不動産

道路の所有権を主張して通行を妨害するおじさん登場!道路に関するあれこれ

投稿日:2018年4月21日 更新日:

少し前になりますが、私道ということを理由に道路上に植木鉢を置いて一般人の通行を妨害したおじいさんがニュースになってました。

結局、いくら自分が所有権を有する道路であっても、一方的に通行を妨害することは許されませんでした。

道路として指定されていると、他人の通行を妨げることは許されないのが法律での判断のようです。

私道と公道の違い

私道は、個人や特定の団体が所有する土地を通行に使用しているものをいいます。

これに対して、国が管理する高速や道路、都道府県が管理する都道府県道、市町村が管理する市町村道などは、道路法によって規定され、公道といわれます。

 

公道に関する法律には道路法や道路交通法といったものがありますが、私道の場合は単独の法律はありませんが建築基準法で接道義務を満たすためにでてきます。

私道は個人の所有なので、原則として土地の通路を整備したり、廃止したりは自由ということになります。

 

建築基準法における土地の接道要件

建物を建築するに最低基準を法律で定めたのが「建築基準法」です。

建築基準法では、建築物の敷地は、建築基準法の道路に2m以上接していなければならないことが定められています。

 

道路に2m以上接している整形地なら問題はありませんが、中には敷地が道路の奥にあるような土地もあります。

いわゆる路地状敷地と呼ばれるもので、2m以上の幅の通路を延ばして道路に接道させることで、接道義務を満たしています。

上の図の通路部分を専用通路とか敷地延長などと呼ぶこともあります。

この専用通路は、あくまでも敷地内の通路であって建築基準法上の道路の私道とは違います。

 

位置指定道路とみなし道路

位置指定道路は、分譲宅地などの開発地に特定行政庁の認可(指定)を受けておくことで、接道要件を満たすという道路です。

特定行政庁というのは、建築基準について権限を有する地方自治体のことをいい、都道府県とか市が該当します。

 

・位置指定道路では、両端が建築基準法上の道路に接道していることが必要です。

・接道していない場合は、延長が35m以下であることが必要です。

・また、端が公園、広場その他これらに類するもので、自動車の転回に支障がないことも必要です。

・延長が35mを越える場合は、区間35m以内毎に自動車の転回広場が設けられていることが必要です。

・道が同一平面であり、道路の接道部分にすみ切りを設けたものであること、砂利、その他ぬかるみとならない構造であることが必要です。

・勾配が12%以下であり、階段状でないものです。

・敷地内の排水に必要な側溝、その他の施設を設けることが求められます。

 

建築基準法では、幅員4m以上の道路に敷地が2m以上接していることが必要ですが、建築基準法の施行前は、1.8mの幅のものもありました。

新しくできた建築基準法をすべて強制的に適用してしまうと、4m未満の道路に接道している敷地に建てられた建物は問題があるものになってしまいます。

そこで、建築基準法では、昔の道路は1.8m以上あればよいという緩和措置を設けました。

これが「みなし道路」とか「42条2項道路」と呼ばれる道路です。

 

みなし道路の場合は、道路中心から左右2mずつ後退した線を道路境界線とみなします。

 

狭あい道路拡幅整備事業

狭あい道路とは、幅員4m未満の道路で、一般の交通の用に供される道路を指します。狭あい道路は、私たちが日常生活をしていくうえで、通行上、環境衛生上の問題があるばかりでなく、地震や火災などの災害時には消防、救急活動に支障をきたします。

建築基準法(以下、「法」)では、法第42条第2項において、建築物の敷地が接する道路の幅員が4m未満の場合に、その道路の中心から2mを道路とみなして後退すること、法第44条において、道路の中心から2mの部分については建築物(門・塀等を含む)を建築してはならないことが規定されています。

横浜市では、この法第42条第2項により後退した部分の整備を促進する制度として、平成7年に「横浜市狭あい道路の整備の促進に関する条例」を制定し、市民の方々のご協力のもとに、狭あい道路の拡幅整備事業を進めています。狭あい道路を拡幅整備し、安全で快適な災害に強いまちづくりを進めます。

 

私道を妨害した裁判例は多い

私道について、所有者が通行を妨害したことから争われた例は過去多くあります。

 

私道は個人が所有する土地ですから、法律上は所有者以外が私道を通行するためには通行権が必要です。

ただ、この私道が建築基準法上の道路となる「みなし道路」「位置指定道路」の場合は、基本的には公衆の通行を認めなければならないという制約を受けることになります。

 

「都市計画法による道路は、たとえ私人の所有するものであっても、一般公衆の通行が妨げられることのない道路であり、ただ、その所有者は、その所有権に基づき、道路の維持管理のために合理的に必要な限度で、一般公衆の通行を制限できる(横浜地判平成3年7月五日)。」

 

共有地を私有地を言い張り通せんぼおじさん逮捕

その私道近くに白いペンキで「私有地」と書き、通行を妨げていた無職の「通せんぼおじさん(79)」が今月8日午前7時6分、現行犯逮捕された。

この通せんぼおじさんは、奥さんと一緒に一般公衆の通行を妨げており、過去にも懲役判決が出ています。

しかも、この通せんぼおじさんが私有地と主張していた土地を通行したところ、飛び出してきたおじさんによって暴行を受けた人もいるそうです。

 

「大迷惑"通せんぼおじさん"逮捕までの顛末」より

 

まとめ

公道を自分の所有と主張して他人の通行を禁止することはできません。

  • この記事を書いた人

侍従川

横浜で不動産仲介業とァイナンシャルプランナーをしています。

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不動産だけでなく、ライフプランの相談にも対応してます。

担当:不動産、ライフスタイル、投資、雑用

追加:写真、資格、名所めぐり

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有酸素運動で脳を活性化させて予備試験に挑戦してます。

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