雇用保険は、失業した場合にお世話になる身近な制度ですが、どんな内容の給付かまで知っている人は少ないと思います。
雇用保険という制度があることを知ってても、給付の種類を知らなければ受け取ることはできません。
知らなかったために手続きが遅れ、受け取れるはずだった手当が全部もらえなかった人もいます。
例えば、雇用保険の受給期間は、原則として離職した日の翌日から1年間ですが、受給期間が過ぎると給付日数を受給し終わっていなくても、以後は受けられません。
もしも、給付を受けられるのであれば、早めに手続きをしておくのがよいと思います。
雇用保険の給付の種類
雇用保険は大きく分けると失業等給付と雇用保険二事業があります。
どちらも雇用保険ですが、雇用保険の給付といえば失業等給付を思い浮かべる人がほとんどではないでしょうか。
失業等給付はさらに、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の4種類に分かれます。
失業等給付
・求職者給付
・就職促進給付
・教育訓練給付
・雇用継続給付
有名な失業手当は雇用保険では求職者給付の一つです。
一般被保険者は基本手当を、65歳以上は高年齢求職者給付金、短期雇用特例被保険者は特例一時金、日雇労働被保険者は日雇労働求職者給付金がそれぞれ給付されます。
次にそれぞれの求職者給付について見ていきます。
求職者給付の種類
求職者給付には、基本手当、高年齢求職者給付金、特例一時金、日雇労働求職者給付金といったものがあります。
一般被保険者を対象にする求職者給付は、基本手当と呼ばれます。
高年齢求職者給付金は、高年齢被保険者を対象とする求職者給付金で、一時金で支給されます。
特例一時金は、短期雇用特例被保険者が対象で、こちらも一時金で支給されます。
日雇労働求職者給付金は、日雇労働被保険者が対象となる給付金です。
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中国で発生した新型コロナウイルスの影響で、失業する人が大量に出るのではと懸念されており、雇用保険が注目されています。 雇用保険は有名なので、社会人ならほとんどの人が名前を知っていると思います。 &nb ...
公共職業訓練の指示を受けた場合には、技能習得手当の対象です。技能習得手当には、受講手当と通所手当とがあります。
職業訓練を受ける場合に、家族と離れて寄宿するときは要件を満たすと寄宿手当が支給されることがあります。
受給資格者が、傷病のために連続15日以上就業できないときは、傷病手当があります。
就職促進給付の種類
就職促進給付は再就職の促進を目的としており、就職促進給付はさらに、就業促進手当、移転費、広域求職活動費の3種類に分けられます。
就業促進手当には、就業手当、再就職手当、就業促進定着手当、常用就職支度手当があります。
就業手当と再就職手当は、一定以上の支給日数を残した場合に支給されますが、就業手当は安定していない職業、再就職手当は安定している職業に就くことが条件です。
就業促進定着手当は、6か月以上定着し、賃金が低下した場合が対象です。
移転費は、就職や公共職業訓練を受講するために住所を変更した場合など、移転が必要な場合に、交通費、移転料、着後手当が支給されます。
広域求職活動費は、公共職業安定所長が必要と認められる場合に支給されます。
教育訓練給付
教育訓練給付は、厚生労働大臣が指定した教育訓練を修了したときに支給される失業等給付です。
平成26年10月から専門・実践的な教育訓練を対象に上限が引き上げられました。
教育訓練給付の対象講座については、厚生労働省のホームページで一覧が見れます(pdf)。
雇用継続給付の種類
雇用継続給付は、雇用の継続が困難な場合に支給される給付で、高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付があります。
高年齢継続給付には、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金があります。
高年齢雇用継続基本給付金は基本手当を受給してない場合で、高年齢再就職給付金は基本手当を受給している場合です。
育児休業給付、介護休業給付は、育児休業や介護休業をした場合に対象となります。
雇用保険二事業
雇用保険二事業には、雇用安定事業と能力開発事業があります。
雇用安定事業
雇用安定事業は、失業予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他の雇用の安定を図るために行われます。
例 雇用調整助成金、トライアル雇用奨励金
能力開発事業
能力開発事業は、労働者の能力開発や能力向上を行うことで、再就職を容易にし、失業を予防しています。
例 キャリア形成促進助成金、特定求職者に対する職業訓練受講給付金
まとめ
身近な雇用保険も、内容まで知っている人は少ないです。
次回は、基本手当を中心に紹介していく予定です。
失業等給付
・求職者給付(基本手当・技能習得手当・寄宿手当・傷病手当・高年齢求職者給付金・特例一時金・日雇労働求職者給付金)
・就職促進給付(就業促進手当・移転費・就職活動支援費)
・教育訓練給付
・雇用継続給付(高年齢雇用継続給付・育児休業給付・介護休業給付)