部屋を借りた場合、多くの賃貸借契約では2年の契約になっています。
部屋の賃貸借契約には、大きく「普通借家契約」と「定期借家契約」があります。
定期借家契約は、一定の期間で賃貸者契約が終了するという借家契約をいいます。
お互いが合意して新たな定期借家契約を結ぶということはありますが、原則として定期借家契約に更新はありません。
法律上の更新には、合意更新と法定更新とがありますが、特約を定めることで自動的に更新する自動更新というものもあります。
今回は、部屋を借りた場合の更新についてまとめてみようと思います。
合意更新とは
合意更新は、2年や3年といった契約期間の定めがある賃貸契約の満了時に、賃貸人と賃借人が合意して更新することです。
契約期間満了により、家賃や契約内容を合意して更新するのですが、多くの場合は従前と同一の契約内容となることが多いです。
更新する場合は、最初に契約したときと同じように、新しい契約書に署名捺印します。
その際に更新料が必要となることが多く、中には更新事務手数料がかかることもあります。
更新料に関する事項については、いくらかかるか契約書に記載されていますが、多いのは更新料は1か月、更新事務手数料は半月分といったところです。
また、火災保険や保証料といった費用も最初の契約と同じように必要です。
法定更新とは
借家の更新時に合意が成立しなかったときに、借地借家法に基づいて契約更新されるのが法定更新です。
法定更新は、賃借人の保護を目的とした借地借家法によって規定されている更新です。
合意更新には2年や3年といった契約期間がありますが、法定更新の場合は「期間の定めがない」契約になる点が違います。
借地借家法第26条第1項
建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
期間の定めがない点以外は従前の契約内容と同じになります。
期間の定めがない契約ですが、賃貸人からは6か月前の予告で、賃借人からは3か月前の予告で契約を解約できます。
ただし、賃貸人から解約する場合は「正当事由」が必要とされ、実際にはなかなか正当事由を認められることは難しいです。
また、従前の契約内容に、賃借人からは「明け渡しの1か月前までに書面による解約の申し入れを行うことにより、解約できる」といった記載があれば、1か月前の予告で解約できます。
自動更新とは
自動更新は、契約書の特約で「〇か月前までに賃貸人又は賃借人から意思表示がないときは、前と同一の期間・条件で自動的に更新される」といった更新です。
賃貸人と賃借人の双方が異議を申しない限り、自動で更新されるという特約を設けることで、合意更新と同じ効果が生じます。
自動更新は、合意更新の一つですが、特約が必要です。
自動更新と法定更新は、どちらも合意がないのに契約が更新される点では同じですが、自動更新は契約期間の定めがあるのに対して、法定更新には契約期間の定めがありません。
この点で更新料というのは、賃借人の地位を継続するための対価、といった解釈がされてます。
更新料の支払いについて
合意更新は、契約期間の更新の時に更新料が発生します。
しかし、法定更新の場合は期間の定めがありませんので、更新料はどうなるかが問題です。
この点については、更新料の支払いについて合意がなければ、更新料の支払い義務はないといわれています。つまり、法定更新されてしまうと賃借人は更新料を払わなくてよくなり、賃貸人は更新料を受け取れないことになります。
ただし、法定更新であっても、法定更新後は以後〇年ごとに支払うものとする、といったように更新料の支払いを特約で明確にしている場合は請求はできることになります。
まとめ
合意更新と自動更新には期間の定めがあり、法定更新には期間の定めはありません。
しかし、実際はいずれの場合も賃貸人からの更新拒絶や解約には正当事由が必要ですし、賃貸人と賃借人が双方納得すれば、契約期間中であっても契約を終了させることは可能です。
また、賃借人も契約期間中は途中で解約することは出来ませんが、一般的な借家契約では1か月、2か月前の中途解約条項が定められています。
この規定の通りに前もって通知するか、1か月、2か月分の賃料相当額を支払えば、通常は解約できます。
今回は借家契約の更新についてまとめました。