リーマンショックの契機となった事件がサブプライムローン問題といわれています。
リーマンショックの問題は世界に波及し、この事件をきっかけに世界全体の景気が悪化しました。
サブプライムローンは、ローンの債権を証券化して多数の投資家に売り出すことで低所得者でも利用できる仕組みを作った住宅ローンです。
最初の数年は低金利が適用されますが、その後は金利が見直されるため、景気が停滞すると返済が難しくなります。
以前の日本でも、最初の2~3年だけ低金利が適用されて、その後は金利が上昇するローンが普通でした。
住宅ローンの債権を証券化することでリスクが投資家にに転化することが出来るようになる仕組みは、ローンを利用しやすくなり、利用者の選択肢も増えます。
ただし、審査が緩くなるとローンを返済できなくなる人も増え、ローンの返済が滞り回収が難しくなれば不良債権となります。
サブプライムローンのリスクを認識したときにはかなりの数の人が返済できない状況になっていたようです。
日本で住宅ローンの返済が滞るとどうなるか
住宅ローンを支払えなくなった場合は、金融機関は住宅ローン返済について全額返済するように督促してきます。
督促があった後もローンが遅れるようなら、やがて住宅は競売の手続きへ進みます。
競売になって落札されれば、その後は落札した人が住宅の所有者となります。
住宅が他の人の物となった以上、その人は出て行かなければなりません。
出て行かなければその人は不法占拠する人になってしまいます。
では、住宅を失った人の残りの住宅ローンはどうなるでしょう。
残りの住宅ローンがどうなるのかは、リコースローンかノンリコースローンかによります。
リコースローン
リコースローンでは、担保不動産がなくなっても、その人に対する借金が残ります。
競売の手続きを経て自宅を失ったとしても、借金の返済義務が残るということです。
日本の金融機関で住宅ローンの借り入れをした場合は、ほぼこのリコースローンになります。
住宅ローンを組むときは、借入金に対する担保として住宅に抵当権を設定します。
抵当権を設定しておけば、借入者が住宅ローンの返済をしなくても、担保とした住宅を競売にかけてその代金から回収できます。
リコースローンについて抵当権を実行した場合の例を挙げると、抵当権を実行した段階で住宅ローンの残りが2,000万円あり、住宅が1,500万円で売れたとします。
この場合は、500万円ほど借金の方が多いので、住宅ローンは住宅を売却しても500万円分残ることになります。
住宅を売却して手にした金額よりも借金の方が多いので、今後は差し引いた500万円の借金を返済していくことになります。
このようにリコースローンの場合は、抵当権が設定された担保以外にも返済義務が及ぶことになります。
任意売却でも競売でも基本的には借金が残ります。
借金が残るので通常の手続きと違う手段がとられるわけです。
ノンリコースローン
住宅ローンの返済が担保となっている住宅以外には及ばないのがノンリコースローンです。
例えば、住宅の時価が1500万円で、借金が2000万円残っている場合に、ローンの返済ができなければ競売となります。
その後の流れは、リコースローンで述べたのと同じです。
抵当権の実行によって競売の手続きへと移り、落札した人に所有権が移るため、住宅を失うのは同じなのですが、リコースローンと違うのは借金が残らないという点です。
・リコースローン→借金が残る
・ノンリコースローン→借金は残らない
ノンリコースローンは借り手にとってメリットがありますが、通常リコースローンよりも審査が厳しくなります。
借り手側からみた場合、ローン返済が滞担保を失えば借金が残らないので、ノンリコースローンの方が望ましいといえます。
しかし、ノンリコースローンは、リコースローンより審査が厳しくなったり、金利が高くなる傾向にあります。
アメリカの住宅ローンは、日本とは違ってノンリコースローンが主流です。
住宅ローンでも国によってリコースローンかノンリコースローンのどちらが主流なのか異なります。
日本で住宅ローンを返済できなくなった外国人が、勘違いするケースが増えているそうです。
母国ではノンリコースローンが一般的のため、担保を手放せば借金は残らないと勘違いして、事実を知って驚くそうです。
理解せず契約した人もいるでしょうけど、とぼけてるだけの人もいるでしょうね。
今回のまとめ
・住宅ローンには、責任財産の範囲がどこまで及ぶかが異なる、ノンリコースローンとリコースローンとがある。
・ノンリコースローンは対象不動産の範囲で責任を負うが、リコースローンの場合は全財産の範囲で責任を負うことになる。
・日本のローンは、リコースローンが一般的。
日本ではリコースローンがほとんどなので、過大なリスクをとらないためにも無理のない返済計画を立てることが大切です。