 

⑤ 固定資産税評価額

市町村(東京23区は都)が3年に1度、評価替えを行う固定資産税算定の基準となる価格です。

原則として、基準年度の前年1月1日を価格時点として評価されます。

土地の固定資産税評価額は、公示価格の70%程度が目安とされています。

 

なぜ不動産は相続税対策になるのか

固定資産税評価額が公示価格の70%程度に抑えられているように、現金で資産を保有するよりも土地で保有するほうが、相続税・贈与税上の評価額は低くなる傾向があります。

評価額が下がれば、その分納める税額も下がるため、これが不動産が相続税対策として活用される理由の一つになっています。

 

ただし、評価額の圧縮効果だけを目的に不動産を購入すると、流動性の低さや空室リスク、将来的な地価下落リスクを抱えることにもなります。

節税効果と資産としてのリスクは、必ずセットで検討する必要があります。

 

5つの評価方法の比較表

評価方法 基準日 発表時期 発表主体 公示価格との関係 主な用途
時価 取引成立時 個別事情により変動 実際の売買
公示価格 毎年1月1日 3月 国土交通省 ー(基準) 一般の土地取引の指標、公共事業用地の算定
路線価(相続税路線価) 毎年1月1日 7月 国税庁 公示価格の80%程度 相続税・贈与税の算定基準
基準地標準価格 毎年7月1日 9月 都道府県 公示価格を補完 一般の土地取引の指標(公示価格のない地点を補完)
固定資産税評価額 3年に1度(前年1月1日時点) 4月頃(評価替え年) 市町村(東京23区は都) 公示価格の70%程度 固定資産税・都市計画税の算定基準

 

まとめ

  • 一つの土地には、時価・公示価格・路線価・基準地標準価格・固定資産税評価額という5つの価格が存在する(一物五価)
  • 公示価格は国土交通省、基準地標準価格は都道府県、路線価は国税庁、固定資産税評価額は市町村と、発表主体がそれぞれ異なる
  • 路線価は公示価格の80%程度、固定資産税評価額は公示価格の70%程度が目安
  • 評価額が低いことを利用した相続税対策には、流動性リスクなど別の注意点もある

 

土地の公的な価格情報は、国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)でも確認できます。

 

 

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続税評価や不動産取引については、物件の状況や税制改正により内容が異なる場合があります。実際の申告や取引にあたっては、専門家にご相談ください。本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

 

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