ここ最近は、住宅ローンの低金利を反映してか借り換えがブームとなっているようです。
住宅ローンには、変動金利型、固定金利型、固定期間選択型といった3つの金利タイプがありますが、いずれのタイプも低金利です。
金融機関の店頭金利に変化はほとんどありませんが、優遇幅の拡大が進んでいるため結果として変動金利でも低金利化が進んでいます。
借り換えというのは、借入先の金融機関をそっくり変えることをいいます。
なぜこんなことをするかというと、借り換えをすることで月々のローン返済額を抑えることができるからです。
変動金利から固定金利へ借り換え、将来の金利を固定させてリスクを確定させる、こういったこともできます。
フラット35からフラット35への借り換えは可能か?
「フラット35からフラット35への借り換えは可能か?」についてですが、まず最初に結論をいうとフラット35からフラット35への借り換えは可能です。
借り換えというのは、住宅ローンの借入先をそっくりと変えることですが、借り換えには一般的なルールがあります。
・借り換えには数十万円の手数料がかかります。
・同一の金融機関での借り換えは出来ません。
・変動金利から固定金利といった別のタイプの金利に変えることも可能です。
・固定金利から固定金利といった同タイプの金利に変えることも可能です。
フラット35は、一般的な金融機関が扱っているローンと違い、証券化の仕組みを使っています。
この証券化の仕組みによってフラット35からフラット35への借り換えが可能です。
費用がかかるのに借り換えをするのか
借り換えを行う場合は、一般的に何十万円もの手数料がかかるとされています。
なので、借り換えを行うには何十万円もの手数料を支払うだけのメリットがあるかどうかがポイントになります。
また、借り換えに係る手数料は、金融機関によって異なるうえ、最初に一括して支払う必要があります。
借り換えは、従前のローンの金利と新規のローンの金利に、差があるほど効果が大きくなります。
また、ローンの残り返済期間が長いほど節約効果は大きくなり、残りのローン額が大きいほど効果も大きくなります。
例えば、従前に組んだ35年ローンの金利が3%、4,000万円を借りて5年が経過した時の金利が1.3%だったときに借り換えをしたとします。
従前のローン | 新規のローン | |
金利 | 3% | 1.3% |
月々のローン | 153,938円 | 122,539円 |
このように適用されている金利と現在の金利に差がある時に借り換えをすることで、返済期間は変わらずに毎月31,400円、総額約1,130万円の費用を削減できたことになります。
このような場合は、たとえ数十万円の手数料がかかっても、借り換えをした方が結果として得をすることになります。
借り換えの効果が大きくなるポイント
住宅ローンの見直しには、借り換えと繰り上げ返済、リスケジュールがありますが、借り換えがよいか繰り上げ返済がよいかはケースバイケースです。
一般的には、以下のような場合に借り換えの効果が期待できるといわれてます。
・従前のローンと新規のローンの間に大きな金利差(新規の方が低金利)がある。
・ローンの残り期間が長いほど借り換えの効果は大きい。
・残債(残りのローン)が大きいほど借り換えの効果も大きくなる。
借り換えを判断する目安
一般的に借り換えの目安とされているのが以下の基準です。
・住宅ローンの返済期間が残り10年以上ある。
・住宅ローンの残高が1,000万円以上ある。
・適用されている金利と現在の金利との間が1%以上ある。
借り換えについてのまとめ
フラット35とは、全返済期間の金利が一定でずっと毎月の返済額が変わらない住宅ローンのことです。
そして、借り換えとは、今まで借りていた住宅ローンの残りについて、今までとは別の金融機関でお金を借りて返済することです。
金利の差を利用して毎月の返済額を軽減させるのが借り換えの主な目的ですが、変動金利から固定金利にすることで将来の返済額を一定にすることも可能です。変動金利から固定金利に変更する場合は金利が上がるのが一般的です。
住宅ローンの借り換えは、繰り上げ返済と違って別途費用がかかるので、ケースによっては借り換えよりも繰り上げ返済の方がメリットがあるかもしれません。
借入時(過去)の金利と借り換え時(現在)の金利の違いが大きければ大きいほど、借り換えによる効果は大きくなります。
住宅ローンは、金利が0.1%の違いでも金額でみると大きな違いとなることがあります。
例えば、5,000万円のローンを1.3%で借りた場合と1.4%で借りた場合とでは、利息の支払いは100万円以上の差が出ます。
ときどき、フラット35で既に借りている人から「固定金利で借りているから借り換える必要ない」といわれることがありますが、これは誤解です。
例えば、2011年の〇〇銀行のフラット35金利は2.21%でしたが、現在の〇〇銀行のフラット35金利は1.1%となっています。どちらも固定金利ですが、金利は変動しています。
フラット35の金利が2.21%の時に3,000万円を借りると35年間金利は2.21%で固定され、毎月の返済額は約10万3千円になります。
5年経過した現在のフラット35は金利が1.1%ですから、今借り換えをすればその後30年間は1.1%で固定されます。反対に何もしなければ毎月の返済額は変わりません。
1.1%で借り換えた場合は、今後30年の毎月の返済額は88,088円になり、従前のローンと比較すると毎月の返済差額は約14500円となります。
上述した借り換えに対する誤解をもっている人と持っていない人とでは、約500万円の差を生むことになったわけです。
おわり
当社は不動産会社ですが、消費者・ファイナンシャルプランナー向けのセミナーも行っていました。
ローンは不動産探しと同じくらい重要なのにもかかわらず、物件探しばかりに目がいってしまい、ローンについてはよく知らずに不動産を購入する人は多いです。
任意売却会社の営業時代には、破産した人から多くの相談を受けましたが、最初の資金計画から無理があると思うようなものばかりでした。
FPに相談する人はまだまだ少ないですが、将来的にFPに相談するのが当たり前になると思います。でないとローンが原因で老後破産する人が減りません。