確定拠出年金と確定給付企業年金は、どちらも老後資金のための制度です。
iDeCo(イデコ)導入で対象者が広くなりましたが、確定拠出年金は以前は全ての人が対象ではありませんでした。
以前は、確定給付企業年金がない人が確定拠出年金を利用するといった性格が強かったのですが、今は時代の流れか確定拠出年金がトレンドです。
何より確定拠出年金の導入で企業にとっての運用リスクが緩和されます。
その分、従業員のリスクが増えますが、どちらにとっても導入するメリットはあります。
確定拠出年金と確定給付企業年金の違い
確定拠出年金と確定給付企業年とでは何だか名前が似てますね。
確定拠出年金は平成13年に法律が成立しており、確定給付企業年金も翌年に成立しているので、確定拠出年金も確定給付企業年金も似たような時期に開始されていることになります。
では、確定拠出年金と確定給付年金の最大の違いは何でしょうか。
それは、従業員が運用をするかしないか、ひいては年金の給付額が約束されてるか約束されてないかの違いです。
確定給付では、受け取る年金額が最初から約束されてますが、確定拠出では運用した結果で受け取る年金額が変化します。
確定拠出年金では、運用した結果が年金額となるので、従業員の運用がうまくいけば年金額は増額され、運用がうまくいかなければ年金額がたいして増えないということを意味します。
また、確定給付年金の場合は受け取る年金額が決まっているため、運用がうまくいってもいかなくても従業員側にとっては関係ありません。
確定給付年金において運用がうまくいかなかった場合は、企業が負うことになるからです。
つまり、確定拠出年金のリスクは従業員が負い、確定給付年金のリスクは企業が負うことになります。
確定拠出年金を導入する場合は従業員に向けた投資教育が必要となります。
運用成績による企業のメリット
上述したように確定給付年金では企業が運用リスクを負います。
現在、もっとも多く利用されているのは確定給付企業年金です。
生命保険と一緒で事前に予定利率を予測し、運用成績がよければ企業の掛け金は少なくて済みますが、低金利や市場不振だと運用成績もなかなかうまくいかず低迷しやすいため、今のような低金利の時代には企業の負担が大きいといえます。
以前、運用がうまくいかなかった厚生年金基金の代行割れが問題になりましたが、企業にとっては負担なのかもしれません。
長引く低金利や株式市場低迷の影響で確定拠出年金の導入を考えている企業が増えています。
最近は、株式市場も活況しておりますが、株式市場は好況、不況を繰り返すのが常です。
将来に備えて企業が確定拠出年金を導入したいと思うのは当然のことかもしれません。
確定拠出年金であれば、企業は掛け金を負担するだけで後の運用は従業員個人が行いますから、運用成績がよくなって老後資金が増えるかどうかは従業員次第ということです。
従業員にとっても、税制のメリットがありますし、選べる商品も初心者向きのものが多いです。
企業型と個人型
確定拠出年金には、掛け金を企業が出す企業型と個人が負担する個人型とがあります。
企業型では、企業が個人の口座にお金を出してくれますが、それを運用するのは個人である従業員です。
個人型は、加入者が掛け金を拠出して、自ら運用を行い、運用結果を60歳以降に年金として受け取れます。
個人型では自分の年金と自覚している人が多いのですが、企業型では自分で掛け金を出していないので、自分の年金という自覚がない人が多いです。
企業型と個人型の差はあっても、どちらも運用するのは自分です。
今後は、運用の上手い下手が老後生活に影響を及ぼすことになりそうです。
まとめ
確定給付企業年金と確定拠出年金(企業型)のそれぞれの違いについて
確定給付企業年金 | 確定拠出年金 | |
年金給付額 | 事前に決まる | 運用次第で増減する |
掛け金の拠出額 | 給付額から逆算して計算する | 逆算することなく設定する |
運用するもの | 企業が運用する | 加入者が自分で運用する |
受給権 | 企業による | 勤続3年以上で全額付与 1か月以上3年未満で脱退一時金の例あり(※1) |
掛け金の拠出 | 企業 | 企業 |
ポータビリティ(※2) | なし | あり |
※1 企業型の場合のみ
※2 ポータビリティとは、転職した場合に口座を移せるかをいう(企業型から企業型、個人型)
個人型
・給付は自分の運用結果次第
・掛け金は上限内で自分で決める
・運用は自分で行う
・掛け金は自分で拠出する