ポストにこんなチラシが投函されていたことはないでしょうか?
「この地域限定で探しているお客様がいます」
「〇〇町内〇丁目限定で探しているお客様がいます」
「このマンション限定で探しているお客様がおられます」
といった内容のチラシです。
これらのチラシは、「求むチラシ」とか「売り物件求むチラシ」等と言われています。
実際のところ、これらのチラシは本当かどうか分かりません。
なかには本当の場合もありますが、実際にはお客様がいないこともあります。というよりいない場合の方がほとんどかもしれません。
何故かというと、私も大手不動産にいたときに投函していたからです。
売る人を対象にしたチラシと買う人を対象にしたチラシ
不動産のチラシには、売る人を対象にしたものと、買う人を対象にしたものがあります。
よくあるのは「物件特集」といった物件を紹介して購入希望者を探すチラシです。
物件紹介チラシともいわれます。
不動産市場は、少子高齢社会になってからは供給過多となっており、恐ろしい勢いで空き家が増えてます。
また、高齢率が25%を超えた日本では、相続も他人ごとではなくなっていますから、購入しなくても住宅が手に入ることが増えています。
相続で不動産を手に入れることが増えているので、購入希望者を探すよりも売却希望者を探した方が見つかりやすいです。
不動産業者は、不動産の購入者からだけでなく、売却した人からも報酬を受けることができますから、これは確かに現実的です。
お客さんがいないのになぜこんなチラシを撒くのか
求むチラシを投函している業者には、必ずしも探してるお客様がいるとは限りません。
では、どうして業者は求むチラシを撒くのかというと、「売主からの売却依頼」が目的だからです。
「このエリア限定で探しているお客様がいます」といったチラシを見たら、そのエリアの土地所有者さんやマンション所有者さんは興味を持つはずです。
中には実際に査定だけでも受けてみようと問い合わせる人もいます。
自分の不動産がいくらで売れるかを実際に聞いたら、自宅を売却してみる気になる人もいるはずです。
無事に売主様から売却の依頼を受けることができれば、不動産会社はレインズという登録機構へ登録するだけで、あとは放っておいても他の不動産業者が購入希望者を探してくれます。
求むチラシの業者が、自分で買主を見つけた場合は、売主からも買主からも報酬をもらうことができます。いわゆる両手報酬(ダブル)です。
チラシなんてインターネットが当たり前の時代に、随分と古典的な方法だと思うかもしれませんが、チラシの方がピンポイントで撒けますし、今の日本でもインターネットを利用している人ばかりとは限りません。
特に不動産を保有してるのは高齢者なので、古典的の方が反応が多いことも多いです。
お客さんがいないのに本当に問い合わせがあったらどうするか
では、本当はお客さんがいないのに、実際にお客さんから問い合わせがあったらどうするのでしょう。
本当にお客さんから問い合わせがあった場合は、不動産会社は自作自演でしたと白状することはしません。
とりあえずお客さんを連れてくことになりますが、そのお客さんは同僚かもしれません。もしくは友達や知人ということも考えられます。
私の以前の同僚は、奥さんにお客さん役をしてもらってました。
無事に内見が終わった後は、売主様へ連絡して「条件と合わなかった」とか「予算オーバーだった」「事情が変わった」などと断りの理由を言うだけです。
売主が不動産業者に売却を依頼するときは、媒介契約を締結します。
専任媒介契約であれば、3カ月間の契約期間とするのが一般的なので、不動産業者はその間に買主を見つけてくればいいことになります。
ちなみに専任媒介とは、売主様は売却の依頼を1社にしか依頼できないことをいいます。
媒介依頼が取れればいいと売却活動してくれない営業さんもいます。
売主さんの中には思ってた以上に高く売れると売る気になったものの、営業から提示された金額では売れず、どんどん値下げするはめになった人もいます。
おわりに
チラシや囲い込みが怪しいと思っても、お客様が証明するのは難しいというか不可能に近いです。
中には本当のこともあるので、チラシが必ずしもウソとはいえないのが難しいところです。
売却を依頼する場合は、いくつかの業者に査定を依頼して営業マンを含めて判断するしかありません。
また、売却相談では根拠がないのに高額な高値を提示する営業マンもいます。
売却するために値下げを提案する営業マンはいい方で、3ヶ月毎に媒介契約更新のための書類が送られてくるだけといったケースもあります。