住宅ローンには不動産ローン、アパートローン、事業ローンなどさまざまな種類がありますが、金利の基本タイプは「変動金利型」「全期間固定金利型」「固定期間選択型」の3つです。
長らく超低金利が続き、この選択はあまり深刻に受け止められてきませんでした。
しかし、2024年以降、日銀の金融政策の転換で金利は上昇局面に入り、状況が変わっています。
今こそ、それぞれのタイプのリスクを理解しておくことが大切です。
この記事から分かること
- 変動・全期間固定・固定期間選択、それぞれに潜むリスク
- 金利上昇で現実味が増した「未払い利息」とは
- 「上がってから固定に変える」が難しい理由
- 金利が動く時代の、ローンとの向き合い方
※本記事の金利水準は方向性を示す目安です。金利は市場動向により変動します。最新の水準は各金融機関の公式情報でご確認ください。
3つの金利タイプ(おさらい)
変動金利型
- 半年ごとに金利が見直される。
- 3タイプで最も低金利だが、上昇リスクを借りた人が負う。
全期間固定金利型
- 完済まで金利が変わらない。
- 最も高金利だが、返済額が確定し家計管理がしやすい。
固定期間選択型
- 2〜10年など一定期間だけ固定。
- 期間終了後に再選択する中間タイプ。
いずれを選んでも、それぞれ異なるリスクがあります。
ここからは、金利が上昇する局面で特に意識したいリスクを見ていきます。
変動金利のリスク|「未払い利息」が現実味を帯びる

変動金利は、その名の通り金利が変動する商品です。
変動金利の基準は、4月と10月の半年ごとに見直されます。
金利の上下を問わず変動する可能性があるので、最もリスクのある金利のタイプです。

変動金利には、返済者を守る「5年ルール(返済額は5年間据え置き)」と「1.25倍ルール(見直し時の増加は前の1.25倍まで)」があります。
問題なのは、返済額が上限までの1.25倍に変更した場合であっても、金利については上限があるわけではないという点です。
この場合に起こるリスクが未払いリスクと呼ばれる問題です。
未払いリスクというのは、ローンを返済しても借金が減らないで逆に増えてしまう状態をいいます。
金利の上昇が急激な場合に、ローンの返済額の上昇では利息の増加分をカバーできないために起こります。
かつては「非現実的」とされてきましたが、金利が上昇局面に入った今、以前より現実味が増しています。
たとえ未払い利息が発生しなくても、金利がじわじわ上昇していけば、5年・10年で家計に与える影響は大きくなります。
変動金利は3タイプで最も低金利という魅力があり、実際、今も多くの人が選んでいます。
ただ、その低さは「金利上昇リスクを自分が引き受けている」ことの裏返しです。
選ぶ場合は、将来金利が上がったときに返済額がどうなるかを、あらかじめ試算しておくことが欠かせません。
なお、金利上昇に備えたい人向けに、上限金利特約付き変動金利(キャップ付き変動金利)もあります。
決めた上限以上には上がらない一方、通常の変動金利より高めに設定されるのが一般的です。
全期間固定のリスク|「上がってから」では遅い
固定金利型は、契約時の金利が最初から最後まで変動しない、つまりローン全期間の金利が固定されるローンです。
金利が変動しないということは、毎月のローン返済額もローンの支払いが終わるまで変動しないということです。

リスクというと危険をイメージする人が多いですが、金融でのリスクは将来の不確実であることをいいます。
固定金利型を選択すれば金利が固定されるので、金利変動のリスクはなくなります。
固定金利型ローンは、ライフプランが立てやすく家計管理が楽になるので、ファイナンシャルプランナーに人気です。
ここで知っておきたい重要な点があります。「変動で借りておいて、金利が上がってきたら固定に借り換えればいい」と考える人は少なくありません。
しかし、全期間固定の金利は、変動金利に先行して上昇する傾向があり、最近の金利上昇でも固定金利が先に上昇しています。
固定金利は将来の物価上昇などを織り込んで動くためです。
つまり、変動金利が上がったのを見てから固定へ移ろうとしても、そのときには固定金利はすでにもっと上がっている、ということが普通に起こります。
「上がってから逃げる」戦略は、思ったほど簡単ではないのです。
デメリットは、金利が下がる局面では、見直さない限り高い金利を払い続けることになる点です。
3タイプで最も高金利なのも固定型です。
固定期間選択型のリスク|期間終了後が読めない
固定期間選択型というのは、2年、3年、5年、10年など、金利が一定期間だけ固定される金利タイプです。
当初の一定期間が経過した後は、変動金利に移行するか再び固定金利を選択するかを選びます。その際、その時点での金利が新たに適用される金利となります。

「変動は怖いが、全期間固定にするほどでもない」という人に向いた中間タイプです。
注意したいのは、固定期間が終わったあとです。
変動金利のような「1.25倍ルール」などの返済額の増加上限がないため、期間終了時に金利が大きく上がっていると、返済額が一気に増える可能性があります。
さらに、金利の優遇幅が期間終了後に縮小されるケースもあります。
当初の低金利だけを見て選ぶと、数年後に負担が跳ね上がることもあるため、期間終了後を見据えた検討が必要です。
どのタイプが選ばれているか

金利が上昇局面に入っても、最新の調査では変動金利型が最も多く、全体の7割以上を占めています。
次いで固定期間選択型、全期間固定金利型と続きます。
低金利の魅力から変動を選ぶ人が依然多い一方、金利上昇を受けて固定タイプを選ぶ人がやや増える動きも見られます。
金利タイプの利用割合(住宅金融支援機構の近年の調査より・おおよその傾向)
- 変動金利型 → 7割以上
- 固定期間選択型 → 約15%
- 全期間固定金利型 → 約1割
割合は調査時期により変動します。近年は変動型が最多という傾向が続いています。
まとめ|「金利のある時代」の向き合い方
- 変動金利:最も低金利だが、金利上昇で「未払い利息」の可能性(以前より現実味が増した)
- 全期間固定:金利変動リスクはないが、変動に先行して上がるため「上がってから固定へ」は難しい
- 固定期間選択:中間タイプだが、期間終了後の増加上限がなく負担が跳ねることも
- 近年は変動型が7割以上と最多。金利上昇で固定を選ぶ動きもやや増加
| 金利タイプ | 特徴 | メリット | デメリット |
| 固定金利型 | 返済期間中ずっと金利が一定 | ライフプランを立てやすい | 初期金利が高い |
| 変動金利型 | 半年ごとに金利が見直しされる | 初期金利が低い | 将来金利が上昇リスクあり |
| 固定金利期間選択型 | 一定期間固定、その後選択 | バランスが良い | 固定金利後の金利が不明 |
どのタイプが得になるかは、専門家でも分かりません。将来の金利は誰にも読めないからです。
だからこそ、どのタイプを選んでも、金利が上がったときに耐えられる無理のない借入にしておくことが大切です。
そして借りた後も、金利動向を見ながら定期的に見直すことです。
「金利のある時代」に入った今、これまで以上に、ライフプランと相談しながら自分に合ったローンを選ぶことが重要になっています。

