空き家対策としての民泊活用|メリット・注意点・法律を宅建士が解説

差し押さえ ファイナンシャルプランナー

不動産市場では、人口減少によって空き家が増加しています。

現在は、日本社会全体で高齢化が起きていて、親が亡くなって実家の家を相続する人も増えています。

相続した家をとりあえず所有しているだけだと、建物は劣化するので維持が大変です。

また、維持してるだけでも、固定資産税や修繕費、マンションであれば管理費・修繕積立金がかかります。

そこで注目されているのが民泊としての活用です。

 

この記事から分かること

  • 全国の空き家数の最新状況と、増加が続いている背景
  • 空き家を民泊として活用する際に使える3つの法律の違い
  • 民泊にすることで得られるメリット
  • 始める前に必ず確認すべき注意点(消防設備・管理業務委託・近隣対応など)
  • 民泊活用が難しい場合の代替案

 

空き家の現状

総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家総件数は2018年の849万戸から2023年時点で900万戸となり、過去最多を更新しました。

総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)も13.8%と過去最高を記録しています。

 

賃貸・売却用や別荘などの二次的住宅を除いた、いわゆる「使い道が定まっていない空き家」も2023年時点で385万戸となり、2018年の349万戸から37万戸増加しています。

この「使い道が定まっていない空き家」の増加が、空き家問題全体の増加分の大部分を占めています。

 

このように空き家が増え続ける一方で、民泊の活用によって収益化・地域の宿泊需要への対応を図る動きも広がっています。

 

空き家を民泊にする3つの法的枠組み

空き家を民泊として活用する場合、主に3つの制度のいずれかを選ぶことになります。

日本で宿泊料を受けて人を宿泊させる事業を合法に営むための制度は、大きく分けて旅館業法と住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)の2つの枠組みがあります。

これに加えて、国家戦略特区の制度を使う「特区民泊」があります。 

 

制度 根拠法 営業日数の制限 主な特徴
住宅宿泊事業法(民泊新法) 住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号) 年間180日以内 届出制で始めやすいが、営業日数に上限がある
旅館業法(簡易宿所営業) 旅館業法 制限なし 都道府県知事等の許可制。営業日数の制限はないが基準が厳しい
特区民泊 国家戦略特別区域法 制限なし(最低宿泊日数の定めあり) 対象区域限定。認定を受ければ日数制限なく営業可能

それぞれ営業日数や用途地域、消防設備の設置基準が異なるため、事前の確認が必要です。

空き家の立地や活用目的によって、どの制度が適しているかが変わります。

 

空き家を民泊にするメリット

  • 収益化できる:使われていない空き家から家賃収入以外の収益を得られる
  • 管理不全空き家化の予防:人の出入りがあることで、放置による老朽化・特定空家化のリスクを下げられる
  • 地域の宿泊需要への対応:観光地やイベント時期の宿泊施設不足に応える受け皿になる
  • 売却より柔軟な選択肢:すぐに手放したくない実家などを、収益を生みながら保有し続けられる

 

民泊を始める前に確認すべき注意点

1. 消防設備の整備が必須

民泊として住宅を使用する場合、一般的な住宅よりも厳しい消防基準が適用されます。

届出の際には、管轄の消防署による検査をクリアした「消防法令適合通知書」の添付が必要です。

自動火災報知設備や誘導灯の設置には相応の工事費用がかかるため、リノベーションで民泊施設をつくる際は、設計段階で消防設備の導入を組み込んでおかないと、後から追加工事で多額のコストが発生するリスクがあります。

 

2. 「住宅」として認められる設備要件

民泊新法が定義する「住宅」に該当させるためには、室内にキッチン・浴室(シャワー可)・トイレ・洗面設備の4つが独立して備わっている必要があり、宿泊者1人あたり3.3平米以上の床面積の確保も必須です。

古い空き家の間取りのままでは要件を満たさないケースも多く、事前確認が欠かせません。

 

3. 家主不在型の場合は管理業者への委託が義務

自宅を離れて運営する「家主不在型」の民泊では、国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者への業務委託が法律で義務付けられています。

管理手数料は売上の15〜25%程度が目安となるため、事業計画にあらかじめ織り込んでおく必要があります。

 

4. マンションの場合は管理規約の確認が必須

区分所有のマンションを民泊にする場合、管理規約で民泊が禁止・制限されているケースが少なくありません。というより禁止しているマンションがほとんどです。

管理組合の合意形成が必要になることもあるため、着手前に必ず規約と総会決議の内容を確認してください。

 

5. 近隣トラブルへの備え

騒音・ゴミ出し・不特定多数の出入りへの不安など、近隣住民とのトラブルは民泊運営で最も多い相談の一つです。

運営ルールの明示、緊急連絡先の周知、管理業者による巡回体制の整備など、着手前の対策が重要です。

 

6. 法改正の動向を継続的に確認する

2025年には改正旅館業法が施行され、民泊を含む宿泊事業の衛生・管理体制への規制が強化される傾向にあります。

2026年は民泊を増やす方向ではなく、これまで広がってきた民泊をルールに沿って整理していく方向性の法改正が想定されています。

現時点で運営中・検討中の場合も、制度変更を継続的にチェックする必要があります。

 

7. 自治体独自の条例を確認する

国の法律に加え、自治体によっては『住宅地域での平日営業禁止』など独自の規制を設けている場合があります。

必ず事業実施地域の条例をご確認ください。

 

民泊活用が難しい場合の代替案

以下のようなケースでは、無理に民泊化を進めず、他の選択肢を検討したほうがよい場合があります。

  • マンション管理規約で民泊が禁止されている
  • 消防設備の投資額に対して見込める収益が小さい
  • 立地的に宿泊需要が見込みにくい

 

民泊運用が難しい空き家は、特定空家に指定される前に早期売却を検討するのも一つの方法です。

特定空家に指定されると固定資産税の住宅用地特例が外れ、税負担が大きく増える可能性があるため、活用と売却を比較検討したうえで判断することをおすすめします。

 

まとめ

  • 全国の空き家は900万戸・空き家率13.8%で過去最多を更新している
  • 空き家の民泊活用には住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の3つの制度があり、それぞれ営業日数や基準が異なる
  • 消防設備・設備要件・管理業者への委託義務など、始める前に確認すべき事項が多い
  • マンションの場合は管理規約の確認が必須
  • 収益性や規約の制約から民泊が難しい場合は、早期売却も選択肢の一つ

 

 

監修:宅地建物取引士・マンション管理士 水内隆弘(株式会社ライフプラン)

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事業計画や法的判断を推奨するものではありません。民泊事業の開始にあたっては、必ず管轄の保健所・消防署・自治体窓口、専門家にご確認のうえ進めてください。

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