不動産を購入する際、ほとんどのお客様は住宅ローンを利用しています。
本来、不動産取引と住宅ローンについては別の件ですが、ほとんどのお客様は住宅ローンを利用して不動産を購入するので、通常はセットで考えられています。
実際の購入では、お客さんがスムーズに住宅ローンが借りられるように不動産会社がサポートをします。
当社は住宅ローンの手続き業務を無料で行っていますが、中には手数料として10万円以上かかる業者もいます。
ローン手続きも含めて仲介手数料に含まれるといった過去の裁判例もありますが、実際は別途有料でやっている不動産業者は多いです。
さて、今回は、数ある住宅ローンの中でも「フラット35」を取り上げます。
かつては審査に時間がかかり金利も高めでしたが、現在は使いやすい制度になっています。
民間ローンが借りにくい自営業の方でも、フラット35なら組める場合があります。
この記事から分かること
- フラット35の仕組み(証券化と全期間固定)
- 自営業・勤続年数が短くても通りやすい理由
- 利用要件(2026年4月からの限度額引き上げなど)
- 「借りやすさ」の裏にあるリスクと、ライフプランの重要性
フラット35とは|証券化による全期間固定ローン

フラット35は、住宅ローンの一つで、住宅金融支援機構が住宅ローンを証券化して投資家へと証券を発行することに特徴がある長期固定型の住宅ローンです。
フラット35の仕組みは、まず住宅ローンの利用者は金融機関へフラット35の利用を申込み、金融機関は住宅ローンの債権を住宅金融支援機構へ売却します。
債権の証券化でリスクは投資家へ移転し、これにより長期の固定金利が可能となるということです。
自営業・勤続年数が短くても通りやすい
民間の住宅ローンでは、借り入れる人の職業や勤続年数が審査されますが、借りる人の勤続年数が1年未満ではなかなか審査が通りません。
その点、フラット35であれば、民間の住宅ローンとは審査基準が異なるので、勤続年数が1年未満でも審査に通ることがあります。
また、民間の住宅ローンだと、自営業者や派遣契約に対する審査が厳しく、所得が多くても審査落ちという事が珍しくありませんが、フラット35であれば審査基準が異なるので通りやすいです。
以前、「フリーター家を買う」というドラマがありましたが、ドラマのように働いて収入があれば、家を買うことは可能です。
ちなみにローンを利用しないのであれば、無職でも家を買うことができます(全額現金)。
フラット35を利用するにあたっての要件
フラット35を利用する際は、借入者や物件に対して要件があります。
フラット35の要件
- 申込時の年齢が70歳未満(親子リレー返済なら70歳以上も可)
- 日本国籍、または永住許可・特別永住者であること
- 返済負担率が基準以下(年収400万円未満は30%、400万円以上は35%)
- 返済期間が15年以上
- 借入額は100万円以上(上限は下記参照)
- 機構を第1順位とする抵当権を設定できること
- 床面積が一戸建て70㎡以上・マンション30㎡以上
- 機構の技術基準に適合し、適合証明書を取得できること
2026年4月から融資限度額が引き上げ
フラット35の融資限度額は、長らく8,000万円でしたが、2026年4月の融資分から1億2,000万円に引き上げられました。
2005年以来、約20年ぶりの改定です。これは、住宅価格の高騰を背景とした見直しです。
フラット35を利用する際に注意するポイント

フラット35には、他の金融機関の住宅ローンとは異なる特徴があります。
融資率で金利が変わる
例えば、フラット35の住宅ローンは、物件価格に対する融資額の割合が9割以上か9割未満かによって金利が異なります。
金額が大きいので0.3%でも金利が違うと総負担額に差が出ます。
金利引き下げメニュー
省エネ性能などの条件を満たすと、フラット35Sや子育てプラスなどで金利が一定期間引き下げられます。
団信が任意
一般の金融機関では、住宅ローンの利用の際は、債務者(お金を借りて返す人)が亡くなった場合に備えて団体信用生命保険(以下団信)に加入します。
団信に加入していれば、債務者が死亡した場合でも保険金で残りの借金を返済するので、金融機関は借金を回収することができ、遺族はそのまま住宅に住むことができます。
しかし、フラット35では、この団体信用生命保険への加入が任意です。
適合証明書が必要
フラット35では、融資の対象となる住宅が住宅金融支援機構の定める基準に適合していることが必要で、適合証明書が必要となります。
他にも、一位の抵当権を設定できること、床面積が一戸建てなら70㎡以上、マンションなら30㎡以上あるといった条件も満たす必要があります。
省エネ基準が義務化
2025年4月から、新築住宅には省エネ基準への適合が原則義務づけられました。
フラット35を利用する物件でも、省エネ性能がこれまで以上に重要になっています。
「借りやすさ」の裏にあるリスク

ここが最も大切なポイントです。
近年、金利は上昇傾向にありますが、フラット35は変動金利より借りやすい面があります。
これは、変動金利がリスクを見込んで高めの「審査金利」で審査されるのに対し、フラット35は実際の金利ベースで審査されるためです。
つまり、フラット35は「借りやすい」からこそ、上限まで借りると返済が重くなりやすい、という側面があります。
借りられる額と、無理なく返せる額は別物です。
だからこそ、フラット35を使うときは、変動金利以上にライフプランをしっかり立てることが重要になります。
審査金利と実質金利は別物
- 実質金利(実際に払う金利)… 変動金利のほうが低いことが多い
- 審査金利(審査に使う金利)… 変動金利のほうが高く設定される
- → 同じ年収でも、フラット35のほうが大きく借りられる傾向にある。
重要なのは「返せる金額」で借りること
不動産の購入では、つい物件が先に立ち、住宅ローンの検証が後回しになりがちです。
しかし、返済期間中に子どもの教育費のピークが重なる人は多く、借入可能な上限まで借りると、将来の家計に大きな影響を与えることがあります。
フラット35は借りやすいのがメリットですが、裏を返せば、無理をすれば将来のリスクを抱え込みやすい商品ともいえます。
不動産会社との付き合いは引き渡しで終わりますが、住宅ローンは借りたときから始まります。
借入前に、教育資金や老後資金とのキャッシュフローのバランスを確認しておくことが大切です。
キャッシュフローがマイナスになると、貯蓄を取り崩すことになるからです。
まとめ
- フラット35は証券化による全期間固定ローン
- 自営業や勤続年数が短くても通りやすい
- 2026年4月から融資限度額が1億2,000万円に引き上げ
- 団信は任意、適合証明書が必要、省エネ性能も重要
- 借りやすいからこそ、無理のない借入とライフプランが重要
フラット35は借り入れしやすいのがメリットですが、裏を返せば将来のリスクが高い商品といえます。
不動産会社とは引き渡しが終わったら関係が終了しますが、ローンは借り入れたときから付き合いが始まります。
住宅ローンの借入前に教育資金や老後資金とのキャッシュフローのバランスを見ておくことが重要です。キャッシュフローがマイナスだと貯蓄から取り崩す必要があるからです。

