大手不動産会社で横行する囲い込み問題とは?不正行為の手口の全容

不動産

最近「大手不動産会社が囲い込みをしている」というニュースが業界を大きく揺さぶりました。

一見すると安心と思われがちな大手企業で、実は売主の利益を損なう行為が常態化していた――そんな衝撃的な実態が明るみに出たのです。

囲い込みとは、売主から預かった物件について、他社からの問い合わせを意図的に断り、自社で買主も確保して仲介手数料を2倍(両手)にするための不正行為 のことです。

表向きは「申し込みあり」「契約予定」と伝えながら、実際は購入希望者を遮断するケースも多く、その被害は売主が気づかないまま進行してしまいます。

この記事では、なぜ大手不動産会社で囲い込みが起きるのか、どのような手口で行われ売主がどんな損害を受けるのか、そして、 売主が自分の資産を守るために何をすべきか を解説します。

大手不動産会社で囲い込み問題が表面化した背景

下の記事を読みました。

大手不動産が不正行為か 流出する“爆弾データ”の衝撃」

 

不動産を売却する際、大手不動産会社を利用すれば安心と思ってませんか?

しかし、実際には”囲い込み”と呼ばれる不正行為が横行しており、売主が損をするケースもあります。

本記事では、大手不動産会社による囲い込みの手口や実態、そして回避するための方法について解説します。

 

大手が囲い込みに手を染める理由とは?

ここで記事の不正行為について簡単に書くと、大手不動産が売主から預かった不動産について、自分の手数料稼ぎのために、他業者が連れてきた購入希望者には物件を紹介しなかったというものです。

こういった不正行為をされると、売主の売却の機会を奪うのみならず業界全体の信用にかかわります。

 

どうして大手不動産会社がこういった行為をするかというと、仲介手数料を売主だけでなく買主からも受け取りたいからです。

仲介業者の営業マンには売上目標があり、売上が給料や評価に直結します。そのため、本来やってはいけないと分かっていても両手仲介にこだわり、囲い込みに手を染めるわけです。

 

囲い込みの正体|不動産会社が物件を隠す理由

今回の問題行為となったのは、いわゆる「囲い込み」といわれてる行為ですが、まずは不動産売却の流れについてお話しします。

 

不動産売却の基本フローとレインズの仕組み

売主が不動産の売却を思い立った時は、普通はまず不動産会社に相談します。

売主は不動産会社に売却の依頼をして、そのときに媒介契約を締結します。

販売を依頼された不動産会社は、レインズという不動産の登録サイトへ物件を登録します。レインズは、不動産業者しか見れない不動産のネットワークをいいます。売主にとっては、レインズに登録することで物件が広く知れ渡るので早く購入者を探すことができます。

レインズへ登録すると他の業者と情報が共有されるので、ほかの業者も物件を見ることができるようになり、その物件を購入希望者に紹介できるようになります。

 

なぜ囲い込みが行われるのか(両手仲介の構造)

大手不動産会社にとっては、ほかの業者が購入者を見つけてしまうと仲介手数料が売主からしか受け取れません。

しかし、購入者を自分で見つければ、売主と買主の双方から仲介手数料を受け取れます。

その結果、他社には「契約予定です」などと偽って紹介を断り、自社のお客だけに販売するという囲い込みが発生します。

 

この売主と買主双方から報酬を受け取ることは「両手報酬」とかダブル等と言われています。

 

囲い込みの手口とは?売主が気づきにくい巧妙な仕組み

普通の不動産業者であれば、ほかの業者から問い合わせに対しても物件を紹介します。早く売却することが売主様の利益になるからです。

しかし、囲い込み業者は、両手報酬を得るために他の業者には物件を紹介しません。

 

囲い込みの場合は、ほかの業者が購入希望者を見つけてきても、購入者がいないのにもかかわらず、「契約予定」「申し込みあり」と返答して他の業者に紹介しません。

大切な資産を本来の価値より大幅に安く売ってしまう理由に、仲介業者がわざと売らないようにして囲い込みをすると、長期間にわたって不動産が売れなくなります。中には息のかかった再販業者に売るため、故意に販売活動を行わないケースも多々あります。

 

売主が囲い込みに気づきにくい理由

不動産会社が囲い込みをしても、売主はそのことを知るのは難しいです。

ほかの業者の案内が全くないという場合は疑ってもいいですが、囲い込みをしている場合でも、ときどきほかの業者に案内させればアリバイ工作になります。

私の聞いたところでは、同僚にお客さんのふりをして内見させることもあるそうです。

 

売主にとっての最大の問題:売却機会の喪失

やはり一番の問題は、囲い込みをすることで売主にとっては契約の機会を逃すことです。

契約予定とか売り止めと言われた他の仲介業者は、お客さんがいても紹介できません。

本来であれば売主は契約し終わっていたかもしれないのに、囲い込みによって物件がいつまでも放置され、価格を値下げしなければならない……なんてこともあります。

 

不動産の特徴に、流動性といった問題があります。不動産は流動性に難ありといわれています。

流動性とは他の資産へ換えることの難易度をいいますが、不動産を売却してお金に換えるには、買主を見つけなければならないので、売却までに半年以上かかることも多く、一般的に不動産は流動性が悪いとされています。

囲い込み業者にとっては、売れなくても売出価格が下がれば売りやすくなりますし、ほかの業者からの問い合わせは断っておけばいいので、痛くもかゆくもありません。

不動産は、取引の機会がそう多くはないので、囲い込みによって機会を逃すことは、売出価格を下げることにつながり、長く干されることになります。

 

緊急売却の場合は特に危険

もし、売却する理由が実は緊急性を有するものであればいかがでしょう。

専任媒介の契約をしたら、もし別の業者に変えたくても3か月を待たなければならなくなります。

 

囲い込みがあると思っても、それを証明することは難しいでしょう。

このニュースによって囲い込みの問題がクローズアップされても、アリバイ作りはそれほど難しくありません。

もしも、囲い込みの疑いがる場合は、ほかの不動産業者に問い合わせてみると判明するかもしれませんが、電話に出た人次第で変わることもあるので、確実に知る手段はやはりありません。

 

もし売却理由が、離婚・転勤・相続税の納付など緊急性が高いものであれば、囲い込みによる遅延は深刻なダメージになります。

 

まとめ|囲い込みは業者選びが最大の防御

仲介会社というのは、毎日のように物件確認をしますので、私も営業時代はレインズを見て何度も大手仲介会社に確認を取っていました。

しかし、確認をする物件の多くは契約予定でした。

一度、5件くらいまとめて問い合わせをしたら、全て契約予定と言われたこともあります。そのくせ次の日に確認を取ったら全て紹介できますと言われました。

電話に出た相手次第で結果が違うというのは問題です。

 

お客さんを案内してその物件を気に入ってもらえたとしても、担当者によって物件を紹介できるか分からないようでは自信をもって紹介できません。

なにより不動産会社を信頼してマイホームの売却を依頼した売主が最も損害を受けます。

国土交通省が率先してもっと厳格に対処べきかもしれませんが、証明が難しいのでそう簡単にはいきません。

 

だからこそ、売主が自分の資産を守るためにできる最も重要な対策は、「囲い込みをしない、信頼できる業者を選ぶこと」これが売却失敗を防ぐ最大の防御策です。

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