病気やケガによる収入減少、勤務先の業績不振によるボーナスカットなど、さまざまな事情で住宅ローンの返済が厳しくなることがあります。
「返済が苦しいけれど、家は売りたくない」というとき、検討したい選択肢の一つが、返済条件そのものを見直す「リスケジュール」です。
追い詰められてから慌てるのではなく、早めに知っておきたい制度です。
この記事から分かること
- 住宅ローンの「リスケジュール」とは何か、元金据置(利息のみ返済)などの具体的な方法
- リスケジュールのメリットと、見落としがちなデメリット
- リスケジュールが認められるための条件と、検討する際の注意点
リスケジュールとは何か

リスケジュールとは、金融機関に返済計画の変更を相談し、無理のない条件に組み直してもらうことをいいます。
もともとはビジネスシーンで使われていた予定変更を意味する言葉で、住宅ローンの分野でも「返済条件の変更」を指す言葉として定着しています。
重要なのは、リスケジュールは法律で定められた制度ではなく、あくまで金融機関との交渉によって成り立つものだという点です。
「返済を待ってほしい」「毎月の負担を軽くしてほしい」というお願いを、金融機関に認めてもらう形になります。
リスケジュールの主な方法
住宅ローンのリスケジュールには、いくつかのパターンがあります。
| 方法 | 内容 |
| 元金据置(利息のみ返済) | 一定期間、元金の返済を止め、利息のみを支払う |
| 返済期間の延長 | 毎月の返済額を下げるため、完済までの期間を延ばす |
| ボーナス払いの見直し | ボーナス払い部分を減額・廃止し、毎月払いに振り分ける |
このうち、毎月の負担軽減効果が最も大きいのが元金据置(利息のみ返済)です。
毎月の返済額のうち、元金分が半分以上を占めることも多いため、利息のみの支払いに切り替えることで、毎月の負担がかなり軽くなります。
リスケジュールのメリット

家を売らずに住み続けられる
リスケジュールの最大のメリットは、自宅を手放すことなく、短期的な経済的負担を軽減できる点です。
「まとまった金額を毎月払うのは難しいが、少しずつなら払える」という状況を乗り切る手段になります。
資金繰りに余裕が生まれる
毎月の返済額が下がることで、その分を生活費や他の支払いに回せるようになり、家計全体の資金繰りに余裕が生まれます。
リスケジュールのデメリット

返済総額は増加することが多い
元金据置や返済期間の延長を行うと、その分利息が発生する期間が延びるため、最終的な返済総額は増加するのが一般的です。
目先の負担は軽くなっても、長期的にはトータルの負担が増えることを理解しておく必要があります。
新たな借入がしづらくなる
リスケジュール中は、金融機関にとってリスクの高い先とみなされるため、新規の借入を受けにくくなる傾向があります。
教育ローンや自動車ローンなど、他の借入を予定している場合は影響が出る可能性があります。
信用情報への影響に注意
リスケジュールの過程で一時的な延滞が発生した場合は、個人信用情報機関に事故情報として登録されることがあります。
事故情報が登録されると、その後の借り換えやカードローンなどの審査に通りにくくなります。
延滞を伴わない形でリスケジュールが成立するかどうかは、金融機関との交渉次第となるため、早めの相談が重要です。
リスケジュールが認められるための条件
リスケジュールは法的な権利ではなく、金融機関にお願いする交渉です。
そのため、認めてもらうためには、次のような条件を満たしていることが望ましいとされています。
- 資金不足が一時的なものであると説明できること
- 一定期間を乗り越えれば、安定した収入が見込めること(これまでの返済実績があること)
- 誠実な態度で、根拠のある返済計画を示せること
漠然と「苦しいので待ってほしい」と伝えるのではなく、いつまでにどのような状態に戻る見込みなのかを、具体的に説明できるようにしておくことが大切です。
リスケジュールを検討する際の注意点

一時的な支出増加や収入減少を乗り切れば、当初の予定通り返済を続けられる見込みがあるなら、リスケジュールは有効な選択肢です。
一方で、収入減少が構造的・長期的なものである場合は、リスケジュールで一時しのぎをしても、いずれ同じ問題に直面することになります。
その場合は、任意売却やリースバック(自宅を売却したうえで賃貸として住み続ける方法)など、他の選択肢とあわせて検討することも必要です。
ライフプラン全体を見直したうえで、リスケジュールが本当に適した選択かどうかを判断することが重要です。
リスケジュールはあくまで「延命処置」
誤解が多いのが、リスケジュールを「債務整理」の一種だと思い込んでる人がいることです。
両者はまったく別のものです。
リスケジュールは、借入金額自体を減らすものではありません。
返済のタイミングを後ろにずらしたり、毎月の支払額を一時的に軽くしたりするだけで、返すべき総額はむしろ増えるのが一般的です。
つまりリスケジュールは、問題を根本的に解決する手段ではなく、時間を稼いで立て直すための延命処置にすぎないということです。
一方、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産など)は、弁護士や司法書士を通じて法的な手続きを行い、借入元本そのものを減額・免除したり、返済義務を法的に整理したりする制度です。
| リスケジュール | 債務整理 | |
| 性質 | 金融機関との私的な交渉(法的制度ではない) | 法律に基づく手続き(任意整理・個人再生・自己破産など) |
| 借入元本 | 減らない(利息を含めた総返済額はむしろ増えやすい) | 減額・免除されることがある |
| 目的 | 一時的な資金繰りの改善(時間を稼ぐ) | 債務問題そのものの法的な解決 |
| 相談先 | 借入先の金融機関 | 弁護士・司法書士 |
一時的な収入減少を乗り切るための時間稼ぎであればリスケジュールが適していますが、収入減少が長期化・構造化していて、そもそも借入額自体が身の丈に合っていない場合は、リスケジュールを繰り返しても状況は改善せず、かえって総返済額が膨らみ続けることになります。
そのようなケースでは、早い段階で債務整理も選択肢に入れて、弁護士や司法書士に相談することが重要かもしれません。
まとめ|リスケジュールは「時間を買う」ための選択肢
- リスケジュールとは、金融機関に返済条件の変更を相談すること(法的制度ではなく交渉)
- 元金据置(利息のみ返済)、返済期間の延長、ボーナス払いの見直しなどの方法がある
- メリットは、家を売らずに短期的な負担を軽減できること
- デメリットは、返済総額の増加、新規借入のしづらさ、信用情報への影響の可能性があること
- リスケジュールは借入元本を減らす「債務整理」とは別物で、あくまで時間を稼ぐための延命処置にすぎない
- 一時的な資金不足なのか、構造的な問題なのかを見極めたうえで検討することが重要
監修 1級ファイナンシャルプランニング技能士/宅地建物取引士/マンション管理士
※本記事は住宅ローンのリスケジュールに関する一般的な解説であり、個別の金融機関における審査結果や条件を保証するものではありません。実際にリスケジュールを検討する場合は、早めに借入先の金融機関または専門家にご相談ください。
