住宅ローンは数千万円単位の大きな借金です。
それだけに必要な金額を適切に見積もって資金計画を立てる必要があります。
住宅ローンの毎月の返済額を決める要因はいくつかありますが、今回は返済期間が与える影響を見ていきます。
毎月の住宅ローン返済額を決める要因
住宅ローンの返済方法には、変動金利、固定金利がありますが、これはリスクの問題です。
また、元利均等と元金均等といった返済方式がありますが、元金均等を取り扱う金融機関は少ないです。
したがって主に住宅ローンの毎月の返済額を決めるのは、借入額と適用金利と返済期間といえます。
借入額が多ければ多いほど金利の負担は大きくなり、少なければ金利の総額負担も減ります。
適用金利も高い方が利息の負担が大きくなり、反対に低い金利なら利息の負担は減ります。
借入額と金利が同じでも、返済期間が長いと利息を含めた総返済額は増えます。返済期間を短くすると総返済額は減りますが、毎月の負担が増えることになります。
●基本の考え方
- 返済期間が長くなると毎月の返済額は少なくなる
- 返済期間が長いと総返済額は多くなる
- 返済期間を長くすると破綻するリスクが減る
返済期間による返済額
同じ住宅ローンの借入金額でも、返済期間の長さによって月々の返済額と総返済額には違いが出ます。
現在の住宅ローンは2%以下と、マイカーローン、消費者金融、事業資金等の他の借入れと比較しても金利が低いです。
しかし、住宅ローンは返済期間が何十年に及び、借入金額も高額なので利息の負担は大きなものとなります。
4000万円を1.7%で借り入れたときの返済額
●前提条件
今の固定金利が1.67%の水準なので金利は1.7%と仮定し、借入金額は4,000万円とします。
4,000万円を1.7%で借り入れたときの返済期間による違いを見ていきます。
●4,000万円を1.7%でそれぞれ返済期間10年、20年、30年、35年とした場合
10年は、362,705円
20年は、196,719円
30年は、141,919円
35年は、126,430円
となります。
●4000万円を1.7%で借り入れたときの利息を含めた総返済額
10年の返済期間では、43,524,600円
20年の返済期間では、47,212,560円
30年の返済期間では、51,090,840円
35年の返済期間では、53,100,600円
となります。
この結果、利息だけで見ると10年では3,524,546円の負担となり、20年では7,212,648円、30年では11,090,986円、35年では13,100,685円となりました
このように借入額と金利が同じでも返済期間が違うと結構な差になります。
5000万円を0.625%で借りた時の返済額
次に5000万円を0.625%で借りた場合です。
●5000万円を0.625%で借りて返済期間を10年、20年、30年、35年とすると、月々の返済は以下のようになります。
10年は、429,931円
20年は、221,679円
30年は、152,352円
35年は、132,579円
●それぞれの利息を含めた総返済額
10年は、51,591,790円(利息1,591,790円)
20年は、53,203,089円(利息3,203,089円)
30年は、54,846,880円(利息4,846,880円)
35年は、55,680,940円(利息5,680,940円)
となります。
最初の例と比べて利息が少ないのは金利が低いからです。
概算ですので細かい部分による違いはありますが、数字で見てみると違いは明らかです。
このように住宅ローンの負担を減らすには、借入額を減らし、低い金利で借り、返済期間を短くする必要があります。
その反面、借入額が少ないと買える物件が減り、低い金利だと変動金利しかなく、返済期間を短くするほど月々の負担が増えます。
家計の状況にあわせた資金計画を立てて借りることが大切です。
余裕があるときに繰り上げ返済を活用することでも利息の負担は減らせます。
返済期間を選ぶ際のポイント
借入する人の年齢や家計の状況によっても返済期間をどうするかは重要です。
ほとんどの金融機関は、借入時の年齢と完済時年齢を設定しているので、こういった点も考慮する必要があります。
返済期間を長くするメリットとデメリット
●返済期間を長くするメリット
- 月々の返済額が減るので、家計に余裕ができ安定する
- 収入減などの万一のリスクに対処できる
●返済期間を長くするデメリット
利息を含めた総返済額が多くなる
定年後も返済が続く可能性がある
年齢制限に引っかかる可能性(完済時年齢を80歳未満としていることが多い)
返済期間を決めるポイント
・完済時年齢(70~80歳が多い、ライフプランの上からは定年までに関西が望ましい)
・家計の安定(毎月無理せず返せる金額で借りる)
・全体を見る(教育費や老後資金がマイナスになっても貯蓄で賄えるかを見る)
・繰り上げ返済(期間短縮型を使うと返済期間を短縮できる)
・借り換え(借入時の金利と比較して負担する利息を減らせる可能性がある)
返済期間 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 選択する人 |
短い | 多い | 少ない | 毎月の返済を軽くしたい、若い世代 |
長い | 少ない | 多い | 資金に余裕がある、早く返したい |
終わり
住宅ローンの金利が低いといっても、金額が大きく返済期間が長期だと負担する金額は増えます。
低金利でも返済期間が長ければ、負担する利息は数百、数千万円になります。
欧米のように変動金利が5%を超えてしまうと返せなくなる人が増えて大変です。
日本では7割以上が変動金利を選んでるといわれており、これが毎月の返済額が安いだけの理由だと不安です。
一般的に変動金利より固定金利のほうが先行して上昇していくので、自分がどの程度リスクを負っているのかを知っておくことは大切です。