5年ごとに総務省から「住宅・土地統計調査」が公表されています。
この調査では日本の住宅の居住状況や土地等の実態を調査して公表しているので、日本の不動産市場の問題が分かります。
これによれば空室の数は毎年増加し続けており、完全に供給過多の状態が続いています。
日本では、平成25年に総人口に占める高齢率が25%を超えており、2010年頃からは人口数も減少に転じています。
ところが住宅の数は右肩上がりで現在も増加しているため、人口減少と重なって空き家の数は拡大しています。
この記事から分かること
- 「空き家データ」と「空室率」、性質の異なる2つの統計の違い
- 住宅ストック全体の最新動向(令和5年住宅・土地統計調査)
- アパート経営における空室率の実態
- ワンルームマンション・アパート投資でよくある失敗パターンと見極めポイント
「空き家」と「空室率」は別の統計
不動産投資のリスクを考えるとき、「空き家が増えている」という話と「空室率が高い」という話が混同されがちですが、これらは調査主体・調査方法が異なる別の統計です。
| 空き家データ | 空室率 | |
| 調査主体 | 総務省(住宅・土地統計調査) | 不動産業界団体・民間調査機関 |
| 調査頻度 | 5年に一度 | 調査機関により随時 |
| 何を示すか | ある時点で「居住世帯のいない住宅」がどれだけあるか(ストック調査) | 賃貸募集中の物件のうち、埋まっていない割合(稼働率の指標) |
| 投資判断での使い方 | 住宅市場全体のマクロ環境を把握する | 個別エリア・物件種別の稼働実態を把握する |
この違いを踏まえたうえで、それぞれの最新データを見ていきます。
マクロ環境:住宅ストックは過去最多

総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、2023年10月1日時点の全国の総住宅数は6,502万戸で、2018年から4.2%(261万戸)の増加となり、過去最多を更新しました。
人口が減少する一方で住宅の供給は増え続けており、需給バランスが崩れやすい構造になっています。
空き家の内訳を見ると、共同住宅(マンション・アパート)の空き家が502万9千戸と、空き家全体の55.9%を占めており、そのうち約8割が賃貸用の空き家です。
これはあくまで一時点のストック調査であり、稼働率(空室率)そのものではありませんが、賃貸市場に供給過多の傾向があることを示す背景データとして参考になります。
アパート経営の空室率
空室率は、賃貸経営・不動産投資の実務でより直接的に使われる指標です。
築年数が経過した木造・軽量鉄骨造のアパートは、マンションと比べて空室になりやすい傾向があります。
過去の調査では、東京都のアパート空室率が約28%、大阪府でも約27%程度という水準が示されたことがあり、マンション(同時期で東京都約9%、大阪府約8%)と比べて大きな差がついています。
築年数が古く、立地条件が良くないアパートほどこの傾向が強くなる点は、投資判断において見過ごせないポイントです。
ワンルームマンション投資でよくある失敗パターン

不動産会社に勧められたのをきっかけにワンルームマンション投資を始めた人の中には、思うようにいかず途中で売却して後悔するケースも少なくありません。
ワンルームマンションは、他の物件との差別化が難しく、立地が悪いと空室が長期化しやすいという特徴があります。
空室期間は家賃収入がゼロになる一方で、ローン返済・管理費・修繕積立金といった支出は変わらず発生し続けます。
保有期間中の収支がほぼゼロかマイナスで推移するケースも珍しくなく、不動産会社からは「ローン完済後には資産(物件)が残る」と説明されることが多いですが、その資産価値も立地次第で大きく変わります。
区分所有マンションは、一戸建てと違って他の所有者との合意形成が必要になるため、将来の建て替えやリノベーションの自由度が限られる点にも注意が必要です。
立地の見極めが結果を分ける

実際に、神奈川県内で建てられた新築アパートの中には、募集開始から1年が経っても3割程度しか部屋が埋まらなかった物件がありました。
新築であっても、立地条件が伴わなければ入居が進まないことを示す典型的な例です。
こうした物件は空室期間が長引くほどキャッシュフローのマイナスが積み重なっていくため、早い段階で状況を見直す判断が必要になる場合もあります。
立地を見極めるためのチェックポイント
- 最寄り駅からの距離、周辺の生活利便施設の充実度
- 周辺エリアの人口動態(増加傾向か、減少傾向か)
- 近隣の同種物件の空室状況・賃料水準
- 将来的な再開発・大規模施設の撤退予定の有無
まとめ
- 「空き家データ」は住宅ストック全体のマクロ環境、「空室率」は個別エリア・物件の稼働実態を示す、性質の異なる統計
- 全国の総住宅数は6,502万戸で過去最多を更新し、供給過多になりやすい構造が続いている
- 古い木造・軽量鉄骨アパートは空室率が高くなる傾向がある
- ワンルームマンション投資は差別化が難しく、立地次第で収支が悪化しやすい
- 新築であっても立地が伴わなければ入居は進まず、早めの状況判断が重要になる場合がある
参考 総務省 住宅・土地統計調査
監修:株式会社ライフプラン
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。不動産投資の判断にあたっては、個別の物件・エリアの状況を踏まえ、ご自身の責任において専門家にご相談のうえ行ってください。

