押入れの大掃除をしていたら、不動産業界の暴露本みたいなのが数冊出てきました。
何冊か読み返してみたところ、内容は主に賃貸や投資についての暴露本でした。賃貸業界については、おとり広告の話に、入居者の死亡の話、夜逃げや家賃回収といった内容の話があって、投資については、かぼちゃの馬車事件を例にいかに不動産の賃貸業界がブラックなのかが書いてありました。
私も大学を卒業する前の2年間、賃貸がメインの会社にいましたが、確かに賃貸業界は不動産業界の中でも話題に事欠かない業界だと思います。
おとり広告の話
おとり広告とは、ありもしない物件や募集していない物件を情報誌やネットで募集してお客さんを集めることをいいます。
不動産業界では、一つの物件をほとんどの会社が扱えるので、どうしてもタイムラグが発生します。物件があることを確認したとしても、翌日もあるという保証はありません。問い合わせたときはあったのに、店舗に足を運んだらないといわれた……そういった経験があれば、おとり広告を疑う人もいるでしょう。
不動産会社の中には、故意に募集していない物件を広告に出したり、ありもしない物件でお客さんを集めている悪質な不動産会社があります。こういう不動産会社の場合は、様々な名目で費用を請求されることがあるので注意が必要です。
今はもう会社自体ありませんが、私がかつて働いていた不動産屋では、満室なのに常に広告で募集している物件がありました。
実際に問い合わせがあった場合は、まだ募集しているといい、実際にお客さんが来店したときは「今、申し込みが入った」と言って探してる条件を聞きだし、現在空室の物件に振って紹介してました。
今はこういった会社は少なくなりましたが、当時はこういった不動産会社がたくさんありました。特に東京、東横線沿線といった人気エリアには……。
ただ、東急東横線や田園都市線は常時人気があるため、確認した時は空いてても、案内中に物件に申し込みが入るということは日常的に起きます。なので、本当におとり広告かどうかを普通の人が見抜くのは難しいと思います。
インターネットが普及してる現在では、悪質なおとり広告は少なくなりましたが、必ずしもなくなったとは言い切れないので注意が必要です。
入居者の死亡
賃貸物件を管理していると避けられないのが入居者の死亡です。
私が最初に不動産業界に入ったときに担当したのは賃貸管理でした。賃貸管理では、賃貸物件の掃除やリフォームの手配、家賃の管理などを大家さんに代わって行います。
家賃の滞納があれば、手紙や電話で督促するのですが、それでも連絡がつかなければ連帯保証人に連絡を取ることになり、それでも行方が分からなければ死亡の可能性もでてきます。
場合によっては警察に立ち会ってもらって室内を確認することもあります。
私は一度だけ経験しただけですが、知り合いで管理業務を担当している人は何度もご遺体を発見しているそうです。
殺人事件や自殺が起きた物件を事故物件といい、事故物件では事前の告知が必要になります。
自然死の場合は該当しないとされてますが、死亡から日が経っていない孤独死も同様に該当しないとされています。
殺人や自殺などの事故物件(心理的瑕疵物件)では、事前の告知義務が課されます。
賃貸では、一度でも別の入居者が入ればその後は告知しない会社が多いので、社員を一度入居させてから普通の物件として募集する不動産会社もあるそうです。
しかし、売買での例では、20年前に起きた事件を告知せずに契約したために、不動産会社が裁判で負けているといった判例もあります。
でも、賃貸で見抜くのは難しいかもしれません。特に近隣との関わりが薄い東京では……。
夜逃げの話
賃貸と持ち家とを比較した場合に、賃貸のメリットとして挙げられるのが身軽ということです。
身軽なので、家賃が支払えなくなって悩んだ末に夜逃げする人もいます。
夜逃げをされて一番困るのは大家さんです。
荷物を勝手に処分するわけにはいきませんし、引き取ってもらおうにも夜逃げした相手と連絡を取れるわけありません。
また、裁判(明渡訴訟)を起こすには費用と時間がかかります。
家賃が支払えなくなった時は、事前に管理会社・貸主に相談をすると対応してもらえることもあります。貸主にとっても、夜逃げされるよりましだからです。
それでも夜逃げするのであれば、「残置した動産類が存する場合には、賃借人は当該動産類についての所有権を放棄し、賃貸人がこれを処分することに異議を述べません。」と書かれた所有権放棄の書面を置くようにして、少しでも迷惑をかけないことを考える必要があります。
とはいえほとんどの賃貸借契約書には所有権放棄条項は入ってると思います。
夜逃げの原因の一つが家賃の滞納です。
家賃の滞納を理由に契約を解除するには、信頼関係が損なわれたかどうかが問題となります。しかし、1か月程度の滞納では信頼関係が損なわれたとはいえないとされており、3か月以上の滞納があっても裁判の手続によらなければいけないので、費用と時間がかかります。
少しでもリスクを減らすために、今では保証会社を利用するのが一般的です。
おわりに
私が不動産賃貸業界で働いていたのはかなり昔のことですが、同業者に話を聞く限り、いまだにブラックな会社も数多く存在します。
不動産業界に興味がある人から転職についての相談をときどき受けますが、不動産業界にも仲介から建売、投資専門の会社など様々あります。
どのようなキャリアを積みたいかによっても必要な能力は異なるので難しいところですが、宅地建物取引士の資格と営業力があると重宝されます。