日本は、平成25年に高齢率が25%を超えました。
高齢率というのは、人口に占める高齢者の割合のことをいい、高齢者は65歳以上の人のことをいいます。
今の日本は4人に1人が65歳以上の高齢者ということです。
つまり、年金を受給している人が4人に1人以上いるということになります。
以前、テレビで高齢化が騒がれていましたが、高齢化というのは高齢者が7%以上の場合をいいますから、今の日本はとんでもない高齢社会といえます。
そんな高齢社会の日本ですから、今後は大家さんも高齢者を相手にしないというわけにはいかなくなるでしょう。
事故物件のトラブル
前の入居者が自殺したり、殺人が起きた物件は事故物件と呼ばれます。
不動産業界では、心理的瑕疵物件(しんりてきかしぶっけん)とも呼んでます。
事故物件は、いわくつきの物件として扱われ、お客さんに事故物件を紹介しても、ほとんどのお客さんに嫌がられます。
確かに前の人が自殺した物件や殺人事件の現場に住みたいとは正常な神経の人なら思わないでしょう。
「といっても、世の中には事故物件のツアーがあるそうです。」
「不動産会社の協力を得て一般の人が企画したり、不動産会社自ら企画したりするそうです。」
世の中事故物件だらけ?
これだけ高齢率が上昇してしまっている以上、世の中には毎日どこかで孤独死、自殺は起きているはずです。
特に孤独死は毎日起きているのでニュースになることはありません。
「私が住む町内といった狭い範囲でも孤独死が増えているようで、なぜか見回り当番をやらされることになりました。」
このように高齢者が増えている一方で、出生率は減少しています。
「カナダでは、日本の出生率減少、失われた30年は政治の失敗によるものと授業で教わるそうです。」
いずれにしても高齢社会の日本では、日本全体で見たら孤独死や自殺の数は、かなりの数になるはずです。
孤独死は告知義務なし?
法律上、自殺や殺人が起きた事故物件(心理的瑕疵物件)は、契約前に重要事項説明でお客さんに告知する決まりがあります。
しかし、判例上では孤独死は説明義務はないといわれています。
つまり、不動産の取引では、孤独死は事故物件の扱いにならないということです。
人によっては孤独死は心理的に嫌でしょうが、孤独死があったことについて説明する義務は実務上ありません。
「といっても、孤独死が放置され、腐敗が進んで清掃業者を必要とするレベルでは告知が必要になります。」
一方、自殺や殺人については、告知しなければならないとされています。
しかし、どの期間にまでさかのぼって告知義務が課せられるかは、実は法律では明確な決まりがありません。
いつまでさかのぼって告知義務が発生するかは、弁護士でも意見が分かれています。
事件を知ってたら借りるかどうかが問題になる
事故物件については、契約の前に事件について告知します。
契約の前に重要事項で説明があるかもしれませんが、実際には内見の際に事故物件と告知されます。
どの期間にまでさかのぼって告知しなければいけないかは、もし、借主がその事件について事前に知っていたら、借りたかどうかがポイントとなります。
土地の売買では、過去20年前の事件について告知義務有とされた判決がありますが、これは有名な事件だったからという理由もあります。
弁護士によれば、告知義務についてさかのぼって説明する期間は、賃貸の慣習では2年が一つの目安なんだそうですが、これも決まっているわけではありません。
事故物件は相場より安く借りられる
事故物件は、契約前に事件について告知しなければいけないので、周りの相場と同じ価格では誰も借りてくれません。
一般的な事故物件の募集では、毎月の賃料を相場よりも下げて行われることが多いです。
とはいっても、毎月の賃料を少しばかり下げた程度ではそうそう借り手は見つかりません。
事故物件の募集の中には、相場の半分なんてものもあります。
リフォームをしっかりと行えば、とても事故物件には見えなくなります。
中には、入居する際にきれいになっていれば気にしないという人もいます。
貸主にとっては空室が解消され、借主にとっては相場より安く借りられる……気にしない人なら選択肢としてありえます。
事故物件の扱いについてのまとめ
・過去に自殺や殺人が起きた物件を事故物件、心理的瑕疵物件という。
・自殺や殺人は告知義務あり、孤独死は告知義務がない。
・告知義務ありの物件は、契約前に行う重要事項説明で説明される。
・告知義務期間には、法律上の決まりがない。
・裁判では、事故物件であることを知っていれば購入したかどうかがポイントになる。
・事故物件は一般的に相場よりも安く借りられる(買える)。