社会保険では、被保険者や事業所等が支払った保険料などを財源として、失業、障害、傷病、死亡等があった人に手当や給付金として支給しています。
これらの社会保険制度は、ライフプランを考えるうえで欠かせないものです。
生命保険の加入の際も社会保険を考慮しなければ必要な保障が過大となってしまいますし、社会保険制度は老後に必要な資金の考えとも合致します。
住宅ローンについても社会保険制度を考えなければ、今はよくても将来破綻する可能性が高いローンを組むことになります。
そんなライフプランを考えるうえで欠かせない社会保険ですが、社会保険制度は自分で申請をしなければ受けられません。
最近では高額療養費のように病院が制度を教えてくれるケースもありますが、基本的には自分で申請しないと受けられません。
ライフスタイルにも影響する社会保険制度
日本の社会保険には、労働者災害補償保険、雇用保険、介護保険、医療保険制度、国民年金、厚生年金、高齢者医療制度といったものがあります。
これらの制度は、社会人として生きていくうえでどれも大事な制度です。
労働者災害補償保険(以下労災)は、業務上の事故(負傷、疾病、障害、死亡等)による企業の補償責任を対象にした保険で、事業所単位で適用されます。
労働者にとっても企業にとっても、身近な制度ですが、誤解も多かったりします。
アルバイトであっても外国籍の人であっても適用事業所で働く人は原則的には労災が適用されます。
雇用保険は失業や雇用継続が難しい場合に必要な給付が行われ、長い職業生活では一度や二度はお世話になることも多い制度です。
また、教育訓練も雇用保険で行われます。
失業した人に手当を給付する以外にも企業に助成金を行っており、間接的に労働者を支援しています。
介護保険は、今までの老人医療制度や福祉だけでは高齢化問題に限界が出てきたため、平成12年から施行された比較的新しい制度です。
要介護状態や要支援状態になった場合に必要な給付を行います。
医療保険制度は、業務上の事故以外の疾病、負傷、死亡、出産に対して保険給付を行います。
医療保険制度があるから医療費を原則3割支払うだけで病院で治療を受けることができます。
日本では原則として何かしらの医療保険制度に入る国民皆保険制度をとってます。
高齢者医療制度は、65歳~74歳の前期高齢者の費用負担の調整と75歳以上の後期高齢者の疾病、負傷、死亡などの医療給付を目的としている制度です。
国民年金は、老齢、障害、死亡を対象として行われる年金又は一時金の制度です。
国民年金も医療保険と同じで基本的には全ての人が年金制度に加入します。
国民年金は全ての人に共通する基礎年金です。
厚生年金は、企業に勤めるサラリーマンやOLさんの老齢、障害、死亡を対象とした年金です。
国民年金がすべての人が対象の基礎年金制度を採用しているのに対して、厚生年金は基礎年金の上乗せ部分になります。
そのため、労働者にあたらない自営業者は加入対象になりません。
以上、どの制度もライフスタイル、ライフプランを考えるうえでは重要な制度です。
社会保険制度は申請主義
生活と密接な関係にある社会保険制度ですが、制度が他の制度と関連しているために理解しにくく、とっつきにくいものが多いのが難点です。
それ故、国民年金の第3号被保険者の未届問題や失われた年金のように社会問題を起こすこともよくあります。
何より問題なのは、社会保険によって保険給付が受け取られる場合であっても、申請しなければ基本的にはその給付を受けられないことです。
また、社会保険には時効の問題もあるので、支給要件に該当して給付が受けられる場合も、申請せずに放置すれば時効によって権利が消滅してしまいます。
申請主義というより、知識がない人が損をし、知識がある人だけが受けられるのが社会保険制度といえます。
企業でもそうです。大手は助成金を受けてますが、中小零細企業は存在すら知らないことも多いです。
世界的に見ても日本は公的制度を活かしきれてないといわれます。
高い保険料を支払ってるにもかかわらず、一定数の人が利用できてないとはどうなんでしょう。
さいごに
ライフプランを考えるときは、社会保険を考慮します。
例えば、生命保険に加入する場合に社会保険を考慮しなければ、無駄に高額の保険に加入してしまうかもしれません。
また、老後資金の準備でも年金や医療制度を考えなければ、いくら必要なのか分かりませんから、資産形成の目標を立てようがありません。
社会保険制度は制度を通して所得の再分配や経済の安定化、生活の安定が可能となっているのに、知らないと申請ができないというのはどうにも釈然としないですね。