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不動産投資で分かりにくい減価償却について解説

投稿日:2019年3月20日 更新日:

同じ不動産を所有していても、自分で住んだら消費ですが、他人に貸したら投資になります。

建物は経年劣化していくのですが、他人に貸したら経費として処理でき、一方で自分で住んだら処理できません。

不動産投資とは、減価償却とレバレッジを使って資産を形成する仕組みですが、減価償却は会計関係の仕事をしてないと分かりにくい仕組みです。

「減価償却の仕組みについて、簿記の1級と3級を教えていた私が解説します」

減価償却とは

減価償却というのは、固定資産を使う期間に分ける計算処理方法です。

切手や封筒のような消耗品と違い、長期間にわたって使用される固定資産を、各期に分配して費用処理し、損益計算を適正に行います。

減価償却を行わないと、固定資産を購入した時だけ費用処理することになり、購入時のみ多額の費用計上となってしまいます。

仮に購入した時だけの費用になると、翌年度も使用してるのに、収入に対する費用が計上されないことになり、その不動産の本来の稼得能力が判別できません。

加えて収入を得るためにかかった不動産の部分が分かりにくく、不正ができてしまいます。

このように固定資産の耐用年数に応じてその期間で費用処理することになっており、それが減価償却です。

 

何度も言ってますが、減価償却費は購入した固定資産を費用配分する手続きのことをいいます。

建物は年月とともに劣化していきますが、この価値の減少を帳簿上でも行います。

たとえば、1,000万円の建物を20年間使用するのであれば、20回ずつに分けます。

つまり、1,000万円の建物を20年で使うと仮定して20で割ることになりますから、1年当たりに換算すると50万円の価値が減少するということになります。

 

言い換えると、帳簿上の建物は1年分の費用分が毎年削られていき、残ってる資産はまだ費用処理してない部分ということです。

これは会計上の扱いなので、同じ築20年が経過した建物でもきれいなものがあれば、ボロボロの建物もあります。

見た目で価値の減少をはかるのは難しいので、便宜的に法定耐用年数を使って計上するわけです。

 

減価償却と自己金融効果

自宅を自己所有していると分かりにくいかもしれませんが、投資をする人は投資と消費との違いを理解しておくとよいでしょう。

特に不動産投資では、借入金を活用して物件を購入するので、キャッシュフローを見るだけでは不十分です。

 

減価償却費の話をもう少し掘り下げて説明してみます。

例えば、ここに400万円があって100万円のタクシーを4台購入したとします。

1台のタクシーを4年間使用するので、1年間の減価償却費は1台当たり100万円÷4年間で25万円です。

1台のタクシーが1年間で稼ぐのは25万円と仮定します。

そうすると、収入は4台で年間100万円稼ぐことになります。

一方で、減価償却費も1台25万円なので1年間の費用は合計で100万円です。分かりやすくするためにガソリンとか人件費は無視しています。

 

利益というのは、収入から費用を引いたものですから、100万円-100万円で利益は0です。

ところが、手元には100万円が残っています。

現金の売上が100万円だからです。

最初に投資したものが減価償却の手続きを通して現金として残ることになります。これが自己金融効果です。

 

この100万円を使ってもう1台のタクシーを購入すると、2年目は1台25万円の収入ですから125万円を稼げます。

費用も125万円ですから125万-125万円で利益は0円ですが、125万円は手元に残ります。

2年目が終了した時点では、現金が125万円です。

 

クルマで費用処理していない分の残額は、{100万円-(25万円×2年分)}×4台+100万円-25万円の275万円になります。

つまり、帳簿上の資産は、275万円のクルマと125万円の現金の合計400万円があることになります。

 

資産の価額は帳簿上は変わっていませんが、クルマは5台になっています。

このまま3年目も1台購入すれば、タクシーは6台になりますが、帳簿上の価額は400万円で変わりません。

 

ただし、固定資産の全部を減価償却して配分し終わったとすると、収入の全てが利益となるので全部が課税対象になってしまいます。

このため不動産投資をする人は、物件を探し続けるなり、建て替えをするなりすることになります。

 

償却資産の法定耐用年数

建物や建物に付属する設備は年月とともに劣化していきますが、経年劣化していく資産を減価償却資産といいます。

土地の場合は、100年経っても使用できますので、土地に減価償却は行わず、建物や車などを減価償却費として処理します。

 

投資したアパートやマンション、会社の固定資産は、使う期間に応じた減価償却を行います。

使う期間のことを耐用年数といい、固定資産の耐用年数は、法律上決められています。

 

主な減価償却資産の耐用年数(建物・建物附属設備)

主な減価償却資産の耐用年数は以下の通りとなっています。

構造・用途 細   目 耐用
年数
木造・合成樹脂造のもの 事務所用のもの
店舗用・住宅用のもの
飲食店用のもの
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの
公衆浴場用のもの
工場用・倉庫用のもの(一般用)
24
22
20
17
12
15
木骨モルタル造の
もの
事務所用のもの
店舗用・住宅用のもの
飲食店用のもの
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの
公衆浴場用のもの
工場用・倉庫用のもの(一般用)
22
20
19
15
11
14
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの 事務所用のもの
住宅用のもの
飲食店用のもの
50
47
34
れんが造・石造・ブロック造のもの 事務所用のもの
店舗用・住宅用・飲食店用のもの
旅館用・ホテル用・病院用のもの
車庫用のもの
公衆浴場用のもの
工場用・倉庫用のもの(一般用)
41
38
36
34
30
34

 

横浜市のサイト http://www.city.yokohama.lg.jp/zaisei/citytax/shizei/pdf/beppyou1-0all.pdf

PDFになります。

 

減価償却の計算

不動産の土地は減価償却できませんが、建物は減価償却の対象になります。

1年間の減価償却費は、取得価額に減価償却資産の償却率を乗じて計算します。

減価償却費=取得価額✕減価償却資産の償却率

1年の途中で取得したときは、1年分の減価償却費を月割します。

 

中古の場合は、法定耐用年数を全部経過してれば耐用年数の20%、一部であれば法定耐用年数から経過年数を控除し、経過年数の20%を加えた年数にできます。

・法定耐用年数の全て経過→その法定耐用年数の20パーセントに相当する年数

・法定耐用年数の一部を経過→その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数+経過年数の20パーセントに相当する年数

例:法定耐用年数22年、経過10年

(22年−10年)+10年✕20%

1年未満切り捨て、2年未満は2年

 

減価償却資産の償却率等表は、減価償却資産の償却率と検索すれば国税庁の一覧表が表示されます。

 

例:鉄筋コンクリートのマンション(居住用47年)4億円

4億円✕0.022(定額法償却率)=880万円

 

おわりに

投資は仕組みをうまく活用することが大切です。

減価償却って確かにわかりづらいですが、知っておくと仕組みをうまく利用できます。

  • この記事を書いた人

侍従川

横浜で不動産仲介業とァイナンシャルプランナーをしています。

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不動産だけでなく、ライフプランの相談にも対応してます。

担当:不動産、ライフスタイル、投資、雑用

追加:写真、資格、名所めぐり

資格:宅建士、管業、簿記1級、1級FP技能士、貸金、社労士、高所作業車

有酸素運動で脳を活性化させて予備試験に挑戦してます。

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