登記簿謄本(以下登記事項証明書)を見ると、土地や建物を誰が所有しているか分かり、どういった権利がついているかも確認できます。
不動産の表示や権利を国のコンピューターに記録することを不動産登記といい、法務局に行けば誰でも登記を記載した書類交付を請求できます(有料)。
登記がないと第三者に主張できない
土地や建物について物権変動があった場合に申請すると登記記録として記録されます。
ちなみに登記簿と登記事項証明書の違いは、コンピュータに記録されてるかどうかです。
土地であれば、所在、地番、地目、地積、原因及びその日付、所有者などが登記され、登記事項証明書を見ることで土地の状況が確認できます。
建物も同じく、所在、家屋番号、種類、構造、床面積、所有者などが記録されるので、書類を見れば当事者以外でも状況が確認できます。
不動産の売買があって所有権移転登記がされれば、過去に売買があったことが確認できます。
新築の時は表示の登記を1か月以内に行わなければいけませんが、中古の売買などでは登記が義務とされてません。
しかし、登記をしてないと当事者以外の第三者に対抗(主張)できないとされています。
民法第177条
不動産移管する物権の得喪および変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
登記できる権利とは
権利にもいろいろありますが、不動産登記できる権利として定められているのは、所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、配偶者居住権、採石権です。
区分所有マンションを利用するためには、敷地利用権が必要です。
日本では土地と建物が別なので、敷地の利用をできる権利がないと専有部分が利用できなくなってしまいます。
この敷地利用権は登記すると敷地権となり、敷地権になると原則として専有部分と土地が分離して処分できなくなります。
このように専有部分と一体化した敷地権は、部屋を売買すれば敷地権も移転します。
敷地権となることができるのは、所有権、地上権、賃借権です。
ただし、古いマンションの中には専有部分と敷地利用権が一体化してない(敷地権付でない)ものもあります。
表題部と権利部
登記記録には、表題部と権利部があります。
表題部には、所在、地番、地目、地積、所有者等、その不動産の物理的な状況が表示されています。
ちなみに建物を新築したり、増築した時等は、表題部への登記(表示に関する登記)の申請が必要です(1か月以内)。
権利部は、甲区と乙区に分かれており、甲区には所有権に関することが登記されます。
一方、乙区には所有権以外の権利に関することが登記されます。
売買で所有者が移転して申請すれば、甲区に記録されていきます。
表示の登記 → 所有権保存登記 → 所有権移転登記 → 所有権移転登記
銀行から融資を受けた場合に設定する抵当権は、乙区に記録されます。
抵当権を設定すれば、受付年月日、原因(年月日金銭消費貸借同日設定など)、債権額、利息、損害金、債務者、抵当権者などが記録されます。
複数の権利が設定されている場合は、順位番号の番号の早い方が優先し、甲区と乙区なら受付年月日、受付番号が早い方が優先します。
登記事項証明書
コンピュータ化が進んだ現在は、登記記録は登記事項証明書を請求することになると思います。
登記事項証明書は、所有者以外でも請求できます。
手数料を払って記録された登記事項を記載した書類を請求できますが、これには全部事項証明書、現在事項証明書、一部事項証明書、閉鎖事項証明書といったものがあります。
1.全部事項証明書
閉鎖されたものを除いて、今までに行われたすべての登記事項が記載されている
2.現在事項証明書
現在、効力を有する登記事項だけ記載されている
3.一部事項証明書
甲区や乙区の順位番号を指定して請求した登記事項だけが記載されている
4.閉鎖事項証明書
閉鎖された登記事項が記載されている
まとめ
・登記簿は登記記録が記録された帳簿をいい、コンピュータをプリントアウトしたものが登記事項証明書(コンピュータかどうかだけ)
・登記を見れば、不動産を誰が所有して、どのような権利が付いてるか分かる
・登記は義務ではないので、実態を反映してないことがある
・登記がないと第三者には対抗できない
・区分所有マンションは敷地権付が多い
・表題部には物件の物理的状況が記録され、権利の部には権利関係が記録される
・権利の部には甲区と乙区があり、甲区には所有権に関することが、乙区には所有権以外の権利に関することが記録される