冬にストーブや暖房を使っていると、気づくと窓やサッシ、クロスに水滴が付いていることがあります。
ストーブによって室内の空気が温められて膨張すると、水蒸気を含んだ暖かい空気が部屋を循環します。
水蒸気を含んだ空気は、今度は窓や外壁で冷やされ、飽和水蒸気量を超える余分な水蒸気が水滴となって窓やサッシを濡らします。
この窓やサッシに付いた水滴が結露です。
結露を発生したまま放置すると、クロスにカビが発生したり、木材が腐ってしまうことがあります。
発生したカビが人体に悪影響を及ぼすこともあるので、結露は私たちの生活にはよくありません。
賃借人が結露が発生しているのにもかかわらず、これを放置したことが原因でカビが発生した場合は、修理費用を請求される可能性もあるので部屋を借りてる人も注意が必要です。
この記事から分かること
- 石油ストーブ・ガスストーブで結露が起きやすい本当の理由(燃焼による水蒸気)
- 結露を放置してできたカビ・シミは、原状回復費用として借主負担になり得ること
- 換気・暖房器具の選び方・二重サッシなど、効果的な結露対策
なぜストーブを使うと結露しやすいのか?水蒸気が発生する仕組み
結露は、水蒸気を含んだ暖かい空気が窓や外壁などの冷たい部分に触れて冷やされ、飽和水蒸気量を超えた余分な水蒸気が水滴に変わることで発生します。
ここで押さえておきたいのが、なぜ「ストーブ」を使うと特に結露しやすいのかという点です。
石油ストーブやガスストーブのような開放型(非密閉型)の暖房器具は、燃焼させる際に灯油やガスとほぼ同量の水蒸気を室内に直接放出します。
目安として、灯油1Lを燃焼させると約1.1L、プロパンガスでは約1.6Lの水分が発生するといわれています。
つまり単に部屋が暖まるからではなく、燃焼そのものが室内の湿度を押し上げる水蒸気の発生源になっているのがストーブ特有の問題です。
一方、エアコンや電気ストーブ、FF式・密閉型の暖房器具は燃焼ガスを室内に排出しないため、同じ暖房でも結露の起こりやすさは大きく異なります。
原状回復をめぐるトラブルとガイドラインの扱い

冬にストーブを入れたことがある人ならお分かりだと思いますが、結露は住んでいると日常的に起こります。
普通に生活していれば起こる結露ですが、この結果できたカビが原因で原状回復をめぐるトラブルに発展することもあります。
原状回復は、元の状態に戻すという意味ですが、不動産の賃貸借では何でもかんでも入居した時の状態に戻すという意味で使われてません。
判例や学説では、通常の使用によって損耗したのであれば、契約時の状態より悪くなったとしても賃借人の負担にならないとしています。
賃貸借における原状回復(ガイドライン)の定義
原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること
また、ガイドラインでは、建物の損耗については、自然に劣化する「経年劣化」、通常の使用によって生ずる「通常損耗」、賃借人の故意や過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような「故意・過失、善管注意義務違反等による損耗」とに分け、賃借人は「故意・過失、善管注意義務違反等による損耗等」だけ負担すればいいとしています。
以上のことから、普通に生活していて発生した結露によってカビやシミについては、原則的には賃借人は負担しなくてよいことになります。
ただし、賃借人が結露を放置して発生したカビやシミについては故意・過失、善管注意義務違反にあたり、その場合は賃借人負担となる可能性があります。
結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ(ガイドラインより)
結露は建物の構造上の問題であることが多いが、賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる
結露は目に見える場所(表面結露)だけではなく、床下や壁の内部にも起こります(内部結露)。こちらの場合は施工が原因であることが多いです。
有効な結露対策

結露対策に有効といわれる方法をいくつか紹介します。
暖房器具を見直す
前述のとおり、石油ストーブやガスストーブなどの開放型暖房器具は、燃焼によって室内に直接水蒸気を放出します。
結露が気になる場合は、燃焼ガスを室内に排出しないエアコンや電気ストーブ、FF式・密閉型のストーブに切り替えるのが、実は最も効果的な対策の一つです。
石油ストーブ・ガスストーブを使い続けたい場合は、こまめな換気を特に意識する必要があります。
換気
誰でも簡単にできる対策が換気です。
暖められて膨張した水蒸気を含んだ空気が発生しても、窓を開けて外に出せば水滴の原因がなくなるので、換気は有効な結露対策です。
床暖房、こたつを使う
床暖房やこたつは電気で動作し、燃焼を伴わないため、開放型のストーブのように水蒸気を室内に放出しません。
また、物体から物体へ直接的に熱を伝える(輻射)ため、部屋全体の空気を大きく暖めずに済むのも特徴です。
燃焼由来の水蒸気が発生しないという点で、結露対策として有効な暖房方法といえます。
二重サッシの部屋を選ぶ
窓サッシを二重にすると、熱貫流率(小さいほど断熱性能が高い)が小さくなるので、断熱性が高まります。
断熱性が高まるということは、熱の損失を少なくできるので結露の発生を抑えることができます。
また、複層ガラスや新築戸建て等で見かけるLow-eガラスも結露対策として有効です。
Low-eガラスは、ガラス面に特殊な金属膜をコーティングしたガラスのことです。賃貸物件ではあまりないかもしれませんが、持ち家の人にはリフォームで人気です。
室内にコーティングすると断熱性能が増し、外側にコーティングすると日射の遮熱性能が増します。
まとめ
結露を予防する簡単な方法は、やはり換気です。
換気をして新鮮な空気と入れかえれば、結露の発生原因である空気中の水蒸気を除去できますし、部屋のウィルスやダニ、ハウスダストを外に出すこともできます。健康のためにも換気は大切です。
賃貸物件で石油ストーブやガスストーブを使う場合は、燃焼によって室内に水蒸気が発生しやすいことを理解したうえで、こまめな換気を心がけましょう。
結露を放置してカビやシミが拡大すると、退去時に原状回復費用を請求される可能性もあります。

