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最低賃金の上昇でも妨げとなる「年収の壁」とは

投稿日:2023年7月31日 更新日:

 

最低賃金審議会で令和5年10月からの最低賃金の目安が取りまとめられました。

最低賃金というのは、企業や事業主が労働者に支払わなければいけない賃金の最低額を定めたもので、単位は時間あたりとなってます。

最低賃金というと多くは都道府県ごとの最低賃金を定めた地域別最低賃金を指すことが多いのですが、神奈川は前年(1,071円)から41円の引き上げとなる見込みです。

 

この時期になると毎年最低賃金が話題になりますが、一緒に話題に上がるのが「年収の壁」です。

最低賃金の理由

最低賃金を定めるのは、賃金の最低額を保障することで、労働者の生活を保障し、労働力の質を向上させ、事業の公正な競争を確保するといった理由からです。

最低賃金を引き上げることで、日本経済の活性化が見込め、結果として税収の増加も期待できます。

その反対に企業や事業主などの使用者にとっては人件費の高騰となり、企業の存続が怪しくなっているところもあります。

 

最低賃金を定める際に考慮されるのが、企業の賃金支払能力と労働者の生計費です。

ここでいう企業の賃金支払能力は、通常の賃金支払い能力とされるので、儲かってない個人企業はどうでもいいわけです。

最低賃金が引き上げられても労働者に支払えないといった使用者には残念ですが倒産、閉店してもらうしかなく、生き残るために生産性向上を実施して助成金などを活用したり、価格に転嫁して値上げすることも必要です。

 

労働者の生計費を考える時に参考になるのが消費者物価指数ですが、消費者物価が上昇してるのに賃金がともなわないのでは救われません。

 

働くことを妨げる年収の壁

パートや非正規で働く人の中には、収入を一定以下になるように調整している人がいます。

いわゆる扶養といわれる人たちで、扶養から外れると厚生年金保険料や健康保険料といった社会保険料がかかったり、所得税や住民税といった税金を多く支払うことになります。

 

所得税の納税者に配偶者がいると、配偶者控除と配偶者特別控除が適用されることがあります。

これは納税者が配偶者を扶養して、年齢や収入等の条件を満たせば適用を受けられます。

配偶者控除であれば、納税者の合計所得金額が1000万円以下で、配偶者の所得が48万円以下なら適用できます。

配偶者特別控除の場合は、納税者の合計所得金額が1000万円以下で、配偶者の所得が48万円超133万円以下なら適用できます。

 

厚生年金や健康保険といった社会保険でも、従業員が常時101人以上の企業で週20時間以上勤務、賃金月額が8.8万円以上なら社会保険料の納付義務が生じます。

 

このように配偶者の収入が一定以上になると、配偶者控除や配偶者特別控除が受けられなくなったり、社会保険料の納付義務が生じます。

 

これらは「年収の壁」といわれ、パートや非正規で働く人の社会での活躍を妨げています。

人手不足解消のためにもスキルや能力がある人が年収の壁を気にせず働ける環境が必要です。

 

労働者の働きを妨げる年収の壁の額

ちなみに国民健康保険の場合は扶養というものがないので、それを考慮したモデルにしてます。

モデルは、厚生年金保険の適用事業者で正社員として働く納税者(夫)と、その配偶者でパートとして働く主人公(妻)の年収についてです。妻が適用事業所で働いて、夫がパートとして働く場合は逆になります。

主人公 妻

夫(納税者)

 

以下、パートとして働く人(妻)の年収についての壁です。

 

100万円の壁

市町村によりますが、年収が100万円を超えると住民税の納付義務が生じます。

 

103万円の壁

年収が103万円を超えるとその妻に所得税の納付義務が発生し、夫は配偶者控除を受けられなくなります。

 

106万円の壁

一定の人(妻)の年収が106万円を超えると、国民年金の第3号被保険者となり厚生年金保険料が発生し、健康保険の扶養から外れて健康保険料の納付義務が生じます。

対象になるのは、従業員が101人以上の企業(2024年10月から51人以上の事業所)で、雇用期間が2か月を超え、週20時間以上勤務し、年収が約106万円以上(賃金月額が8.8万円以上)となる、学生でない人です。

 

130万円の壁

106万円の壁の要件を満たしてなかった妻も130万円を超えると社会保険料の納付が必要になります。

 

150万円の壁

妻の年収が150万円を超えると、所得に応じて夫の配偶者特別控除が減ります。

所得税の計算で控除できる金額が減るので手取り額が減るということです。

 

210万円の壁

妻の年収が201.5万円を超えると夫は配偶者特別控除が受けられません。

 

 

おわりに

このままだと賃金が上がった分労働時間を減らすことになるので、その結果労働力不足が加速することになり、このことが本末転倒だとして話題です。

せっかく労働者にやる気とスキルがあり、最低賃金が引き上げられたとしても、年収の壁以下になるように労働を調整していてはより悪いです。

 

年収の壁を超えてしまうことで社会保険料が発生し、手取りが減ってしまうのが106万円、130万円の壁です。

たとえば年収が130万円を超えると約保険料が18.4万円発生します(厚生年金保険料率18.3%と健康保険料率10%で計算)。

納付した分だけメリットがあるのは厚生年金と健康保険の手当金くらいでしょうか。

年収の壁は今までも議論されていましたが、なかなか解決しそうにありません@0@?

  • この記事を書いた人

侍従川

横浜で不動産仲介業とァイナンシャルプランナーをしています。

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担当:不動産、ライフスタイル、投資、雑用

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有酸素運動で脳を活性化させて予備試験に挑戦してます。

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