国民年金制度

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国民年金は国民のすべてが対象の制度

投稿日:2020年6月15日 更新日:

制度が複雑なせいか、いろいろと誤解も多い公的年金制度ですが、特に若い世代に誤解されていることが多いです。

 

国の年金制度には、国民年金と厚生年金があります。

日本は国民皆年金なので、必ず年金制度に加入するわけですが、その必ず加入する年金が国民年金になります。

厚生年金や共済組合といった制度の方は、国民年金の上乗せ制度として会社員や公務員が対象になります。

国民年金の部分については全ての人が対象になので、基本的なことくらいは知っておいた方がいいでしょう。

国民年金はすべての国民に共通する基礎年金

ネットやニュースの書き込みには、「私は厚生年金に入ってるから国民年金は関係ない」とか「専業主婦だから年金がない」といった声を聞きます。

しかし、実際は厚生年金の被保険者も専業主婦も国民年金の被保険者です。

 

昭和61年4月から基礎年金制を導入したので、この時から国民は一部を除いて原則として国民年金の被保険者になります。

厚生年金が年金制度の二階部分といわれるのは、厚生年金が国民年金に上乗せして支給されるからです。

国民年金は全ての人が対象で、厚生年金は会社員が対象となるので、会社員だと国民年金と厚生年金の2つ(老齢年金・老齢厚生年金)を受け取れることになります。

 

国民年金の目的に「国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基づき、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする(国民年金法第1条)。」というものがあります。

上記目的を達成するために、国民年金制度には老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金といった年金があります。

よく知られているのは老後に受け取る老齢基礎年金です。

 

国民年金は政府が保険者ですが、多くの事務が年金事務所に委託されています。

年金についての相談や質問は年金事務所(市町村)に聞くと教えてくれます。

 

国民年金の被保険者は大きく3種類

国民年金の被保険者には、原則として第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類があります。他にも任意加入被保険者といったものもあります。

なお、国民年金の被保険者には国籍は問われません。

 

自営業者や無職は第1号被保険者

第1号被保険者は、主に自営業者や無職、20歳以上の学生が対象です。

日本に住所がある20歳以上60歳未満の人で、第2号被保険者や第3号被保険者のどちらにも該当しない人です。

第1号被保険者の要件

日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、第2号被保険者及び第3号被保険者のいずれにも該当しない者(ただし、被用者年金各法に基づく老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができる者は除く)。

 

会社員は第2号被保険者

第2号被保険者は、厚生年金の適用事業所で働く会社員、公務員などが対象です。

ただし、65歳以上の被保険者又は組合員等で、老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金などの受給権を有している人はなりません。

 

専業主婦・主夫は第3号被保険者

第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者であって、主として第2号被保険者の収入によって生計を維持されている20歳以上60歳未満の人です。

なお、第1号被保険者と異なり、第3号被保険者は日本国内に住所があるかどうかは問われません(外国に住んでる人も対象)。

 

任意加入被保険者

国民年金では任意に加入することによって、年金の受給権を有しない人が受給権を取得したり、年金額の増額を目指せます。

次の人は申出ることで被保険者となれる

  • 日本国内に住所が有る20歳以上60歳未満の者で、被用者年金各法に基づく老齢給付等を受けることができる者
  • 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者
  • 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の者

 

任意加入被保険者の特例

昭和40年4月1日以前に生まれた人のうち、一定の要件を満たすものは特例任意加入被保険者となれます。

 

国民年金の給付の種類

国民年金には、全国民共通の年金給付として老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金があります。

この老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の3つが基本となる年金になります。

また、法附則による、老齢年金、特別一時金、脱退一時金といったものがあります。

第1号被保険者だけを対象にした独自給付には、付加年金、寡婦年金、死亡一時金といったものがあります。特に付加年金は400円負担すると年金が200円増えるので、タイミング次第で利用を考えていいと思います。

 

老齢基礎年金

老齢基礎年金は、支給要件を満たした場合に65歳から支給される年金です。

年金額は、20歳から60歳までの40年間のすべての保険料を納付した人であれば、満額で約80万円が毎年受け取れます。

約なのは金額が物価変動や賃金変動によって改定されるからです。

 

障害基礎年金

障害基礎年金は、障害等級の1級又は2級に該当した場合に支給されます。

障害基礎年金を受けるためには、初診日に被保険者かどうか等の支給要件と保険料の納付要件を満たす必要があります。

障害基礎年金の額は、2級であれば78万900円×改定率ですが、1級だと2級の年金額に100分の125を乗じたものとなります。また、子がいる場合はさらに加算額があります。

 

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であった一定の人が死亡した場合に遺族に支給される年金です。

遺族基礎年金は養育費的な側面があるので、必ず子がいることが条件となっています。

年金額は78万900円×改定率で、子の数によってさらに加算があります。

 

第1号被保険者独自の給付

以下、第1号被保険者の独自給付についてです。

 

●付加年金

付加年金は、毎月400円を国民年金保険料に上乗せして納付することで将来の年金額が200円となって支給されます。

例えば、付加年金を10年納付した場合は、400円×12月×10年なので4万8千円になります。

これにより将来の年金が、付加年金として200円×12月×10年=2万4千円が増えることになります。

付加年金はその後も支給されるので、2年で名目的な額が取れる計算です。支給される年金は改定されないのでインフレには弱いといえます。

 

●寡婦年金

寡婦年金は、第1号被保険者として保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて10年以上ある夫が死亡したときに、生計を維持していた婚姻期間が10年以上ある妻に支給されます。

寡婦年金は、60歳から65歳まで支給される有期年金です。

寡婦年金の年金額は、夫の老齢基礎年金の4分の3です。

 

●死亡一時金

遺族基礎年金の受給権を得るには支給要件を満たす必要がありますが、遺族基礎年金の支給要件を満たせなければ保険料が掛け捨てになってしまいます。

この保険料の掛け捨てを防止する一時金が死亡一時金です。

死亡一時金は、死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までに、第1号被保険者として36月以上被保険者期間がある場合に遺族に対して支給されます。

死亡一時金は、保険料支払い月数に応じて12万円から32万円の範囲の金額です。

また、付加保険料の納付済期間が3年以上あれば一時金として8,500円が加算されます。

 

●脱退一時金

脱退一時金は短期間滞在する外国人等に支給されます。

これも掛け捨て防止の一時金といえます。

 

国民年金保険料

国民年金の保険料は、前年の保険料に保険料改定率を掛けて算出します。

令和6年は、16,980円です。

 

●国民年金保険料の免除

国民年金は原則強制加入なので、第1号被保険者の人の中には収入が少なくて保険料が支払えない人もいます。

そのような場合は保険料免除といった制度が利用できるかもしれません。

 

保険料免除制度には、法律によって定められた法定免除と申請することで免除される申請免除とがあります。

学生であっても20歳以上であれば国民年金の被保険者になりますが、免除制度を利用することで受給資格期間として扱われます。受給資格期間として扱われますが、年金額には反映されません。

収入が一定未満の人であれば、申請することで保険料が免除される可能性があります。ただし、将来の年金額にも影響するので、その点を理解したうえで利用を検討するのがよいでしょう。

 

老後に不安がある自営業者、専業主婦は?

老後の生活費の7割は年金によって賄われているといわれています。

ライフプランを考えるうえで年金制度の理解はかかせません。

 

年金が少ない人は老後資産を増やすことを考えてみてはいかがでしょう。

今なら税制上の優遇が期待できるiDeCoとNISAが人気です。

どちらも運用は自己責任ですが、うまく運用できれば老後に余裕が生まれます。

特にiDeCoは掛け金全額が所得控除され、運用益に所得税がかからず、年金として受給すれば公的年金等控除が受けられるメリットがあります。

iDeCoのデメリットとしては、手数料がかかり、運用に自己責任が求められること、60歳まで引き出せない(使途が年金)という点です。

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iDeCoとNISAの併用も効果的です。

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