社会保険には、雇用保険・労働者災害補償保険・国民年金・厚生年金・公的医療保険・介護保険といったものがあります。
雇用保険や労働者災害補償保険といった労働者に関する保険を労働保険といい、公的年金や健康保険、介護保険といった保険は狭義の社会保険といわれています。
労働保険と社会保険を併せて広義の社会保険と呼ぶこともあります。
共通しているのは、いずれの保険も運営しているのが国や地方自治体といった公的な団体であることです。
また、適用要件に該当した場合は保険への加入が強制となっている点も共通しています。
社会保険制度は、ただの保険と違って国からの補助があったり、民間の保険と比べて有利になっています。
ただ、社会保険制度では、原則として申請しなければ受けることができない申請主義を採っており、社会保険制度を知らない人は損をする可能性があります。
社会保険制度は知らないと損するようになっている
健康保険は、健康保険証を窓口で差し出すことにより、被保険者の負担が一部で済むという身近な社会保険制度です。
また、雇用保険では、被保険者が失業すると雇用保険から失業手当を受けることができ、生活の保障が図られます。
このように身近な健康保険や雇用保険ですが、給付の中にはほとんど知られていないものもあります。
社会保険制度は、基本的には自分で申請しないと受けられないので、受けたことがない以上給付を知る機会も限定されやすいです。
中には医療機関における出産一時金のように、場合によっては給付について紹介していることもあります。
健康保険の高額療養費は、今でこそ有名になりましたが、以前は知らない人も多く、高額療養費の申請をせずに時効を迎えてしまったケースもあります。
労働者災害補償保険(以下労災保険)については、労働者に身近な法律のはずなのに、内容については知らない人のほうが多かったりします。
労災保険というと、業務中の事故について補償されることは知られていますが、通勤で事故にあった場合の補償を知らない人もいます。
労災保険では、業務中の災害だけでなく、通勤中の災害も保険の対象としています。
事業主が保険関係成立届を提出していないために、会社が労災を使ってくれないことがあります。
この場合に責任が問われるのは、事業主の方であって、労働者は労災保険の請求はできます。
こういったことを知らないと、私の知人のように泣き寝入りするかもしれません。
また、労災保険には、被保険者というものがなく、労働者が一人でもいたら事業所単位で加入しなければなりません。
アルバイトやパート、外国人労働者であっても、労災保険の適用対象ですが、よく理解していない人も多いです。
社会保険は申請主義
国や地方自治体には、申請して初めてもらえるお金があります。
健康保険や年金、助成金、補助金といったお金は、申請をしないと原則として支給されることはありません。
60歳代前半の(特別支給の)老齢厚生年金は、本来支給の老齢厚生年金と名称が似ているようで異なります。
60歳代前半の老齢厚生年金では、勘違いから申請しなかったために時効を迎えた人もいます。
国の制度で有名なものといえば、医療費控除や教育訓練給付金、出産育児一時金といったものがあります。
これらの制度は、知っているだけで申請しなければ制度の恩恵を受けることはできません。
ちなみに、国民年金や厚生年金といった公的年金も申請して初めて受け取れるというのが原則です。
年金には、受け取らない自由も認められているからです。
ただ、65歳から受け取れる年金については、繰り下げ支給で年金が増える可能性はあります。
いずれにしても、社会保障にかんするものは、申請しないと原則として受けられないということです。
このサイトでは、不動産に関することや住宅ローンに関することを主に書いていきますが、社会保障に関することも機会があったら紹介していく予定です。
例えば離婚したら年金は?
日本の離婚件数は、毎年約22万組に達するそうです。
離婚をした場合に年金が分割できる制度が知られるようになると、離婚を考える夫婦が増えました。
積極的に動いているのは奥さんが多いようで、旦那さんから離婚を望むケースは少数です。
理由の一つに、今までの日本では夫が外で働いて妻が家事をするといったケースが多かったので、家事ができない男性は離婚すると困るからだそう……そしてコメントには家政婦じゃない、ふざけるな等のコメントが多数ありました。
他の理由としては、定年退職を機に夫が常に家にいる状態になったことが挙げられます。
定年前は夫が仕事で家にいなかったのが当たり前だったのに、定年を機に常に家にいるようになる……、夫婦仲が良く見えても奥さんにとってはかなりのストレスとなるようです。
婚姻前からどちらかに属する財産は別ですが、夫婦共有の財産は原則として夫婦二人で築いたとみなされるので等分して分けられます。
また、厚生年金についても離婚すれば平成20年にできた3号分割については合意なしに分割されます。
離婚についての一番の問題は、不動産かもしれません。
今まで一つの持ち家に二人が住んでいたのであれば、離婚することでもう一つの住居が必要です。
また、住宅ローンの支払いがある場合は、どちらが今後支払っていくかの問題があります。
厚生年金は分割できるが……。分割しても元の額が増えるわけではない。
定年退職を機に離婚をしたものの、実際はそう簡単にはうまくいかないようです。
離婚して分割された年金を受け取ってはみたものの、予想していたよりも収入が少なく、元の夫婦生活に戻るケースもあるようです。
年金の分割制度は、婚姻期間の厚生年金について分割する制度です。
また、離婚したからといって元の年金額が増えるわけではありません。
お互いが一人暮らしになれば、それぞれで住居費や食費はかかりますから、収入は増えていないのに支出ばかり増えるといった状況になるわけです。
以上のことから、離婚をする前の準備として、離婚後ににいくらの年金を受け取れるのかは最低限知っておく必要はあります。
事例が極端になってしまいましたが、このように社会保険は知らないと損をするリスクが潜んでいます。
まとめ
日本の制度の多くは申請主義を採っていて、社会保険等は申請しないと受けられません。
社会保険が複雑なのに知られてない給付も多いです。
ただでさえ複雑な社会保険制度なので、官僚が年金保険料を違法に使ったとしても分かりません。0.1%でも彼らにとっては何億円なので、特に年金は利権が絡んで天下りも多いです(国民年金基金・厚生年金基金)。
年金の財源とすると消費税を増税したのに、結局は使われてないのを見ると多くの人が年金に不安を抱えるのも仕方ないと思います。