住宅ローンの相談でよくある質問の一つに「自己資金はいくら用意すればいい?」といったものがあります。
自己資金を用意するといっても、自己資金を貯めるために何十年もかかってはいつまで経っても家が買えませんし、家庭ごとによって家計状況は違います。
今回は自己資金をいくらにするかについて考えていきたいと思います。
自己資金と頭金の違い
自己資金と似たものに頭金というものがありますが、まず最初に自己資金と頭金との違いについて触れたいと思います。
頭金とは、不動産そのものの代金に充てる費用をいいます。
頭金だけでは不動産が買えない場合は、金融機関からローンを借り入れます。
不動産の価格が4,000万円の場合に、頭金を600万円用意したのであれば、4,000万-600万円=3,400万円について住宅ローンの借り入れが必要です。
自己資金というのは、不動産を購入するために用意した資金です。
頭金もこの自己資金に含まれます。
不動産の購入には、不動産本体の代金以外にも仲介手数料や登記費用といった諸費用がかかります。
簡単に言うと、自己資金を1,000万円用意した人が、諸費用で400万円かかるのであれば、600万円が頭金となります。
つまり、諸費用と頭金の合計が自己資金です。
・頭金+諸費用=自己資金
・不動産価格-頭金=住宅ローン(アパートローン)
借り入れ額が少ないほど毎月の負担は少ない
毎月のローン返済額は、借り入れ額や金利、返済期間によります。
頭金を増やした分だけ借り入れを減らせるので、頭金が多いほど毎月の負担は少なくなります。
頭金を増やしても、借り入れ金額が同じなら毎月のローン返済額は同じです。
例えば、頭金を300万円用意した人が3,000万円を借りた場合も、頭金0の人が3,000万円を借りた場合も、条件が同じなら毎月のローン返済額は同じです。
月々の住宅ローン返済額に影響するのは、借入金額の他には金利、返済期間、返済方法(元金均等返済・元利均等返済)です。
金利というと変動金利や固定金利が話題になりますが、金利や返済期間等の条件が同じならどちらも金額は同じです。リスクの問題です。
頭金が1割以上あると金利が安くなることがある
住宅金融支援機構のフラット35では、頭金が1割以上かそれ未満かで適用される金利が異なります。
フラット35の住宅ローンを考えてる人は、頭金を1割以上用意することを目安にするといいかもしれません。
フラット35では、頭金1割のかわりに融資率9割という言葉を使ってます。
ちなみに現在のフラット35では、融資率9割以下で1.85%、融資率9割超で1.96%(借入期間が21年以上35年以下)といったところです。
4,000万円を借りたと仮定すると、毎月の返済額は融資率9割以下で129,446円、融資率9割超で131,685円になります(35年)。
また、頭金が多い方が金融機関の審査にも通りやすい傾向にあります。
担保割れの問題を回避できる
家の売却額が住宅ローンの残金より下回っている状態を担保割れといいます。
住宅ローンの残金があっても家の買い替えはできますが、担保割れの場合は不足分を別に用意する必要があります。
住み替えローンを利用することで買い替えは可能ですが、審査に通らなかったり返済額も大きくなるリスクがあります。
自己資金を多く用意することで担保割れのリスクを回避することは可能です。
住宅ローンの残債についてはWebや返済表等でチェックできるので、あとはそれを上回る金額で売れるかです。
忘れがちですが、売却では諸費用(手数料、税金、登記費用等)がかかります。
自己資金を多く用意しようと思うあまり家が買えない人も
一方で自己資金を多く用意しようと思うあまり、家がなかなか買えない人もいます。
自己資金・頭金を多く準備することは借入金額を抑えることになるので、結果として住宅ローンの利息負担を減らせます。
しかし、あまり先に延ばしても低い金利水準のメリットを活かせなくなります。
無理をせず多額の自己資金を用意できるお客様は実際には少ないです。家賃を払いながら自己資金を貯めるのは思ってるより大変だからです。
備えに生活費6か月分以上の手元資金を用意しておく
自己資金・頭金を用意するのであれば、無理のない範囲で準備することが大事です。
無理をして自己資金を多く入れても、突然何か起きて支出が必要になったら対応が難しくなります。
最低でも6か月、できれば1年以上の生活費を手持ち資金として置いておくと、急な支出に対応しやすくなります。
また、車の買い替えや教育費のように将来的にいつ発生するか分かっている費用は、事前に確保しておくようにします。
今回のまとめ
・自己資金が多いとローンの利息負担を減らせる
・金融機関の中には融資率(頭金の割合)で適用金利が変わるとこがある
・自己資金を多く用意することで担保割れを防げる
・自己資金は無理のない範囲で用意する
・借り入れの際は生活費の6ヶ月~1年分以上は手元に置いておく
ちなみにローンの見直しや繰り上げを活用して利息の負担を抑えることもできます。